開始→① ~心の鍵の探し方~
私の命がこの世界で始まったのは
少し寒さが目立つ様になって..
世の中の人がルンルンで冬服を選んで..
早い人だとクリスマスは何しようか?..なんて
浮かれた話題を考えてる季節
まだ世の中が今ほどは便利ではなくて
働き手に対しての配慮や考慮が今ほどある訳でもなく
きっと企業で働いていたサラリーマンさんは
バタバタと企業の為に、家庭の為に、
何かを犠牲にしながらも、働いていた時だろう
私がこの世界で生を始めた季節と時期を
サラッと言うとこんな感じだと思う
私はいつからか分からなくなっていた
見えなくなっていた
いや….見ない様に、気づかない様にしていた。
— 自分の中に足りていない感情がある事を
記憶に深く刻まれているシーンが何個かあるの
軽く一個言うと
記憶の中にいるその人は、
玄関の敷居を跨がない位置にいて、
私の好きだったらしいぬいぐるみを抱いて
顔が真っ黒なのに
私にその人の感情だけが伝わって….
それは、
— ごめんな。
そんな4文字の感情
ただの4文字ではない
色んな感情を含んだ4文字だ
それを感じた時の幼女は
勝手に目から溢れ出る喪失感の液体を
必死に押し殺して、理解をしようとしながら
自分を自分で追い詰めていたと思う
その人が抱いていたぬいぐるみは数分後には
私の手の中に抱きしめられていた
そのぬいぐるみを大切に思う事はなくて
見る度に当時は分からない暗い感情に包まれて
それに気づかない子供の私は
ある日、恐ろしい事をしてしまった
今なら分かる
それはしてはいけない事だった、と
なのにあの時は無意識にしてしまったんだよ
脳裏で思い出せるのは
走って走って走って
心臓じゃなく首がバクバクして
どうしようと思いながら
悪い事をした….じゃなく
なんであんな事しちゃってたの?私だった
私が幼少期を過ごした地区には
当時沢山の子供連れの家庭ががいて
近年じゃ少なくなったけど
公園で遊ぶ子供たちが沢山いて
それに付随して母親達も集まって
楽しそうに談笑する様な地区だった
その中にいても私の中には周りと違うという
違和感があった
何歳の時だったかな?
あの子は何歳くらいだったかな?
あれは私のあの黒い感情が産んだ出来事かな?
それとも私に最初から備わっていた悪い部分かな?
いつもみたいに学校終わり遊ぶ子供たちが集まる公園と、その母親たち
その中にいた同い年くらいの子供
そのお母さんはやっとベンチに座らせられるようになったくらいの赤ちゃんを座らせて、少し離れたところでママ友達と話していた
私はその赤ちゃんの首の後ろを少しつねった
そうするとその子は泣いて、
お母さんはすぐに駆け寄ってきた
それを見たからだろうか…..
今だから分かるあれは嫉妬と羨ましさだ
泣いたら駆け寄って来てくれる存在がいたあの子への
その時何回か同じ事をした
さすがにおかしいと怪しまれた
私は走って公園から出た
記憶は— そこで無い
その後、バレたとか何か言われたとか
そんな記憶はないけど
今ならしないのに、
あの当時の私には妬ましさがあったんだろう
自分の寂しさを理解する大人がいた訳じゃない
なんなら、私を賢い子に育てようとしてる人もいた
ねえ、当時の無力以下のパワーしかない
感情を言葉や漢字に置き換える力がない
そんな幼少期の子供は
誰に救いを求めたら伝わったの?
寂しさは、誰と分け合えば良かったの?
大人は言う。
世の中には—
『もっと悲惨な子が』『もっと貧しい国が』『もっと可哀想な環境の人が』って
でも、目の前にいる子供の”孤独”に気づけてる?
『自分の孤独な幼少期を理由にするな』って
でもその幼少期が土台の人生なんだよ?
土台が脆ければ….
見栄えが立派な家も簡単に壊れるよね
人間はもっと簡単に壊れてしまうと思うの
孤独に手を差し伸べてくれる人が一人でいいから
居たとしたら、居ることに気づける感性があれば、
…どんなに違う人間になれたか?なんかじゃなくて
これからは誰かの光になりたいと今は思えるよ
だから私の幼少期も大概間違いではないって
教えてくれた人と出会った時に救われたの
自分で閉ざしたであろう心
暖かさを教えてくれた人がスペアキーを持っていた
いつ開けてくれたかも分からないけど
今だからハッキリ鍵が閉まってないと分かる
あなたにもそんな私を見せたかったの。
もう遅いんだよね、鍵が開いた時には。
天国なんて、極楽浄土なんて、
無いって思ってしまうくらいの創造の産物だけど
もしあるなら、私をそこから見てくれてますか。
私を守ってくださいなんて言わないから、
笑って微笑んでて下さい
私は最期にあなたの手を握れて幸せでした