役に立ちたい
次話タイトルは『チョコアイスと満月に』
つぐみは鞄に、シヤのハンカチと木津家からの帰りに買ってきた新しいハンカチを入れた。
「これで大丈夫。月曜日に先生に会うだろうから、その時には確実に渡せるよね」
今日は、というかここ数日の疲れのせいかまぶたが重い。
常夜灯を付け、布団に潜り込み目を閉じる。
思い返されるのは、この数日間で起こった信じられない一連の出来事。
普通の人が持っていない人知を超えた力。
それを目の当たりにした、力を持っていない自分。
薄暗い部屋の中で、これからのことをつぐみは眠りに誘われながらも考える。
これから私はどうしたらいいのだろう?
犯人を捕まえるなんて、絶対に怖くてできないし。
先生の力ならできるのかな?
あれ?
先生の力って、そういえばどんな力なのだろう。
私に見せないのは、知られたくないからなのだろうな。
いつか先生が私を認めてくれて、その力を教えてくれたら嬉しいのだけれど。
「明日は日曜日で学校もお休み。認めてもらえるように私も、あのお店を探しに行ってみようかな?」
思わず目を開き、浮かんだ考えを口に出す。
以前は何も考えずに探していたから、しっかりと観察すればわかることがあるかもしれない。
「うん。明日、多木ノ駅に行ってみよう!」
やることが決まった今、明日のために早く寝るべきだ。
改めてつぐみは目を閉じ願う。
――役に立てたら、いいな。




