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死神って言ったって怖いものなしな訳じゃない。

お久しぶりです。小テスト地獄から無事帰還しました。もうすぐテスト計画表が配られるので、また地獄巡りですね。この作品の作者なら地界と呼べと思った皆様は私よりこの話を読んでくれているのではないでしょうか。

…長々とすみません。行ってらっしゃいませ。

 地界遺産『閻魔城』。太古より存在し続け、現在も閻魔大王の館として使用されている。

 その廊下を、長い金髪の少年が一人歩く。言わずもがな、アスカである。

 彼は迷うことなく奥へと進んでいき、一つの扉をノックした。

 重厚なそのデザインとは裏腹に、ファンシーなぬいぐるみや小物が並ぶ部屋。そのド真ん中に置かれた玉座には、一人の少女が座っていた。


「良く来た、アスカ。新入りのトウマとやらはどうなのじゃ?…貴様のバディとしても使えそうかえ?」


 偉そうな言葉遣いの少女。せいぜい小学四、五年生といったところだろうか。桜色のツインテールと紅玉色の瞳、尖った犬歯。そして、一対の、烏のように黒い翼。人ではないことなど一目瞭然だった。

 彼女の名はメリザ。当代の閻魔大王である。


「そうですね、少し鍛えるだけで二級への昇進くらいまでは容易いことかと。

…ですが、僕はイツキを待ってみようかと思っております。

せっかくのご提案を…申し訳ありません」


 アスカの口調は多少丁寧なくらいだが、その言葉の一つ一つには尊敬と憧れがこもり、うやうやしげであった。


「イツキ、か。あやつも変わり者よ。

書庫にばかり入り浸り、ひたすら本を読みふけっておる。どう実技に合格したのか不思議じゃな」


「ええ。彼は筆記試験では満点を、実技試験では赤点間際の点を取っておりました。…最近では、魔法で魂を刈る方法を開発しているようです。」


「!そうかそうか、それは素晴らしい!今度余が直々に褒めに行ってやろう!」


 メリザはそう無邪気に笑うが、死神たちにとっては一大事だ。神と何ら変わらぬ実力者であり、彼らの唯一無二の主。それが閻魔大王なのだから。


ーーーーーーーーーーーーー


「た、大変お忙しい中、このような場所までお越し下さり、まことにッ、ありがとうござッ…います!」


 …イツキ、噛みまくってるぞ。そしてこのロリは何

者なんだよ。

 鎌派がほとんどを占める死神の中で、当たり前のように担がれたショッキングピンクのごついバット。傲慢で偉そうな態度。ゴスロリ服に、とってつけたようなスニーカー。とにかくちぐはぐで、統一感がない。しかし、不思議と彼女に似合っていた。

 そして、謎の威厳さえ感じるその佇まい。ここにいる全ての者を跪かせ、仁王立ちするその姿。ロリではなかった。ロリババアだった。


「ははは。苦しゅうないぞ。イツキよ。そなた、魔法による魂狩りを開発しているそうじゃな。余も大変気になるところである!成功したら見せるのだぞ!」


「かしこまりました!必ずや、ご期待に応えさせていただきます!」


 イツキも気合十分である。それなら俺も応援しなくちゃな!


「と、そなた」


 ぽんっ、と手を置かれた。誰かと思って見てみて…


「イアァァァァァッ?!?!」


 年甲斐もなく、何語かわからないタイプの叫び声を上げてしまった。


「そう叫ぶでない。余はうるさいのは得意ではないのじゃ」


 少女は顔をしかめて耳をふさぐ。


「そなた、余の名は知っておるかえ?」


「い、いやぁ…どなた様で…?」


「チッ…おい、こやつ本当に死神なのか?」


 は?ロリババアに言われたくはねーよ。


「おい!トウマ!その御方は閻魔大王様だぞ?!わかるだろ?!言えよ!早く!」


 なんですって?!やばい!命が!円周率や竹取物語の要領で名前を声に出す。


「申し訳ありません!え、えっと…カタストロール・メット・ギアルルー・ミーゼナ・グリオディア…」


「…下の名だけで呼べ。余でさえ初代と十代前までしか覚えておらぬというのに、どこから呼ぶつもりじゃ。なに、遠慮はいらぬ。余は、貴様らと家族より深い主従の関係を築きたいのでな。気さくに呼べば良いのじゃ!」


 なるほど、舞台の役のようなことを言うものである。これが一周回ったロリババアの威厳なのか?


「失礼いたしました。メリザ様。私に何かございましたか?」


 それにしても、このロリババアが 閻魔大王だなんて…あ、命が危ない。この際口調も変えておくのができる死神だ。


「あ、いや、深い意味はないのじゃ。しかし、貴様も顔を合わせたこともない主に従うのは嫌じゃろうて」


「いえ、私など、地界入りした時点でメリザ様のモノでございます」


これで合ってるっけ?試験勉強のときに買った、【死にたてでも分かる!死神による死神の死神のためのマニュアル!〜閻魔大王対応編〜】の例にあったはずなんだけど。


「モノなどと言うでないわ。遠慮はいらぬと言ったばかりであるのじゃ」


 合ってなかったっぽいな。


「まぁ良い。貴様が余を驚かせるような功績を出せば、何かプレゼントをやるのじゃ。その名も、【世間がワイワイしてるから安易に魂狩りさえできないしちょっとここは休んじゃおう!〜聖夜の送り物編〜】、またの名を、【地界クリスマスプレゼント】じゃ!」


 …なんて?


(つまるところ、毎年の冬に、何か功績をあげた者に閻魔大王様から直々に渡されるクリスマスプレゼントだ)


イツキから思念伝達で解説が来た。


(ありがと〜。まっじで助かったわ)


 俺も思念伝達で即レスする。今回はほんとに助かった。助かりすぎた。でも後で貸し一つだからまた写本手伝えとか言われたらどうしよう。


「では、また会おうぞ!」


「あ、お気をつけて…」


 閻魔大王は翼を広げて飛んでいった。…なんかすごい手もバタバタしてるけど、大丈夫なのか?


(アイツも好きだったな。あーいう異世界ロリ) 


 俺は唐突に、知っているロリコンの顔を思い出した。


(アイツは今はどこにいるのだろうか)


 そんなことを考えながら、俺はイツキに写本だけは勘弁してほしいと頼み込む。


 しかし、(今は死神だけど)人ってのは考えている事と話している事が違うと、どうしても表情に出やすいものだ。




 そしてその結果



魔法研究に一日付き合わされ、何がなんだか良くわからない元素記号の親戚一覧表片手に、これまた何なのかわからない暗黒物質を睨みつけて借りを返すことになったのだ。

今回は頭が痛くなった。

フラグってやつを作りました。

今回、「閻魔大王」「閻魔」「魔王」の三つがゴチャゴチャになっている確率が高いです。一応自分でも点検はしたはずですが、「魔王」を見つけたら誤字報告お願いします。

読んでくれてありがとうございました!

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