プロローグ
俺は都内の大学に通うどこにでもいる普通の大学生。
産まれた家はごく普通だし、特に他人に自慢できるほどの特技を持っているわけでもない。
その上、童貞だし少しオタクだ。
つまりはモブ大学生なのである!
こうして俺は何気ない日々を過ごしていたのだが、その日はなんとなく自分の将来について考えていた。
特に意味はない。
このまま何気ない日々を過ごして、ありふれた企業に就職して、定年まで働くのかなぁなどと考えていた。
するとついうっかり階段を踏み外してしまった。
まずい、そう思った時には手遅れだった。
身体のあちこちをぶつけながら階段を転げ落ちる。
全身が痛くて視界が朦朧とする。
周囲からはたくさんの人の悲鳴が聞こえる。
そして周りには大量の血が流れていた。
どこから出ているのか、震える手で確認してみると、俺の頭から血が噴き出していた。
これは死ぬな、そう思った。
思い返してみたら俺の人生特に何もなかったなぁ。
でも、少しくらい親孝行したかった。
それと、せめて童貞は卒業したかった。
そう思いながらだんだんと視界は狭まり、やがて目の前は真っ黒になった。




