表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/65

奥戸透と冬野つぐみは思う

次話タイトルは『奥戸透と冬野つぐみの場合』

「さて、まずは自己紹介からでしょうか? 私、ここの店長で奥戸(おくと)と申します」


 奥戸は一礼をしてつぐみを眺めた。

 転倒した彼女を立ち上がらせると、彼は隅へと片づけていた椅子と机を取り出し並べ直す。

 彼女を座らせ、彼自身も机を挟み向かい合わせで座った。

 つぐみの顔には怯え切った表情がくっきりと表れている。

 これはよくない。

 彼女には最期まで穏やかな感情でいてもらって、薬になってもらわねば。


「驚かせてしまったことを、まずは謝らせてください」


 悲しげな表情を作り、奥戸はつぐみを見つめた。

 千堂沙十美からは、彼女は人を悲しませるのを嫌う性格だと聞いている。


「そんな! 私が勝手に転んだのに、笑うなっていう方が無理な話です!」


 慌てた様子で逆に謝ってくる姿に、話の通りだと奥戸はほくそ笑む。


「では、許していただけるのでしょうか?」

「店ちょ、……いえ。奥戸さんとお呼びしてよろしいですか? 奥戸さんは何も悪くないです!」


 彼女からは、すっかり怯えが消えている。

 それを確信した奥戸は、話を続けようと新たな話題へと移りはじめた。


◇◇◇◇◇


 犯人(奥戸)から逃げ出す方法。


 それを考えながらつぐみは彼へと笑顔を向ける。

 隙をついて逃げるのは難しい。

 この店にいる間は、急に体の自由がきかなくなる可能性が高いと考えよう。


 つぐみの頭に浮かぶ対策は二つ。

 一つ目はどうにかして店の扉に近づいて、そこから一気に逃げ出す。

 二つ目はなるべく時間を引き延ばして、品子達が助けに来てくれるのを待つこと。

 さらに言えば、シヤの聴く力がまだ繋がっていると信じて、なるべく相手から話をさせる。

 少しでも情報を、品子達に聞いてもらうことも続けていくのだ。


 とても厳しい条件。

 だがやらなければ結局、このままつぐみも行方不明者になるだけだ。


(まずは、相手が私をどれだけ把握しているかを知ること。そして相手の油断を見つけて、そこから相手に情報を話させることが大切だろう)


 つぐみは考える。

 どうしたら自分が生き残れるか。

 どうしたら相手の情報を引き出すことが出来るか。

 今、頼れるのは自分だけなのだ。


(さぁ、はじめよう。私は、必ず先生達の所に帰るんだ!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ