異世界転生
ギャッ! ギャッ! ギャッ!
なんだ? この不気味な声………。いや、ていうか、頭がすごく痛い。
ギャッ! ギャッ!
いやだから何の声だよ。アヒル? ガチョウとかの鳴き声か?? 頭に響くから静かにしてくれ。
俺はうっすら目を開けた。地面がすぐそばにあった。どうも倒れているらしい。
痛む頭を堪えながら、ゆっくりと体を起こした。眼下には、辺り一体が木々で覆われ、地面は背丈の低い草で茂っていた。木漏れ日が点々と辺りを照らしている。
お、おいおい!? ここ、どこだよ!? 俺、たしか会社で仕事してたよな!?
ギャッ! ギャッ!
無気味な声にハッとした。慌ててそちらに振り向いた。
なっ!? なんだこいつら!?
人の姿、に似ていた。でも人じゃない。肌の色が異質だった。全身が明るい緑色をしている。それに頭髪もなく、耳が異様に尖がっている。口は大きく、よだれが出ている半開きの口からは、鋭い歯を覗かせていた。舌は、血のように赤い。
こ、こいつらって、ゴブリンじゃねっ!? に、日本に実在してたの!? いやいや、そんなわけあるかい!!
3匹いるゴブリンらしき者達が、俺をじっと見つめていた。や、やべぇ!! こ、殺される!?
1匹のゴブリンが、俺に近寄る。わわっ!? く、来るな!?
大きな口が開いた。
ギャッ、ギャッ(おい、平気か?)
えっ!? ええっ!? 俺の体調心配している!? な、なんでだ!? つっ!? あ、頭が痛い。
ギャッ、ギャッ(頭に強くあったからな、少し休んだらもとに戻るだろ)
えっ? 頭に何か当たったのか俺? って、もしかしてその手に持っている棍棒みたいなのか!? そ、そんなので殴るなよ!? って、俺なにゴブリンと普通に話してんだよ!?
ギャッ、ギャッ(おい、そいつは置いてこうぜ。待ってるのが面倒だ)
ギャッ、ギャッ(飯でも食いに行こうぜ)
ギャッ、ギャッ(そうだな)
後方にいた2匹のゴブリンがそうまくしたてると、正面にいるゴブリンが端的に答えた。
3匹のゴブリンが俺に背を向け、木々の奥へ進んでいく。
お、おいおい。ちょ、ちょっと待てよ! 一体全体何が起こってるかさっぱり分からない! いててて!
頭を触ろうとして、自分の手を持ち上げた。視界に映った自分の手にギョッとした。
み、緑色!?
自分の手を隅々まで見る。み、緑! う、腕まで同じ緑色!?
ま、まさか。
自分の顔に手を当て、口の中に指を入れた。
びっくりした。鋭い、犬歯みたいなのがたくさんある、感触。
お、俺、もしかして…………。
「ギャッ、ギャッ、ギャーーー!?!?(ゴブリンに転生してなくないかぁぁぁぁぁーーー!?!?)」
不気味で大きな声音が、虚しく森の奥地で響くだけだった。




