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六人の忌み子のお話  作者: untitled
1世界からの嫌われ者
20/24

陰陽は闇を仙人は影を祓う

仙人に呪詛は効くよ

祈祷の声が聞こえる。


安倍晴明


その血を受け継ぐ人間たち

東方最大の陰陽家

安倍家ともいわれている。

毎日のように続いている祈祷

今、彼らはあの鬼龍の家にいる。

藤原陰陽師家の落ちこぼれを祟り、祓おうと、必死に祈祷と唱え続けた。

その祈祷はすでに一週間に達していた。

霧が、だんだんと濃くなってくる。

一秒たりともずれずに聞こえる祈祷の声

最初は見物がいたものの、もう既にいなくなっていた。

樒の緑の葉が、赤く染まり始めている。

それに気づくと、一瞬のうちに赤くなった葉は切り落とされ、地面に落ちると同時に消えた。


「、、、やめ」


中心位置に立っていた男がそう言った瞬間に、祈祷は止まった。

周りに漂っていた白い霧が消える。


「未だ、抗い続けているというのか、、、、」


葉が殆ど抜け落ちた樒を見てそう呟いた。

茎だけの樒もあった。

数秒後には灰となって消えた。


「あの穢れた子を祓わねば、我が陰陽家に安泰は訪れぬ、、、、」


「ならば、根本から叩き落としてみるのはどうでしょうか?」


後ろを振り向くと、明るい表情をした青年がいる。

ニコニコと眩しいと言わんばかりの笑みを浮かべていた。


「、、、、根本から、とは、どういうことかね?」


袖で口を少し覆いながら話した。


、、、、女性のような仕草が抜けないのは、私の悪い癖


そう思いながら、彼の言い分を聞いてみることにした。


「穢れたあの女子には、夫と使えるべき主がいると聞きました。ならば、それらを祓うことが、先決なのでは?」


確かに、一理ある。

しかし問題は、、、穢れの使える主、つまり、妖鬼の次期当主、、、、


「、、、、穢れの主となるものは、神として、この世に存在している、それならば、夫、となるものを祓った方が速い、、、、」


「穢れている神を許していいのですか!?」


「人は神には勝てぬ、、、、それだけの話だ、、、。」


神にあらがおうとした人間はみな等しく死ぬ。

その定めは、最初から決まっているのだ。

神にあらがうものは、天災に遭い、死ぬ。

生き残った者は、存在しない。

それがこの世の理なのだ。


「では、その夫はどうやって祓うのですか?」


「祈祷に決まっておろう、呪い殺すのだ。」


「それよりも!、直接殺害しに行ったほうが早いかと、、、!」


「ならぬ、血で穢れてしまう。」


「そんなこと、後で拭けばよいではございませんか!」


「黙れ!!」


おっと、声を荒げてしまった。

ううんと、咳払いをして、続きを話す。


「穢れとは、そうそう簡単に祓えるものではない。分かったら、さっさと戻りなさい。学問は終わったのか?」


そういうと、何も言わずにどかどかと去って行ってしまった。

まったく、親不孝な息子だ。

そう思いながら、一度祈祷の間を退出し、少し休息をとってから、祈祷を再開しようと思った。






「あ~、呪詛引っかかった気がする。」

のんきにそう話す三番


「、、、、マジで言ってる?」


「マジだよぉ?」


うわめんどくせと言わんばかりの顔をする二番

目元は狐面で分からないが、口元だけである程度は予想できる。


「な~んか体だるいんだよね~」


のんきに話す三番

何事にも能天気なのはうらやましい


「てかさ、二番さんはこきょーに帰んなくて大丈夫なの?呼び出されてなかったっけ?」


「あー、、、、、」


少し乱雑に頭をひっかく


「そういや、呼び出されてたな、どっかで帰んねえとまずい」


まぁた、あのシスコンに会わなきゃいけねえのかよ。

そう思うと気分が憂鬱になる。

帰んないと王妃サマがうざいんだよな、、、、

うざったそうな顔をしていると、三番が顔を覗き込んできた。


「故郷ある人たちは大変だね~、僕にはないけどっ☆」


「捨てたんだろうが」


六大幹部あるある、故郷は当の昔に捨てている。

まぁ、ほぼ当たり前のような話だ。

今更って感じでもある。

俺自身も、第二の故郷にしか帰っていない。

いや、第二じゃない、あそこが第一なんだ。

故郷は二つもないんだ。

あんな場所は、故郷なんてものじゃない。

そうやって、自分に暗示をかけた。

そうでもしないと、おかしくなってしまいそうだ。

鬼に呪詛は効かないよ

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