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超短編

冗談でしょう?

作者: しおん




「ずっと前から好きでした」






突然の告白に、私はこう返す。






「何の冗談ですか?」






私はいじめられっこらしい。

らしいというのは、私自身がそのことをあまり気にしたことがないからだ。


私は教室で、明らかに浮いている。

でもクラスメイトも先生も、だれも気にしないので特に気にならなかった。気にされていないことを気にしても時間の無駄だと思ったし、学校は違えど友達はいる。だから何も問題はなかったのだ。先日の事件が無ければ。


私はいじめ?の首謀者らしいクラスメイトに呼び出された。

呼び出しは男女問わず珍しいことではなかったので、めんどくさいながらも応じた。今となってはこの時点で断っておけばよかったと思っている。

呼び出された体育館裏に着くと、唐突に言ってきたのだから。


「ずっと前から好きでした」


まるで一世一代の告白でもするかのような態度でも、相手はいじめっこ。所詮しょせん罰ゲームか何かだろう。

それに、見分けもつかないクラスメイトの一人。気になっている相手ならまだしも、そんな奴と付き合うとでも?

馬鹿にするのも大概にしてほしいものだ。


「何の冗談ですか?」


早く終わらせてほしい。

私は早く帰りたいのだ。こんな得にならないことは放ってドラマの再放送を観たい。

でも彼は付き合わなければならない罰ゲームなのか、ちゃんとした返事を聞くまで返してくれないらしい。


「言わなくても分かると思いますが、連日机に落書きをしたり下駄箱に物を入れたりする人間に好意があるとは思えません。では帰ります、さようなら」


一方的に別れを告げると彼は呆然と立ち尽くしていた。

自分に自信があったのだろうか?何はともあれよかった。この時間なら急げば再放送に間に合うだろう。

私は彼のことなど気に留めず、家路へと急いだ。







夕日に染まったグラウンドとは対照的に影の落ちた体育館裏。

一人の男子生徒が途方に暮れていた。


「どうしてこんなことになってしまったんだろう」


きっかけは些細なことだった。

自分に好きな人ができたのだ。でもそれが、最大の原因でもあった。



恋心。



それ以外に彼女に向ける思いはなくて、気持ちが悪いといえば否定できないぐらい彼女を気にしていた。


そしてその気持ちが身近な友人たちにばれてしまったらしく、自分のことをからかいだしたのだ。それはいつの間にか彼女へと飛び火しからかうという行動は明確ないじめへとエスカレートしていった。

誰かが止めるだろうと心のどこかで思っていた自分は、クラスメイト、そして教師がわれ関せずという態度をとること予想していなかった。


そしてこの現状だ。

彼女の言葉はあたりまえのものだろう。






後悔するにはあまりにも遅すぎた。








読んでくださり、ありがとうございます。

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