死神って言ったって臨機応変に動けない訳じゃない。
どうも、お久しぶりです。気づけば高校の夏休みです。カクヨムばっかり更新して新作のあらすじだけを無限にたててたらこんな惨状です。受験生時代ですらあれほど書けてたのに、高校って忙しいですね。
「合否は……………………」
つばを飲み込む。
「……………」
みんな緊張した面持ちだが、テンマもずっと表情が固い。
「…………………」
あーもう!!早く言えよ!!もどかしいな!!!
「いや、誰も殴りかかってこないのかよ?」
「は?」
「いやいや。こんだけ嫌なヤツ殴るだろ…」
「はあ?」
「いきなり高圧的に接してきて仲間一人だけに戦闘持ちかけてきてさらには滅茶苦茶な設定で翻弄した挙句不合格にしてさ」
「は………?」
「疲れたところに本気でとか言って再戦申し込んで、それでまだ合否引き延ばすんだぞ?最悪オブ最悪だろ」
「はあーーーーー?!」
意味わかんねえよ!二重人格かよ!バッカじゃねえの!俺たちが感情ごときに左右されて異世界にいる上の地位の人に暴力振るうわけねえだろ!!!そんくらいわかってんだろバーーーカ!!!!!
「そう言われると殴りたくなるのが性というものですよ」
「右に同じく」
「わかるー、このまま合格って言ってくれたら勘弁してあげたのにさあ?」
「左に同じく」
「ッしゃあ!殴るぞ!」
ああ、ダメだ。危険思想の集まりだ。
いや、それよりも…
「結局、合否どうなんですか?」
「合格」
よし、一発だけ殴るか。
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「……………………満足か」
「いい汗かけました!」
「対あり〜」
「実に満足です」
「楽しかったです」
「スッキリした!」
「ありがとうございます!」
結局テンマはめっちゃ相手してくれた。俺たちはそれに甘えてクソほど体を動かしたので、食事睡眠のいらない体でも飯食って寝たくなるほどの疲労を感じていた。あと同時にとても楽しくてスッキリしていた。
「ところで、他の挑戦者さんは?」
「ああ?本体でこんな問題児共ばっかり相手してたら何回死んでも足りねえよ。一グループにつき一体分身を割り振ってんだ」
へー。納得。
「んで、次の奴だが…」
あれ?そーいや俺たち今第何ステージだっけ?
「海瑠璃の第二席。ワンチャン第一席より手強いと言われている、そいつの名前は…」
「名前は……?」
というか、もう第三ステージのボスまで倒しちゃったのか。すごくね?
「パラティーゾ・ウルティメイト・ハイライト・スーパーミラクル・ビビッド・フェルマータ・タータン・バタフライ・ドール・カノンだ」
「は?」
「カノンと呼べばいい」
「…さいですか」
じゃあ最初からカノンって紹介しろよ。
「対策教えといてやる。蝶々飛ばしてくるから死ぬ気で避けろ。光線も飛ばしてくるから死ぬ気で避けろ。罵倒も飛んでくるが無視しろ。嫌な感じがする音楽が流れたら、すぐ耳を塞げ。以上」
つまり死ぬ気で避けてめちゃくちゃノイキャンしたらどうにかなるってこと?そんなに甘くはないと思うけど。
「オラさっさと行け」
最後までヤンキーだなコイツ。しかもいい奴なのか悪い奴なのか分からんし。まあ天界にいてツッコミで対策教えてくれるんだからいい奴ってことにしておこう。
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「はーいこんちは、カノンですー。今からお前らにはリトミックっつーものをやってもらいまーす」
「…」
リトミックって。それ幼稚園とか小学校とかでやるやつじゃないの。
「はいピアノ弾くから歩いてねー」
とりあえず従って歩き出す。
「音止めたらなんか起きるから頑張って」
は?
「ざけんなシンガーソングライター気取り!」
ミノ機嫌悪いなあ。さすがの俺でも胃が縮む。歌う人にシンガーソングライター気取りって鬼地雷な気がするんだけど、大丈夫かな。
「はーい舐めた口きくなよーー」
あっ、殺されなかった。よかったあ。
「ゔっ」
え?うめき声聞こえたんだけど…
「ミノ?!」
何が起きたのか分からんが、ミノは何かに潰されそうな姿勢と顔だ。
「謝ったら今回に限り許すぞー」
「誰がッ…謝るかクソバ…あ゙っっ?!?!」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」
反射的に何もしてないのに謝ってしまった。
「コイツ、口悪いだけど悪気はないんです!!頭に血が上りやすいけど、根はヤバイ奴じゃないんですよ!!」
「それがどーした。ちゃんと忠告したのにさー」
「今声出せないでしょこの状態じゃ!相棒の俺が止めなかったせいです!謝罪します!!」
昔、数人の陽キャがうるさ過ぎて先生が怒って職員室に戻ったとき、みんなで迎えに行ってみたことがある。そのとき、なんで君らまで来たの?って言われちゃったときに誰かが言ってたセリフだ。効く人には効く。効かない人には「で?それだけでこんなゾロゾロ来たんだ?みんな本当に反省してるんだ?へぇ〜」って言われたけどな!
おっと、憎たらしい思い出で雑念が。今はちゃんと謝罪しないとね。
「本当にごめんなさい!二度とこんなことしないように、よく言っときますから!」
「いやー、お前に謝られてもねー」
「ちなみに、逆鱗に触れた決め手は?」
「シンガーソングライター気取りとクソババア」
「ですよねー!俺もそれはないと思います!な、ミノ!………あ、とりあえず、あの、重力的なそれ、戻していただいて…あっ、ありがとうございます」
「………………………………………………さーせんした」
「生意気なクソガキだなー。ま、今回は許す」
はぁぁ…よかったあ。
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「ついたよ、剛力紅蓮兎の長の館だった建物だ」
「わあ…でかい…」
「ここは今、彼らの遺した最強武術やその起源、あとは剛力紅蓮兎全体の習性や歴史なんかを展示する資料館に改装されていてね。もうすぐ開館予定だよ」
「えっ、そうなんですか」
秘密の場所かと思いきやオープンな場所予定だったので出雲葵は少しショックを受けた。
「でも、展示を説明する人が足りなくてね。剛力紅蓮兎は、私たち知識深淵兎人と閻魔大王、それからほんの少しの獣人部族と死神としか交流しなかったんだ」
「なんでですか?」
「剛力紅蓮兎は、武人肌で弱いものいじめは許さないが、穏やかな者にも興味を示さない…まあ、気難しくてプライドが高い民族だったからさ。だから、真の強者や、対極の強さを求めるインテリとしかまともに話さなかったんだよ」
「へえ…」
「それで、天変地異みたいなことが起きたのは知っているね?武人の嫁入りと一時は揶揄された…」
「剛力紅蓮兎の姫と知識深淵兎人の若の結婚!」
「その通り。じゃあ、私に好きなように攻撃してみておくれ」
「は?」
何の脈絡もない言葉に面食らう出雲葵。しかしカナリアンドは構えたままの姿勢だ。
「やあぁっ!」
とりあえず、と一直線に走って殴りかかる。
次は蛇行し、次は押し倒そうと両手で向かい、次はフェイントを仕掛けて足を狙う。
いっぺんも、当たらない。
「これが剛力紅蓮兎が最強とされた理由の一つ、攻撃回避!そして…」
カナリアンドは二度、深呼吸をした。そして、拳を地面に振り下ろし…
バキッと音を立てて地割れが起きた。
「ほわぁ…」
「これがもう一つの理由、単純なフィジカルだ!」
それは流石に真似できないな。流石の出雲葵も悟った。
「さて。そうは言ったが、君は天青術で身体強化をすることができる。やってみるかい?清読拳」
「あの…その前に、質問いいですか」
「うん?」
「貴女は、純粋な知識深淵兎人、なんですよね?」
「…そうだよ?」
出雲葵が感じた違和感。
出雲葵が知る知識深淵兎人は、ふっくらと脂肪に包まれた体とクソ雑魚な体力、そして強い魔法の適性を持つ。
カナリアンドは、引き締まった体と、攻撃を躱し地面を素手で割れる程度のフィジカルで先ほど出雲葵と戦った。しかも話を聞いてる感じ、魔法は使っていない。
観光デートサービスは、ときに恐ろしいほどの距離を徒歩移動したり、一日中動き回ったりする仕事だ。危険な場所では客を背負っていくときさえあるという。
「剛力紅蓮兎とのハーフは、クラウチェさんとスワンチェさんのみなのでは?」
「その通り」
「失礼ですけど、その体つき、本当に知識深淵兎人なのですか」
「ああ、もちろん。…………知りたいって顔をしてるね」
「知りたいです。正直、清読拳より気になってきました」
カナリアンドはふうっと溜息をつく。
「私は、先代閻魔大王の犯した大罪、『強化新種実験』で産まれたんだ」
カナリアンド、脇役のはずがとんでもないモンを背負ってる…
カナリアンドは女です、メロいイケメン女獣人を作りたかったはずがナルシスト気味のフィジギフモルモットうさぎになってました。




