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友人史  作者: 海星
3/4

長州力

 「大家の娘が部屋に忍び込んで来るんだよ」と緒方。

 「自慢かよ。

 死ねよ」と僕。

 「自慢じゃねーよ!」

 「どうだかな。

 一応、参考までに聞いてやる。

 その『大家の娘』っていうのは有名人でいうと、誰に似てるんだ?」

 「長州力」

 「へ?」

 「長州力だよ、知らないのか?」

 「長州力って革命戦士の?」

 「革命戦士かどうか知らないけどプロレスラーの長州力だよ!

 俺が大学に行ってる間に金目のモノを少しずつ持っていくんだよ!」

 「警察案件じゃねーか!

 僕には手に負えねーよ!」

 ・・・というように、僕らには女っ気が全くなかった。

 緒方は悩んだ末に下宿を変える。

 その下宿が環境的に酷いところで池尻大橋だったが、首都高の真下という『騒音マニア』がこの世にいるなら泣いて喜ぶ立地だった。

 しかもエアコンなしで窓を閉めていると45℃を越えるという『灼熱マニア』がこの世にいるなら泣いて喜ぶ物件だった。

 僕らは緒方の家に泊まりに行っては、頻繁にコンビニに涼みに行った。


 女っ気なしで年頃の男共が生きていけるのか?

 答えは『No』だ。

 僕らは砂漠で水を求めるように『女っ気』を求め続けた。

 ゼミに一人だけ女の子がいた。

 見た目は普通、「見ようによっては可愛いと言えなくもない」という微妙な感じだった。

 彼女は乗馬部の『一芸入試』で大学に入ってきていた。

 『一芸入試』というのはよくわからない。

 『一芸入試』で入学した人らは「何で入学したのか?」をひた隠しにする傾向があった。

 やたらけん玉が上手い『一芸入試』で入学したヤツがいたが「おまえ、もしかしてけん玉の『一芸入試』で入学したの?」と聞いても頑なに『Yes』とも『No』とも言わなかった。

 そんな話はともかく、乗馬はとにかく朝が早いらしい。

 早起きして馬の世話をして、ようやく馬の世話が終わって少しだけ寝たつもりが豪快に寝坊して、ゼミ選びに遅れたらロクなゼミが残ってなかったらしい。

 ・・・で植松ゼミの紅一点になった、と。

 彼女には彼氏がいた。

 なのに周りにチヤホヤして欲しかったんだろうか?

 やたらと『彼氏と上手くいってないアピール』した。

 それを『自分にも彼女が出来るチャンス』と考えて猛アタックする男もいた。

 だが、僕は高校の短い間に彼女がいて『別れた理由』というのが、周りの男に『彼氏と上手くいってないアピールをする事』だった。

 つまりそういうタイプの女が大嫌いだった。

 で、僕は彼女に「馬って本当に『馬並』なの?」という最低最悪の下ネタの質問をする。

 それ以来、その女の子は僕と口を聞いてくれなくなった。

 その女の子は『レポートから卒論に至るまで、全てを彼氏にやらせた』という伝説の持ち主だ。

 上手くいってない彼女のために400字詰めの原稿用紙150枚も卒論なんてかいてやる男がいる訳がない。

 彼氏とヨロシクやりながら、卒論を書かせて、他の男に色目を使っていたのだ。

 僕は今まで誰にも言わなかったがこの女が大嫌いだ。

 まぁ、好意的にここには書こう。

 馬に騎乗し、その技術の一芸で大学に入った彼女は、男にも騎乗し、上手く操りながら卒業するつもりなんだろう。

 彼女・・・の彼氏が書いたレポートで『生乳(せいにゅう)について』のレポートがあった。

 それを彼女は最後まで『生乳(なまちち)』と読んだ。

 助教授は真っ赤になり爆発寸前。

 それを見ながら僕は爆笑をこらえていた。


 まあ、僕も年頃の男。

 女に興味がなかった訳じゃない。

 新宿に遊びに行った帰りに今もあるんだろうか?『1時間800円』というテレクラ『リンリンハウス』に寄る。

 因みに1時間800円とは別に『電話回線使用料』700円を取られる。

 そこで人妻と知り合う。

 「美人局じゃねーか!?」とヒヤヒヤしながら・・・淋病をもらう。

 それが僕の童貞を捨てたエピソードだ。

 この話は今まで誰にもしていない。

 抗生物質を飲んだら、尿道からサナダ虫みたいな膿がウニューって出てきた話も誰かにしたかったけどしていない。

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