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翠惺  作者: 水無月レイ
10/13

第十幕「幸せなこと」

燈緤惺(晴明様・・・・)

どうしても思い出してしまう。

忘れたくない、忘れられないこと・・・・


私はこのまま進んでも良いのだろうか・・・・

こんなたくさんの人と、食卓を囲んで笑いあっても

良いのだろうか。


燈緤惺が考えるなか、翠がある話をしてきた。

翠「お前を、一人にしておくのは少し危険だな・・。」



きっと、昨日の昼間の妖怪のこと・・・・

確かに、狙われる理由が分からない。


千「確かに、神社と言えども、妖怪が来ると危険だね・・・。」


「・・・・・」

翠も千も、燈緤惺をどうするかでとても悩んでいた。


燈緤惺「・・・・・」

燈緤惺も言葉がつまる・・・


「んー・・・・・」

悩んだ末の決断は・・・・


千「学校に行くというのは・・・・どうだろう。」

きっと考えて考えて出した結果。


翠「まぁ、俺たちが近くにいれば安心だが、

       お前が嫌じゃなければ・・・」

翠も燈緤惺に答えを出させようとした。


燈緤惺「私は・・・・」

燈緤惺の言葉がつまる・・・

(どうしよう・・・)


翠「じゃあ、決定。」

燈緤惺がいう暇も無く、決められてしまった。


燈緤惺「えっ・・・・」

燈緤惺は少し焦った。

(答えを聞いてきたのに・・・・答えられてしまった。」

燈緤惺はしゅんとなった。


すると翠は、

翠「大丈夫だ。俺たちが守ってやる。

    心配しなくても、お前なら・・」

翠の頬は、少し赤らんでいた。


千「僕もついてるよ。翠なんかには渡さないから・・」

ニコニコしながらも、さりげなく怖い・・・・。


燈緤惺「・・・ありが・・・とう。」

二人はとても優しかった。私はこのままでいいのだろうか。


千「じゃあ早速制服だね。」

燈緤惺「制・・・服・・?」

千が訳の分からない単語を並べてきた。



千「制服は学校って言うところの指定の服なんだ。」

翠「さすがに着物だと、怪しまれるしな・・」


千「では、着てみようか。」

千が私の着物に手をかけた。



燈緤惺「大っ大丈夫です。」


翠「おっおいっ!」

翠は、千の手をはらった。


燈緤惺「あっ・・ありがとうございます。」

翠「千、何やってんだ。」

翠の口調は少し怒っていた。


千「やだなぁー翠・・。着方が分からないからだよ。

    今まで、着物しか着たことないんだから。」

またニコニコしながら、言った。


翠「じゃあ、着方だけ教えればいいだろっ・・・・」

翠は、そっぽを向いて言った。


燈緤惺「分かりました。」

燈緤惺は着方を教えられると、隣の部屋へと移った。


ふすま

 襖 を閉める・・・。


燈緤惺(私・・・・。ほんとにいいのかな・・・? 

     こんな楽しい場所にいていいのかな・・・?

    桜印家にいた時も、すごくにぎやかで・・・

    たくさんの兵士たちが、私と話をしてくれた・・・・。

    毎日が毎日が幸せだった・・。

    時の流れを長く感じていた。

    

    けれど、もう失ってしまった。

    きっとこのままだったら、あの人たちを失ってしまう。

    晴明様と同じように・・・・・・)



燈緤惺は胸に抱えていた制服を握り締める・・・・・。



ポロ・・・・・

一粒の涙が頬をつたった・・・・・。


隣の部屋では、翠と千の声が聞こえてくる。

他には朝の小鳥たちのさえずり・・・


大好きだったあの頃を思い出すだけで、

燈緤惺は悲しかった。



もう取り戻すことができないこと・・・・

全ての悲しみが溢れ出した。









































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