第十二幕「夢」
学校へつくと、たくさんの人がいた。
それに、やけに視線が燈緤惺の方へいっている。
男子生徒「君可愛いね~」 ひとりの男子生徒が話しかけてきた。 周りにいた男子生徒も燈緤惺をみてニヤニヤしている。
女子生徒「あの子、誰だろ~?すっごいかわいい」 女子生徒までも、燈緤惺を見つめていた。
いつの間にか燈緤惺の周りにはたくさんの人盛り・・・・
燈緤惺「あっ・・あの・・・」 燈緤惺は逃げられない状態だった。
すると、
グイッ 翠「行くぞ・・」 翠が巻き込まれていた燈緤惺の腕を掴むと、 教室がある方ではなく、 反対の廊下へ歩き出した。
生徒の視線はまだ、燈緤惺に向けられている。
燈緤惺「あ、ありがとうございます。」
翠「気をつけろよ。」 スタスタと歩きながらだったが、 その「気をつけろよ」は、とても優しかった・・・・。
千「ちょっと~翠ー」 千が、後ろから追いかけてきた。 千「はぁ、翠いきなり早歩きするなんて、 僕を置いてって。」
千は少し嫌みのように言った。
翠「別に・・・・」 翠は、少し怒っているのか、千にイヤな態度を取った。
千「何、怒ってんの・・・・・ もしかして・・・・・」 千は何かを思いついたように、また話し始めた。
千「燈緤惺の制服姿を他の人に 見られるのが嫌とか・・・・」
翠「ふっ・・・ふざけんな。」 翠は、また頬が赤くなった。
千は翠を見ながら、ニヤニヤとし始めた。
翠「はっ早く、教室行くぞ・・。」 翠は、話しをもどす。
翠「じゃあ、お前は先生に見つからないように、ここにいろ。」 と言って、翠は使われていない調理室を指差した。
燈緤惺「はい。」
千「気をつけて。もし誰か来たら、どこかに隠れるんだよ。」 千はそう言って、翠と教室へと向かった。
燈緤惺「・・・・・・。」 燈緤惺は何もすることがないので、とにかくいすに座った。 燈緤惺(ここは、料理する場所かな・・・・。) 窓から光が差し込んで、調理室全体が光って見える。
燈緤惺(なんだか、とてもあったかい・・・・。) スゥー・・・
燈緤惺は眠りにつく。
晴明「燈緤惺・・・」晴明の呼ぶ声がきこえた。
燈緤惺「晴明様・・・・・」 はっ!・・・・ 燈緤惺(これは夢・・・・?私は翠様の学校で・・)
そこは、私が晴明様と住んでいた桜印家・・・。 いつも、にぎやかで、たくさんの動物たちがいて・・・・ けれど、そこには誰もいない・・・・。
暗い部屋の中・・・・・・。
燈緤惺「ここは、私の部屋・・」 燈緤惺は立ち上がり、見渡した。 なにもない・・・・・
燈緤惺は家の庭に行ってみることにした。
燈緤惺「・・・・・晴明・・様?・・・」 そこには、晴明らしき、人物が立っていた。
燈緤惺「晴明様っ!・・・・・」 燈緤惺は晴明に駆け寄った。
しかし、そこにいた晴明は消えてしまった。
燈緤惺「えっ・・・・」
何度現れても、すぐに消えてしまう。 しかし、 声だけが聞こえた。 「燈緤惺・・・燈緤惺・・・・」 燈緤惺「晴明様っ!・・・・・どこにおられるのですかっ!」 私は必死に呼びかけた。
しかし、その声は聞こえなくなってしまった。
どこにも・・・・
「はっ!・・・」 そこは、翠の学校の調理室だった。 燈緤惺(やっぱり、あれは・・・夢・・・・?)
すると、調理室のドアの向こうから 誰かが来る足音が聞こえる。
燈緤惺(どうしよう・・かっ隠れないとっ!) 燈緤惺は急いで、机の下に隠れた。
ガラッ ドアを開ける音と共に、誰かが入ってきた・・・・・。