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積もる秘密。

「ーーー・・つまり、ツキヨノさんを本間寺の権威付けに利用させないために、飛び出したと...」


「大体そうだ。」


「...うん。」


即応科内務室へと戻り、茹でたうどんを皆で食べながら、諸々の事情を共有してから話の続きを始めた。


「てか....お前は一回見たことあるから、誰か分かってただろ....」


「まぁ、絵面がまずかったので...つい。」


才亮、汐留両者の言い分はどちらももっともであった。


「経緯は良しとして、月葉ちゃんたちはどうします?」


そして、これからどのような流れで進むのかというものあるが、初めに未成年である彼女の扱いについて明確にする必要があった。


ーーー召喚獣関連法 一部抜粋。

....当該事案において、関係者が未成年かつ身元引受人が即座に参上できない場合は、召喚獣管理省は召喚獣と共に召喚主を保護できる。


「兎角、朝になったら月葉とツキノヨを管理省が引き受け手続きをしたとして、次は...」


「どれくらい居れるの?」


「そうだな....長くて二週間だな。」


正確には身元引受期限は定められていないが、彼女の懸念へ対処するのにそれくらいまでは粘ることができた。


「見つからなかったら?」


「本間寺は親戚が多いから、いるだろ大勢。」


「居なくなったら?」


段々と彼女の瞳が曇っていき、極端な方策へと舵をとる。


「こらこら、落ち着きましょう。」


「っ....でも...」


もうあの限られた自由しか与えられない閉塞した庭に戻りたくない一心で、のめり込んでいた彼女は、後ろから汐留に抱擁されて剣呑な空気が弛緩した。


「これでも、月葉の置かれている状況は理解している。それに本間寺は叩けば埃しかでてこないだろ?」


茶菓子の包装紙や釜揚げやらで散らかっているテーブルを片しながら、月葉に少なくともお前の目の前にいる大人たちは味方であると示した。


「そうですね。本家もガッツリマークされてますし」


汐留は才亮がいつも座っているソファーの前に置かれた関連調書からも、その情報の密度から寺や宗教、関連企業への監視は常々行われていた。


「まぁ....一番は、龍泉寺に身元引き受けしてもらう方がいいんだが....」


「あーっ!私もそれが一番いいー!」


「え、才亮さん。龍泉寺にコネがあるんですか?!」


片付けを手伝っていた彼女と汐留は、才亮がいったその発言に耳をぴょんと立てて彼に駆け寄った。


ーーー龍泉寺。

ネットにも文献にもそのお寺の存在は周知されている。しかし、そのあまりの鎖国具合と徹底した情報保全から、各省庁内でも限られた人しか概要を知らないお寺であった。

事実、事務次官や大臣でさえ敷地内に入ることは困難であり、彼らでさえも龍泉寺についてはぼんやりと龍型か、龍っぽい召喚獣を管理保護している程度しか知らない。


「....ん...まぁ....あったな。」


純粋無垢のダイヤモンドみたいな瞳を煌めかせている彼女たちを前に、才亮は申し訳なさそうに目を逸らした。


「ん?」


「何故、過去形...」


雲行きが怪しくなり、彼女たちの煌めく表情は萎んでいった。


「前に色々あって....永年出禁になってる。」


「「......」」


物理的かメタ的に龍の尾を踏んでしまったか、それと同等の事をした事は想像に難くなく、彼女たちは完全に押し黙ってしまった。


「一体何を....」


「....ともかく、本間寺から月葉の引き受け責任を取っ払うため、喫急かそれと同等の事情での理由が必要になるんだが....なんかあるか?」


汐留は怖いもの見たさというのもあって、恐る恐る聞こうとしたが、彼は完全にその話の線を断ち切って話を修正した。


「....うーん。多分お金関係はないかな、あいつは金勘定だけはできるから」


「....そうか。」


世界最強の日本国国税務局が持ってしても、現在まで本間寺が存続できている時点でその線はない様だった。


その後、他、週刊誌視点での不祥事やスキャンダルがないか聞いてみても、生まれてからずっと本間寺の大体を知っている月葉ですらそれらに該当するような実態はなかった。


そうこうしていると、夜が明けてしまい即応科棟の内務室に朝陽が差し込む。


「.....?」


才亮がいつも座っている燻茶色の革張りソファーで毛布に包まりながら、完全にくつろいでいる月葉の澄み切った青い目と目が合った彼は目を細めた。


「...お前、眠くないのか?」


「ん、まぁ...ツキヨノが寝てるから大丈夫。」


当たり前のように彼女がそういうと、大人二人は理解するのに時間を要した。


「.....は?」


「ん?」





ーーーー( ^ω^ )<それからどしたの





「おっはようございまーす!」


いつも通りの朝、即応科棟に着いた彼女は内務室の扉を開けて元気よく挨拶をした。


「おはよう。」


「おはようさん。」


「おはよー」


「昨日は出動サイレン鳴らなかったんですよね、いやーやっぱり龍型の召喚獣なんて管理官といえど...」


荷物をデスクに下ろしながら、時雨は昨日の武田たちの接敵情報や一応目を通した該当調書からも、その存在の確度の訝しみを呟いていると、内務室の窓の外を夜空の色をした龍が通り、時雨と目があった。


『....クゥ?』


「.....ははは...またまたぁ....シゲモチさんが変化したんで...」


あーこのパターンね。と汐留からちょくちょくと変化させたシゲモチさんでイタズラされていたのと同じ事象と思い、窓を開けてそれに触る。


「...しょ....う..?」


『....クゥゥ』


時雨は確かめるようにペタペタとそれの鱗や鼻の側面を触ると、龍にみえるその召喚獣は気持ちいところをさすられて龍の声で甘撫で声を漏らしていた。


「...へぇー、この人には触らせてあげるんだ...」


「...ん?え...っと...どなたでしょうか?」


固まっていると時雨の隣には、10歳くらいの女の子が立ってその召喚獣に少し膨れていた。


「私は本間 月葉。よろしくね。」


「あ、はい。どうも、私は即応科の時雨 千智です....って...ん...んんん??」


朝から情報量が多すぎて、時雨の頭は沸騰寸前だった。


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