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翠惺  作者: 水無月レイ
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第六幕「破滅への入り口」


翠「妖怪に・・・・・妖怪にやられたのか。晴明ってやつは・・・」


燈緤惺「・・・私が来たときは、晴明様は・・・・。」


翠「じじいからは、晴明は妖怪に滅ぼされたって聞いたが、・・ 


   本当だったとは・・・」


燈緤惺「信じてくださるのですか・・・?」



翠「ああ、妖怪はまだまだたくさんいる・・。」

  (妖怪・・・あいつがいるかもしれない・・。)



翠と燈緤惺は、自分のあった出来事話した・・。何もかもを・・。


時とは、理不尽なもので私たちの中にあり続ける。


翠「お前行くとこないんだろ。しょうがないから、ここにいろよ・・。」

翠はまじめな顔で私を見つめて言った・・。


燈緤惺「えっ・・いいの・・ですか・・・?」

燈緤惺は、翠に感謝しきれないほどの気持ちになって言った。


自分はなにも出来ないけれど・・・・・・・


翠(・・・燈緤惺か・・・どっかで聞いたことがある・・ような・・)


燈緤惺(晴明様にほんと似ている・・。でも・・・)

    「本当にありがとうございます。 翠様。」


燈緤惺は翠に笑いかけた・・。今はそれくらいしかできないのだから・・。


翠「あのさ・・様はいいから、翠でいい・・・。」


燈緤惺「あっえっと・・・・すみません。

    では・・・す、翠・・・。」


そのとき、翠は少し頬が赤くなっていた・・。


翠「あと・・あとさ・・」


燈緤惺「はっはい・・なんでしょうか。」


燈緤惺は少し驚いた表情で聞き返した・・。


翠「その敬語・・やめてくれない・・。調子狂うからさ・・。」

翠は少し小さな声で言った・・。


燈緤惺「すいません・・。なれるまで時間がかかりますので・・・

    本当に・・すみません。」


翠「じゃあ、適当なところで寝ていいから・。」


燈緤惺「は、はい・・・。」


燈緤惺は思っていた・・。

あんなにも晴明はつめたかったか・・・

自分の無力感・・ほんとはもっとやさしくしてほしかった・・・。


燈緤惺(・・・ほんとは、泣きたい・・・だって愛しい人を 

        無くしてしまったのだから・・・。)


燈緤惺は用意してもらった布団に入り、昔のことを考えた・・。


燈緤惺「晴明様・・会いたい・・。」

ポロ・・・



彼女はひとしずくの涙とともに、眠りについた



ピヨッピヨッ


燈緤惺「ん・・・・・・・・・」

鳥のさえずりとともに、太陽の光が部屋に差し込む・・・


燈緤惺(もう朝・・・・)「はぁ・・・」

彼女は深くため息をついた・・。


グキュー・・・



燈緤惺「おなかすいちゃったなぁ・・・」


燈緤惺は布団をたたむと、ふすま障子を開けて、廊下へと出て行った。


燈緤惺(ずいぶん大きなお屋敷・・・。でも・・・本当に

     桜印家にそっくり・・・)


燈緤惺「んっ・・・?いい香り・・・。」

廊下の向こうから、とてもいい匂いのご飯の香りがしていた・・。

燈緤惺はその匂いを辿って匂いのする部屋の前で止まった・・。


燈緤惺「ここ・・かな・・」

燈緤惺は息をのんでふすま障子に手をかけた・・。


スゥー

燈緤惺は静かにあけると・・・

そこには二人分の日本風で豪勢な料理が、並べられていた・・・。


燈緤惺「おいしそう・・・。」


奥の台所では誰かいる・・。

燈緤惺はこっそりその台所をのぞくと、翠が味噌汁を作っていた。


翠「何だ・・お前か・・・そこに料理があるから食え・・。」

燈緤惺「あっ・・はい・・・。」


燈緤惺は翠のエプロン姿に少し赤くなってしまった・・。


燈緤惺(私、なんで赤くなってんだろう・・・。でもほんと晴明様に似ている・・。)


燈緤惺は席に着くと、自分用に並べられた、ご飯に目を輝かせた・・。


翠「何、ながめてんの・。早く食えよ。洗い物もしなきゃ

   いけないんだからよ・・。」


燈緤惺「あっはい・・。頂きます・・。」

燈緤惺はにっこりほほえんで、おいしそうに翠の作ったご飯を食べた。


(そんなにおいしいのかよ・・)


翠は少し照れた顔で燈緤惺が食べ終わるのを待っていた・・。



洗い物し終わり、翠は着替えをして、玄関に出た・・。


翠「俺、学校に行ってくるから、お前はさっきの部屋で待ってろよ。」


燈緤惺「あの、学校とは・・・」


翠「あの昔で言う寺子屋みたいなもん・・・」


燈緤惺「・・そうですか・・・。わかりました・・。

     待っております・・。」


燈緤惺は少し悲しい顔をして、翠を見送った。

翠その燈緤惺の顔を見て・・・言った。


翠「なるべく早く帰って来るから・・。」

それなりに、翠の気遣いなのだろう。


燈緤惺「はい・・・。」


燈緤惺は自分の部屋に戻り、また眠ることにした。



暗い闇の中でも・・・



?「我が、君主・・・なにようでございましょう。」


?「あの姫をつれてこい・・。なるべく怪我をさせないように・・ 

   手荒なまねをしたら・・・わかっているな。」


その君主は、手元にある鏡の中の女性を指差した。


?「はっ! おうせのままに」

その妖怪はすぐにその場を立ち去った。


?「今、迎えに行くからな・・・・燈緤惺・・」


新たな闇が動き始める・・。

その世は、破滅へとつながっていく・・・・。
















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