1話 大海を目指して
プロローグ
僕は暗闇にいた。
いや、視界が悪いだけかもしれない。血だ、鮮血は、僕の、掌を真っ赤に染める。
終わったんだ、全部。
大切なものを失って、失って、得た答えがこれかよ、割に合わねぇよ。
そして、僕は、眠りに落ちた。
1話 大海を目指して
僕の名前は、ジャック・オーリン
先週、16歳を迎えた、
あらすじを見ればわかるけど、これは僕の物語だ。
けど、別によくある何歳を迎えたから旅に出されるとかじゃない。
なんたって僕は旅なんて大嫌いだ。
ましてや人のためなんて、
努力するのも嫌いだ、面倒くさい。
と思っていた僕が大人へと成長して行く物語だ。
そして、この世界は君たちの住んでいる世界とは、違う世界、異世界だ。
ある朝の事だった。
父の執事が僕の元へ息を荒くしながら走ってきた。
聞くところによると父が原因不明の病にかかり目を覚まさなくなったんだとか。
そこで、僕の中の悪魔が囁いた。
「このまま見捨てれば、この家の主はお前だぜ！」
当然天使が反対する
「ダメだよ、何より面倒くさい仕事まで押し付けられるんだよ。」
悪魔もそれは嫌だった
よく見ると、執事は手に本を持っていた。
かなり色褪せていて、600ページはありそうな厚さだ。
「アーノルド、それはなんだ？」
僕はその本を指さして聞いた
「あぁ、失礼しました。言い忘れておりました。こちらの本はお父上が昔から、大切に保管なさっていた。昔話でございます」
本の表紙には「星の大海」と書いてある
よくよく思い出すと僕も知っていた。
どんな、病でも治せるという魔法のような水だ。当たり前だがあくまでおとぎ話、そんなものがあったらとっくに医者は潰れてる。
もしかすると、と思い聞いてみた。
「まさかとは思うけど取りに行けって言おうとしてる？」
「さすがおぼっちゃま！」
さすがにむかっ腹がたった。僕を馬鹿にしているのだ。
「ふざけんな！おとぎ話だろ！」
僕は部屋に逃げ込んだ
