5話 波動の掟その②
心臓の鼓動が聞こえる。
聞こえた!でも心臓の鼓動を理解するってどうやるんだ。だが、もう、ジャックは理解していた。鼓動は波動へと変わり、体が動くようになった。
「解けた!」
俺が笑いながら言うとリムットは微笑んでいた。
「いやー、まさかここまで取得が早いとは」リムットはそう言ってはいたが驚いてはいなかった。
「波動の使い方が1度分かればもう、攻撃も出来るだろう。」
リムットがそう言うと奥の部屋の扉が開いた。中から出てきたのは金髪の同年代位の青年だった。
どうやら、彼の名前はロード・オーガスタス、リムットの孫らしい。
容姿は金髪でどっちかって言うと美少年だ。ここらじゃ見ない近未来っぽい服を着ている。
「お、ロード、起きたのか。何時に起きた?」
リムットの問いにロードは一切、答えなかった。
「おいあんた!リムットさんが聞いてんだろ!」
俺がそういうとロードは俺の前まで近づいて手をパーに開いて俺の腹部に近づけた。
一瞬だった、手のひらから感じたことの無い衝撃波のようなものを感じた。
僕は一瞬で吹っ飛んだ、道場の壁に激突した。
「痛てぇ…何すんだ、お前!」
僕は痛めた腰を抑えながら言う。
ロードは外へ続く扉へ向かった。
ロードが扉へ辿り着くと、何かを察したのか、俺の方を向いた。
そうだ、俺はドアノブに開かないように波動のエネルギーを仕掛けた。
ロードはドアノブにデコピンをするとドアノブに仕掛けていた波動は次々に消滅して行った。
やつはチラッとこちらを見たあと外へ出て行った。
俺はその時、あることに気がついた。
痛めた腰が治っているのだ。
「えっ、なんで」
つい、口からこぼれた。
「特殊能力だ、この世界には2つの戦い方がある。波動と超能力だ。」リムットは言う。
確かに波動とかそんなんじゃあなかった。
恐らく、ロードと能力は回復専門だ。
それに気づいた僕は何だかロードがそんなに悪い奴には思えなくなった。
「超能力ってどうやったら使えるんです?」
いつの間にかに俺はリムットに聞いていた。
「訓練とかそんなんじゃあない。生まれつきか、何かを境に発現するかのどっちかだ。」
つまりリムットは僕にはできないと言いたいのだ。
「ロードはいつから?」
もう質問が止まらないのだ。
「やつは生まれつきだよ。」
悔しくはなかった。明らかに波動もやつの方が上だった。
俺は質問を終えると外へ走った。