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Star Ocean ~誇り高き血統の鎖~  作者: はぐれ
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9話 見えないものを見ようとしてその③

おい…嘘だろ?全部これ俺の血か?


やばい、これはマジでシャレになんねぇよ…


死にたくない、痛い、痛い。


ロードの意識は遠ざかって行く。ロードは必死に傷口を能力で治療しようとする。

だが、能力を使えるのは、能力者の意識があるのが条件、このまま、ロードの意識がなくなれば、もうロードは助からない。

しかも撃った銃は、ショットガン、波動がなければ即死だ。


この上ない屈辱だ。目の前で人が死にかけているのに、何も出来ない、助けたくても、後一歩が踏み出せない。


いつしか目からは涙がこぼれた。悔しいんだ、情けないんだ、もっと自分はしっかりしてる、もっと自分は人のためになれる。

そんなことは無かった。自分はただ人が作った道を歩く、ただの旅行者に過ぎない。何事にも挑戦しようと思った?いいや違う、誰かが代わりにしてくれているのを、高みの見物をしてたんだ。子供の頃からそうだった、なんでも父親がしてくれた。自分は小さい頃に母を失った、それくらいしてもらって、当たり前だと思っていた。挑戦しようと思ったんじゃない、何もしてこなかったんだ。

過信していたんだ、自分の事を。



ジャックはここに来る途中にロードが言った言葉を思い出した。


「ジャック、突然だが、問題だ。」

ロードは唐突に話しかけてきた。

「強いものになるにはどうすればいいと思う?ヒントは自分に3つ、何かをするんだ。」

全く、検討もつかない。

「分からないよロード、僕には難しいよ。」

ジャックは最初から答える気などなかった。

「1つ、自分を信じるんだ。自分に身を任せ、気持ちを軽くするんだ。そうすれば、どんな危機的状況でも冷静をたもてる。」

「2つ、自分に誠意を払え。どれだけ、体をズタボロにしても、治していくのは、自分だ。誠意を表せ。」

「3つ、これが多分、1番難しい。3つ目は



自分を乗り越えることだ!」


ロードの瞳にはそれが見えた。ロードは本当の強者なのだ。どんなことにも屈しない、魂を持っている。


自分を乗り越える?なんだ、簡単じゃあないか、何もしてこなかった俺にはな。

「根性だ!掛かってこい、クソ野郎!」

俺は拳に精一杯の力を込めてルビウスに放った。

ルビウスも、パンチの体勢に入る。

一騎打ちだ、何もしてこなかった俺とのな。

メキッ!と、俺の拳から音がした。そうだ、今思い返してみれば、俺の人生そう上手くいったことなんて、なかったのだ。


攣った、アカン、こんなひょろひょろのパンチ当たるはずがない

「もらった!」

ルビウスの拳が俺の顔面に直撃する。

なんて情けないんだろう。

俺は漫画で見るような吹っ飛び方で10メートルほど飛んで倒れ込んだ。


「ありがとうな、ジャック、時間を稼いでくれたのか。」

聞き覚えがありすぎる声だった、いや、ずっと、聴きたかった声だ。

「なんで、立ち上がれんだお前!」

ルビウスは震えながら言った。

「悪いな、俺はどっちもこなすんだ。」

ルビウスは後ろに1歩、また1歩とさがって行くと、ポケットから布袋が落ちた。

「どうしようかな?パンチがいい?それとも…キック?」

ルビウスは殴られたくないと言わんばかりに口を開かない。

「さっさと答えろ、拳がウズウズしてたまんないぜ。」

ルビウスは恐怖のあまり、後ろを向いて走り出す。

「トサカに来たぜ!どっちもだな!」

ロードが怒鳴ると、ルビウスは

「パンチでお願いしまぁーす!」

まるで断末魔のようだった。

ロードのラッシュが炸裂する。

その後のルビウスの顔は酷く歪んで、見るのも辛い程だった。

俺が目を覚ました時には、とっくに決着が着いているようだった。



「お前、なんのためにこんなことを…」

ロードが倒れているルビウスに問い詰めるとルビウスは、

「俺は命令されただけだ。命令に背くと消される、お前らは必ず<あの方>が始末する!」

そう言うと、隠し持っていたナイフを布袋に投げ込む。

布袋は破け、星の聖水がこぼれて行く。

そして、ルビウス・ティアーノは命を落とした。



-ルビウス・ティアーノ (27)1865年 8月7日 先代大統領の墓にて死亡-




「君は、人間は好きかね?」

薄暗い部屋で赤毛の男が尋ねる。

「まあ、嫌いではないですね。」

扉の入口で、部下が答える。

「私はね、人間が死ぬほど嫌いだ。」

赤毛の男は恐ろしい声で言葉を吐いた。

「人間のどこがですか?」

部下は聞いた。

「全てだよ、アスタール君。特に君みたいな、表では、上の物に対して、へーこらした態度を取って、裏では死ぬほど愚痴を垂らすようなやつが嫌いかな。」

赤毛の男はさらに目を鋭くし、アスタールを睨みつける。


その時にはもう、アスタールは死んでいた。赤い絨毯が更に赤く染っていく。


ドアノブが誰かの手により捻られた。

入ってきたのは、赤毛の男の部下、エ

シュールだった。

彼の能力はサーチ・ウィンド、風を読むとこが出来る。


「どうやら、ルビウスが死んだと、流れてきました。」

エシュールは赤毛の男に報告すると、目線を少し、下に向けた。

赤毛の男はそれを聞くと目の前の椅子に腰をかけた。

「貴族は全員始末する。王家以外需要がない。」

デスクに体を向けると赤毛の男はペンにインクをつけ、書類にサインを書いていく。

彼、赤毛の男はこの国、バザール王国の大統領である。

「我々は王に誓ったのだ、エンリオ王子を探し出し、保護することをな…」

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