9.このお方は神様です
ブクマ・評価ありがとうございます。
こう…やる気があふれ出してくるのを感じます。
「それで…貴方達は何者ですか」
ギルド職員こと赤尽くしの女は昴とファースト…あとその他諸々に話しかける。勿論隠してある武器でいつでも襲い掛かれるように若干構えている。
何故初対面の相手をそこまで警戒するのか?そんなの昴とファーストが得体のしれない…変質者であるからだ。そもそも赤い女だっていくらギルド職員とはいえ恐ろしいものは恐ろしい。今だっていつの間にか自分の背後にも立っているであろう得体の知れないナニカに突然襲われないことを神に祈っている。
「このお方は神様です…このお方に無礼な態度を取るようでしたら貴方を殺しますので。その事をお忘れなきよう」
「こいつ本気で俺を神だとか思ってるんじゃ無いだろうな!?」
それに対し昴とファーストは先ほどと全く変わらず依然冷静だ。まぁファーストに関してはこう見えて、昴の役に立つために必死なのだが…そんなことを昴が知るはずもない。
ファーストが昴の為に必死になっているが、赤い女は殺されない為に必死に考えていた。
「(どうすれば生き残れる…!?なんて言えばいいのよ…!!)」
ちょっとした騒ぎが気になって様子を見に来たことを深く深く後悔する。若干ここに来なかったとしても門番の人たちがやらかして結局皆殺しにされていた気もするけど…まぁ自分の努力のしようがない状態で訳も分からず殺されるよりはマシ…なのかもしれない。
そして短い時間がとても長く感じられるほど脳みそをフル回転させて出した答えは…
「これは大変失礼いたしました。まさかその様なお方だとは知らず…どうかご容赦ください」
「ほう?ここで無礼を働いて下されば正当に始末出来たのですが…少しは頭が回るようですね」
「(い、生きてるぅぅぅ!!選択肢を間違えて無くて良かったぁぁ!!)」
たったこれだけの会話で赤い女はまるで徹夜明けの如き疲労感に襲われた。そしてすぐに次の行動を考える。
「も、もしよろしければ…こんなところで立ち続けて頂く訳にも行きませんので部屋をご用意させていただきます…」
こんなところで暴れられるよりは防護魔術によって保護されている冒険者ギルド内で話をした方がよいと判断した。それに自主的にこの狂人を思いやって部屋を用意するという事にすれば多少は気を良くしてくれるかもしれないと思ったのだ。
「…との事です、どういたしますか創造主様。もしこの場で話をする方が良ければ私を椅子代わりにして頂いただければ…」
「よし、ギルドいこうか。うんそうしよう」
赤い女は安堵したがそれと同時にまたしても新しい感情が押し寄せる。仲間を椅子代わりにするなんて、いまどき奴隷にもそんな事しないぞ!?という感じの…恐怖である。
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「それで…結局なんの話かな?アルマイクさん?」
ギルドの所有するらしい建物内の一室、微妙に古臭い椅子に腰かけた俺はなんか赤すぎる女性、アルマイクさんに尋ねる。ちなみにアルマイクという名前はさっき歩いているときに聞いた。バカみてぇな名前だな!?とは言わないが異世界だとこんなものなのだろうか?
「それでは僭越ながらご質問させて頂きます」
目の前で傅いているアルマイクさんはそう言った。なんで傅いているかって?たぶんファーストのせいだと思う。こいつが椅子に座らず傅いているのを見て、アルマイクさんもそうしたんだろう。…あ、ここで俺も傅いたらどうなんだろ(笑)
いややらんけどね。空気ぐらい読むわ俺も。
「どうぞ」
「そちらにいらっしゃる…その、人型の…えっと、光…?」
「ああ、お化けの事か」
確かにこのお化け達の事なんて呼べばいいんだろう。…うんファーストに聞いた方が速そうだな。
「ファースト」
「はい!」
うーん。元気でよろしい!じゃなくて、お化けの名前を聞かないと。
「こいつらの名前ってなんていうんだ?」
「彼らですか…そうですね、決めていませんでした。…では光の戦士、略してヒカセンと言うのは如何でしょうか?」
「それダメなやつ!!」
それはもうあるの!
最後のファンタジーなオンラインRPGで!!
「うーん…なんでヒカセンなんだ?光人とかでいいんじゃないか?」
「という事で彼らは光人です。それで、彼らがどうかしたのですか」
うっわ、決まっちゃったよ!適当に光人とか言ったけど本当にそれでいいのかよ!?イエスマンすぎるだろ!
「あ…いえ、その。どういった関係なのでしょうか…?も、もしかして禁術で呼び出した古代精霊だったり…」
「禁術ではありませんが…そうですね…私の部下と思って頂ければ」
「っ…!部下…ですか」
ゴクリ
…いやいやいや。絶対アルマイクさん勘違いしてるじゃん!?多分だけど光人はもともと人間だった的な勘違いして勝手に怖がってるよ!?可哀想だろ!?
「それでは…もう一つ、暗黒森林を消し去ったのは貴方達ですか?」
「俺じゃな
「私です」
ファースト君?もしかして君今俺の事かばってくれたのかい?俺が疑われないように、俺が危険視されないように?いいやつじゃねぇか…いやまあホントにやったのコイツなんだけどねぇ!?
「たった一人で…暗黒森林を…な、なんて力なの」
「それで、話は終わりですか?あまりこのお方を煩わせないで下さい」
「あっ嫌な予感がする」
「さ、最後に一つだけ!一つだけお願いをさせて頂けないでしょうか!?」
やばいやばい。嫌な予感的中する流れだぞこれ。ああーー!!帰りてえーーー!!
「冒険者ギルドに入って頂けないでしょうか!?!?!?」
「ほらきたーーー!!」
「ゴホン。神様たるこのお方を貴方たちの管轄内に押しとどめようなど言語道断」
お?さっそくファースト君が頑張ってるみたいだ。さっきの約束覚えてたんだな!まぁほんの10分くらい前の事だけどな!
「いえいえ!!そんなつもりはございません!!私がお誘いしているのはファーストさんです!」
「?????????」
え、そっち?恥ずかしいんだけど…恥ずかしいんだけどおおお!!!??絶対俺が誘われると思ったわああ!!!でも思い返してみれば俺なんもしてないから誘われる訳なかったわああ!!
「私の方でしたか…」
「だってよファースト、どうすんの?」
俺としてはファーストが入ると言ったら引き留めるつもりはない。むしろコイツのせいで結構滅茶苦茶な目に会っているので定期的にギルドの仕事でも行ってくれると、俺のプライベートな時間もふやせそうだから助かるんだけど。
「きっとファーストさんの実力でしたらすぐに金級冒険者になれます!!その、お金もたくさん稼げてそちらの神様の生活もより豊かになるかと…!!」
「あ、こいつファーストに一番効きそうな事言いやがった」
「創造主様の生活が豊かに…ふむ。一考の価値はありそうですね」
うん…まぁそうなるよね。でも俺としてもいつまでもファーストに頼り切るのはヤバイと思うからなぁ。…いやファーストが働いてくれれば俺は楽できるんじゃないか…?
……いや、この考え方は駄目だな。真理に合わせる顔が無くなっちまうわ。




