第64話:全ての罪を暴きます~ブラッド視点~
“まさかラドル様が、アントアーネ様の良くない噂を流していただなんて…それにお金にものをいわせて、病気の家族がいる令息を、あんな風に使っていただなんて”
“自分の手を汚さずに、身分の低い令息にさせるだなんて。どこまで卑怯な奴なんだ!心底見損なったぜ”
“ここまでラドルが最低ない奴だっただなんて…それじゃあ俺たちが、今までアントアーネ嬢にしていたことは…”
“そういえば昔、アントアーネ様が”悪い噂を流していたのはラドル様”と言っていたことがあったわ。まさかあの言葉が、本当だっただなんて“
“よく考えてみれば、誰にでもお優しいアントアーネ様が、その様な事をする訳がないのに…それに一度もラドル様に、暴言を吐いている姿を見た事がなかったわ。私、アントアーネ様になんて事をしてしまったのかしら”
一斉に元クラスメートたちが、騒ぎ出したのだ。
「皆様、彼の罪はまだありますよ。クラスメートの方たちなら覚えているでしょう。俺に不正をはたかせようとした事件と、俺が令嬢に襲われそうになった事件を。それも陰で操っていたのは、ラドル殿だったのですよ。どうぞお入りください」
次にやって来たのは、ラウレス子爵令息とアイーナ嬢だ。
「ラドル殿、君は彼らとの密会を、貴族学院で行っていたね。実はね、貴族学院には防犯対策で、ありとあらゆるところに監視カメラが設置してあるのだよ。君と彼らの会話も、バッチリ映っていたよ」
早速映像を流した。
そこには、アイーナ嬢とラドル殿が映し出される。
“ラドル様、本当にブラッド様が手に入るのですか?”
“ああ、そうだよ。僕が使用人を使ってうまくブラッド殿を教室に誘導するから、後は彼を襲えばいい。彼にはあらかじめ、興奮作用のなる薬を飲ませておくから。この薬は、体も思う様に動かなくなるものだから、きっと令嬢の君でもうまく押し倒せるよ。
君たちが愛し合っている様に見せかけているところに、アントアーネを連れてくるから。さすがに不貞行為を働くような男、アントアーネも嫌だろう“
“こちらも既成事実を作ってしまえば、さすがにブラッド様も、私を受けれてくれますものね。分かりましたわ、お願いします”
この映像は、アイーナ嬢も自業自得なところはあるが…現にみんな、冷めた目で映像を見ている。一応本人の許可も取ったし、問題ないだろう。
「次はこちらをご覧ください」
画面が変わり、次はラドル殿とラウレス子爵令息が映し出された。
“あのにっくきブラッドの机に、この紙を入れるんだ。不正をするような奴だとわかれば、アントアーネもきっと、あいつを軽蔑するだろう”
“ですがラドル様、ブラッド様はリューズ王国の侯爵令息です。もしバレたら、ひとたまりもありません。この様な事は…”
“君の母親、随分と体調がよくない様で、今度他国で手術をするのだよね?その費用、準備できるのかい?”
“それは…”
“君が断れば、母親の命はないぞ。それでもいいなら、断ればいい”
“分かりました…引き受けます”
肩をがっくり落とし、力ない声で答える令息。その瞬間
「ラドル、お前、さすがに最低だぞ。母親の命を盾に、その様な事をさせるだなんて!」
「本当に最低ですわ。ラウレス子爵令息が気の毒すぎます!あなたは人間の仮面をかぶった、悪魔ですわ!アントアーネ様の件も驚きでしたが、こちらも酷いですわ」
「アントアーネ様、ラウレス子息令息様、本当に申し訳ございませんでした。同じクラスメートとして、ラドル様の思惑にまんまと嵌められてしまった事、恥ずかしく思いますわ」
「私もです、お2人とも、本当に申し訳ございませんでした」
「「「「私(俺)たちもです」」」」
ここにきて、元クラスメートたちが謝罪を始めたのだ。そんな姿を、冷ややかな表情で見つめるアントアーネ。当然と言えば当然だろう。今まで散々アントアーネを傷つけて来たのだ。
アントアーネの言う事など耳もかさず、ただラドル殿を庇い続けてきたこいつらが、何を今さらそんな事を言っているのだか…




