中央魔法界妖鬼対策本部
妖鬼および魔王五大幹部を討伐するために作られたこの政府公認の組織
はて、討伐とは、どこまでが許されているのだろうか
彼らに死など存在しないというのに
鎖につながれている間は
「味方になることは難しい!?」
突如オフィス内に響き渡った怒号
部長が怒り狂ったような顔で応答している。
「何なんですか!?貴方達は、妖鬼に世界を滅ぼされてもいいと、、、、!!!」
ここからの距離では、電話相手は何を言っているのかは分からないが、部長を怒らせるほどの"やばいこと”を言ったのだろう。
たしか、電話をしている先は、東方仙人界の代表取締役、だっけか
そんなことを思いながら、私はパソコンのキーボード音を鳴らしていた。
「チッ!」
部長が、大きめの舌打ちをして電話をガチャぎる。
そのままドカッとイスに座った。
反動でイスが少し回る。
「い、一体どうしたんですか、部長?」
部長と比較的席の近い友人が聞く。
気の弱い友人は、少し怯えていた。
「『仙人界は妖鬼への対策や討伐は受け付けていません』だとよ!?巫山戯てんのか!!こちとら世界の危機なんだぞ!?」
世界って言うか、中央魔法界の危機なんだろうけど
妖鬼にドラゴンや鬼人が居ることが発覚したから、魔法使いでは対応できない所がある。
鬼人もとい、鬼の討伐に向いているのが、東方に存在している、『陰陽師』と、『仙人』だ。
先程、陰陽師の協力は得られたが、仙人の協力は得られなかった。
一体、どういうことなのだろうか
「ち、因みに、出て来た仙人様は誰だったんですか?」
ギロリと一瞬友人を睨んでから、部長は口を開いた。
「仙人界最強の英雄、妖葉龍仙人様だってよ」
なんと相手は、仙人界を滅亡の危機から救った大仙人様だった。
となると、まともに戦っても、勝てるわけは無いのか、
仙人様も、魔力攻撃はほぼ無効化できる訳だから、、、、
エンターキーを押すと、画面が入れ替わり、終了の画面が出て来る。
私の仕事はこれで終わり、後はもう、さっさと帰りたい気分だが、、、
まぁ、部長がそうさせてはくれないのだろう。
休憩室に入って、のんびりとコーヒーを飲んでいると、先程部長に色々言われていた友人が来た。
「大丈夫?結構メンタルきてない?」
「あはは、大丈夫だよ、このくらい、、、」
あからさまな作り笑いを浮かべる彼に、もう少し素直になれば良いのにと思った。
可愛そうなので自販機で缶コーヒーを買って差し上げる。
友人は、最初は驚いた顔をしたがすぐに
「ありがとう」
と、優しく笑って受け取った。
二人で雑談しながらコーヒーを飲んでいた時だった。
『西方軍基地から両大佐が来訪されました。出迎えますので、職員はエントランスにお集まりください。』
放送部員の放送がかかる。
私は友人と共に休憩室を出て、エレベーターを利用して、エントランスまで向かった。
「えー、本日は、お忙しい中、こちらの妖鬼対策本部に来てくださり、まことに、ありがとうございます。」
「いえいえ、こちらの勝手できただけでございますので、お気になさらないでください。」
一瞬、社員が目を見開く。
「中央の言語を喋れたんですか、!?」
部長が驚きながらも敬語を頑張って使う。
「多少、ですが、まともに使えるのは私くらいですよ。」
「いやはや、それでも素晴らしいことにございますよ。西方軍基地女大佐、アイス・フリーレイン様」
部長がそう言い終わると、女大佐様はにこりとほほ笑んだ。
白と金色の二色の目、、、、
オッドアイとは、珍しい
そう思いながら、女大佐様を見つめていた。
あれ、そういえば、男のほうの大佐は、、、、、
「失礼ですが、大佐様は、どちらにいらっしゃるのでしょうか、、、?」
部長が訪ねている。
「あぁ、あのバカは遅刻ですので、気にしないでください。」
「ば、バカ、?」
見事なまでの毒舌
遅刻って、軍部って時間厳守だったんじゃ、、、
「Sorry I'm late!」(すまない!遅れた。)
明るい言葉が聞こえた。
奥のほうから大佐様が歩いてくるのが見えた。
遅刻しているというのに、急いでいるふりも見えない。
「You're late. Please come early and introduce yourself.」(あなたは遅刻をしているのですよ、早くこちらに来て、自己紹介をしてください。)
「ああ、すまないな、西方軍基地大佐のサシャイン・ボルファーノだ。」
この人もこちらの言語がペラペラなのか、すごいな、、、。
黒の短い髪に、オレンジがかった赤のメッシュ、、引き込まれそうなほどのきれいなオレンジの瞳、、、
イケメンとは、この人のことを指すのだろう。
「はぁ、うちの大佐がすいませんね。」
「いえいえ、大丈夫ですよ!」
「Did you cause any problems?」(なにか、問題があったのか?)
「You seem to be quite stupid」(あなたは相当なバカなようですね。)
「Why?」(は?)
何をしゃべっているのかは分からないが、多分、口げんか的なのをしている気がする。
てか、ほんとに遅刻してくるって、結構間抜けな人な気がするけど、西方はこれで大丈夫なんだろうか、、、、?
不安になりつつも、この本部を案内することにした。
任されたのは、下っ端にしかすぎない私と友人
友人は一瞬、終わったといわんばかりの顔をした。
仕方なく、了承することにした。
頑張らなければ、うまくいけば、
昇進のチャンスがあるから
裏話
この世界の言語は
東方→中国語(場所によってはハングル)
中央→日本語(その他多数の言語も存在)
西方→英語(地方によってはフランス語も存在)
的な感じだと思ってください。
ハングルが使われているのは主に仙人界の老人たちです。
西方では、都市部付近は英語ですが、地方に下がっていくにつれ、フランス語も混ざってくるそうです。
中央は言語は日本語が主流になっているところが多いですが、多文化社会なので、多数の言語が使えるように教育されていますが、得意な人は得意で、苦手な人はとことん苦手らしいです。




