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待雪草  作者: 地野千塩
2/11

霊媒師が花川の死霊を呼ぶ

 ええ。私は花川です。霊媒師さんって本物ですか? 私、漫画家ですけど、こんなファンタジーや幽霊みたいなものって描いた事ないんです。


 実家のすぐ側のT県F市の雑木林で毒を飲みました。それは間違いないでしょ。警察もそう言っているはずよ。


 遺書はねぇ。私は漫画家だし、文字だけで綴るって難しいのよ。嫌なのよ。で、最後の短編作品「ナカミヤトモミの事件簿」っていう作品に全てを込めました。作品に込めたメッセージを読んでね? なんてね。一度言ってみたかったの。


 というか、霊媒師さん。死人の口寄せとか辞めた方がいいわよ。今はチャネリングっていうの? へえ。霊からメッセージを聞くの。


 で、それであなたは何が凄いの? 死人と炎上で動画再生数稼ぐのって割と最低ではない? 


 まあ、こんな事言っても無駄ね。死人に口なしね。私が嘘ついているかもしれないし。


 視聴者のみなさん、こんな幽霊みたいのが、本音を語ると思います?


 ええ。霊媒師さんの言う通りちょっと捻くれているのが、私の作品っぽい。そう見えるのね。


 そうね。私の作品は、かなり闇はあると思う。自分で言うのもアレだけどこんなにメディアミックスされて売れるとは思わなかった。イヤミス風の漫画ですもの。人を選ぶわよね。


 それでも運の良い事にメディア化されて。本当は嬉しかった。だから、原作を多少変えられも私は怒らないタイプ。むしろどんどんやって。


 だから「ファンタスティックウエポン」がドラマ化されて、原作は滅茶苦茶になったけれど、別にそんなに怒ってはいないのよ。こんな事言ったらファンの人にガッカリされそうだけど、私は作品は飯の種タイプ。ドライなもんよ。作品を子供みたいとは思った事は無いから。


 え、だったらなぜ自殺したかって?


 だから、それは遺作に全部描いたって言ったでしょ。それを読んでよ。何回言わせるのよ。


 夫が自首している理由?


 さあ。あの人は元々私のファンだった。私を神のように崇拝してたところもあった。作品はまるで聖書のように読んでた。メディアミックスされるたびに、「こんなの原作と違う」と怒ってたわ。今思うと、敬虔な信者のようね。原作者が神、メディアミックスする企業が神の言葉を歪める宗教組織や異端、原作ファンが信者ってところかしら。まあ、確かに聖書を勝手に書き換えたら、異端とかカルトみたいなもんね。夫が怒る気持ちだけはわかるわ。


 神の言葉だってこうしてねじ曲がって伝わるものよ。現実でも「自分は神の子イエスだ」などと言う異端も一杯いる。人間の言葉だって上手く伝えわるわけない。


 だから遺書も最後の作品に全部込めた。読んでね。電子書籍で出版されているわ。


 そのAmazonのリンクは概要欄を見てね!


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