Ⅸ東方通行及び在住許可証
こちら側に来ては行けない
見てはいけない
いや、見ないで
お願い、見ないで
私達の過去を
荒らさないで、
思い出したくも無い
帰って
お願い
お願い、
東方地では、魔力持ちは忌み子と呼ばれるため、
中央魔法界出身者が通るには難しい場所だ。
その為、関所にて許可証を貰う必要がある。
まぁ、その為には大量の金が要ることは、目に見えているのだが、、、、、
「ありがとーごぜーやしたー」
気怠い
給料がいいからという理由でこの仕事に就いているが、まぁ、暇、暇
一応説明しておくと、
ここは中央魔法界と東方の関所
許可証は、ここでたっっっかい金を払ったらもらえる。
普通の人には手の届かない額で、
まぁ来るのは国のお偉いさんとか、異世界人様とか、たま~に豪族もくるっちゃあくる。
ただ、魔力持ちを追放する東方に、行こうとする人なんてほぼいないわけだ。
しかも、最近は魔王五大幹部っちゅう奴らも来ちゃったから
余計に人が減ったわけ!
おかげで給料減ったし、暇だし、
毎回片手間で別の仕事やってる。
まぁ、おれは魔石の加工が得意なわけだから、片手間でアクセサリーとか作って売る訳よ、そうしたら、減った分の給料もまかなえて、俺の生活は安泰!
ってなわけで、仕事してる。
コンコンと、ガラスをノックする音が聞こえた。
「すまん、東方の許可証を売ってくれないか?」
「あいよ、じゃあ、ここにお名前と職業を書いて貰って」
「分かった。」
そう言って、渡されたカードに綺麗なガラスペンを使って書いていく。
後ろに二、三人ほどの連れを見つけた。
「あ、お連れさんも、書いてくだせぇ!」
はっとしたようにこちらを見てから、そそくさとやってきた人にまたカードを渡す。
連れは3人、合計で四人か、
名簿にスラスラと書き進める。
名前は、、、、、
ショウタ・スズキ
サトミ・モモセ
リョウタロウ・タナカ
アーリディ・ヘルダゴス
職業は、、、、、
「おっと、異世界人様でしたっすか、」
上3人は異世界人、最後の1人は外交官様だった。
「かけました。」
サトミ様が、カードを手渡す。
渡されたカードの内容を名簿に書き込む。
「どれくらい在住するつもりっすか?」
「一月ほどの予定だ。」
「わかりやした。」
戸棚から、腕輪を取り出し、メニュー画面から、いろいろ記入する。
「んじゃあ、これを利き手と反対の方の腕につけてくだせえ、後は、このカードを常時持ち歩くように、延長する場合は、またこちらに来るか、東方の大陸図書館で延長可能っス。」
「分かった。」
「代金は、四名様合計で200Gっす」
あぁ、この世界の通貨について、説明してないんか、
下から順に
B(銅貨)
S(銀貨)
G(金貨)
Q(クリスデッド聖貨)
銅貨10枚分が銀貨1枚、銀貨100枚分が、金貨1枚、金貨1000枚分が、クリスデッド聖貨1枚、って感じだ。
普通の人の月給の平均がまぁ、銀貨10枚前後、お偉い様の月給は平均して金貨4枚、最大で金貨50枚ちょっとくらい
で、異世界人様の月の生活費は金貨100枚!
その分、豪遊する人が多いって訳だ。
こっちの通貨は結構安めなんだよ。
まぁその分、給料の数は少ないんだが、
まぁ、量なんか魔力量で決まるし、、、、、
まぁ、そんなことは置いておこう。
「これでいいか?」
置かれた袋の中身を確認する。
「いち、じゅう、ひゃく、、、、、うん、大丈夫ッス、じゃあ、お通りくださいッス」
そう言うと、一礼して、東方へと向かっていった。
「ここが東方、、、、、」
中央魔法界では見たことの無いような風景が広がる。
辺り一面が和で染められていて、中央魔法界とはまた違う世界を感じる。
着物を着ている人の方が多く見えるが、たまに違う、風変わりな服を着ている人もいる。
そう言う人の大半は、仙人様らしい。
そして、ここには
魔力を持った人は一人もいなかった。
「不思議な気分だ、、、、、」
国から派遣された外交官は珍しいものを見るかのような目でそう言った。
まぁ、魔力持ちが普通の世界で生きていたから、仕方ないとは思う。
ここで私達がやることはただ1つ
「ただいまより、魔王五大幹部の情報収集を開始する!」
忠告したのに
探さないで
帰って
お願い
来ないで
お願い
何も見ないで
お願い
嫌だ
ねぇ、
誰か
止めてよ
お願い
お願い
お願い
思い出したくも無い




