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11.増員しちゃったけどさ、宿どうしよう(笑)

本日は投稿をお休みする予定でしたが評価が増えていてやる気が…こうミシミシと拡張されたので投稿しました。

評価・ブクマ大変ありがとうございます。



「そういえば思いつきで増員しちゃったけどさ、宿どうしよう(笑)」


「?申し訳ございません。その…どうしようと言われますと…?」



 昴は日本人なので宿についてどうしようか迷っていた。なぜ日本人だからと言って宿に困るのか?それは宿を予約してもらったときに2人だったからである。それだけならば日本人関係なくね?と思うだろう。重要なのは人数が増えてしまった事だ、昴は異世界人では無いので案外そういう契約や約束事に律儀な性格である。なので2人で予約しておいて後からやっぱり3人で!と気楽には言えないのだ。まぁ日本人で無くとも言えない人は言えないし日本人でも言える人は言えるのだが…取り合えず昴はそうはいかなかった。



「ほら…人数増えたろ?多分2人部屋を取ってあると思うんだよ」


「??…ああ!なるほど。理解が遅れてしまい大変申し訳ありません」


「…絶対話かみ合ってないだろうから聞いとくわ。何を理解したんだい」



 昴はほんの数時間の付き合いではあるもののファーストの性格を若干理解し始めていた。だからこそ、昴はファーストに問う。一体何を理解したんだお前は…と。そして昴の予感は当たっている。



「こうなる事も予め予見して3人部屋を用意しなかったあの愚図を制裁するのですね?」


「うん違うね。思考回路の途中に落とし穴でもあるの?」


「ファーストよ、もしかすると…創造主様は2人分の部屋しか無いから3人では泊まれない事を危惧されているのでは…?」



 ファーストと昴の脳内に鋭い稲妻が走る!ファーストはそういう事か!という意味で。昴はコイツまともだ!という意味で。だがファーストの表情はまだ若干悩ましい。まさに、「でも何故?」とでも言いたげである。



「確かにそうかもしれませんが…そもそも2人だろうと3人だろうと、宿に泊まるのは創造主様お一人なので変わらないのでは…?」


「うん?」



 昴の思考が一時停止する。勿論ファーストが言っている意味を理解出来なかったからだ。



「ハハ、ファーストよ…2人部屋より3人部屋の方が"広くて豪華"だろう?創造主様がお泊りになるのだから広い方が良いとは…思わないか?」


「…うん?」


「な、なるほど…確かに!セカンド…なかなかやりますね」


「ぜんぜんなるほどじゃないね」



 昴は落胆した。一瞬でも自身が作り出した眷属にもまともなやつが居ると誤解してしまったからである。非常にめんどくさい気持ちに押しつぶされそうな昴だったが、きちんと説明することにした。



「聞きなさい」


「はい!」「ハッ!」


「んっんん…えー私が迷っていたのはー2人部屋だと3人泊まれないからであってー。けっっっして、広い部屋をー独占したからとかーそんな悪徳領主みたいな事ではーありません…」



 もやは棒読みになってしまっている昴の説明は眷属二人に強い衝撃を与えた。様々な感情が眷属達を飲み込んだが、その中でも一番大きかった感情は"おそれ多い"である。初めから昴と寝食を共にすることなど万が一にもありえないと思っていた眷属達にはその言葉は非常に大きな問題であった。



「(創造主様と同じ部屋!?!?こ、これは罠なのでしょうか…!?もしこれに納得すれば上位者を敬う意識が低いという事に…!?でも否定すれば、創造主様からの折角のご厚意を無下にしてしまう!!ぐぅ…!何という難題…!!これは試練なのですね創造主様!!)」


「(どう答えるのが正解なのだ…!私は既に一度失態を犯している身…これ以上は絶対に失態を晒す訳には行かない!考えなければ…!!…ハッ!まさか悪徳領主というワードがヒントになっているのか…!?創造主様は一人で数人分の部屋に泊まることを悪徳領主の様だと仰っている…つまりは遠回しに一人で部屋を占有することは悪…と思っていらっしゃると考えられている事を我々に伝えようと…!つまり答えは!!)」


 この間特に時間は経過していない。彼らの思考時間は人間からはほぼパッと思いついたレベルの思考時間なのだ。だがその実はこのように様々な可能性を考慮して答えを出している。


 …そして眷属達はついに一つの結論を出す。



「「創造主様と同じ部屋などおそれ多いです!」」


「はなしきいてたぁ!?!?」



 眷属達は一瞬で選択肢を間違えたと理解し凄まじい後悔と申し訳なさに身体が硬直した。だがまぁ多めに見てあげてほしい。彼らも必死なのだ、これまでファースト達が最善策ではない選択肢をとってきたのは、たとえ最善では無くとも昴が不快にならないよう徹底的に自分達を卑下すれば多少は自分達を快く思ってくれるかもしれない・気に入ってくれるかもしれないという思いからの行動だったのだ。それもそうである、自分たちを生み出した創造主たる存在に見放されては生きる意味を失ってしまうのだから。


 今回の選択も昴と同じ部屋に泊ることを快諾し、それを昴が良く思わないかもしれない可能性よりは、自らその提案を辞退して…自分たちの立場を下げるという選択をした方が昴の機嫌を損ねる可能性が少なかったからである。


 というか、セカンドに関してはもう若干泣きそうであった。生み出されて早々2回も創造主たる昴に不快な思いをさせてしまったからである。昴自身はたいして不快な思いをしているなんてことは思っていないのだが…そんな事をセカンドが知る由もない。



「あーはいはい!じゃあいいだろおおおおう!!!お前達2人で宿屋つかえ!!おれは適当な場所で野宿するわ!!!これなら同じ部屋じゃないしおそれ多くないよな!?!?」


「そ、創造主様!?それは、それだけはいけません!!それなら私も野宿いたします!!!」


「わ、わたしが至らぬばかりにぞ、創造主様にご不快な思いをさ、させてしまいも、もも、申し訳ございません…!!」



 そして昴はハッとする。いかんいかん、これでは意地悪を言っているみたいだなと思い反省した、まぁ実際クソ意地の悪い発言だったのだが。昴は俺は疲れてないし二人はちゃんと休んでくれという感じの事を…それとなく言いたかったのだが、ここでまさかの昴が保有する天性の煽りスキル(普段使わない方言レベルの出にくさ)を発動してしまったのだ。ちなみにスキルと言っても異世界には全く関係ない。



「ふぅ…じゃあ、3人部屋取ろうぜ?それでいいだろ?」



 忘れているかもしれないが、この話は「増員しちゃったけどさ、宿どうしよう(笑)」というすごく単純な話である。ホント、忘れているかもしれないが…それだけなのだ。


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