死神って言ったってちっとも成長しない訳じゃない。
お久しぶりです。テストも迫っていますが、どうにか書き終わってしまったので出させていただきます。
「いやーよく寝た!夢魔の里、ヤバかったら困るなとか思ってたけど、なんか水のベッドみたいなあれ、すごかったね!また行きたーい!」
「とんとん定食、ちょっと多かったや…もっちゃん、手伝ってくれてありがとねぇ」
「いやアレは「お嬢ちゃん細いからいっぱい食べなさい」って問答無用でからあげ盛ってきたおばはんが悪いから」
「おばはん…」
出雲葵からときどき出る色々な方言らしきものにはときどき違和感を覚える。別に枕は言葉にこだわりがあるタイプではないので苛ついたり頻繁に気になったりはしないのだが…
休み時間を放課と言ったり、ツッコミ口調だったり。捨てるを投げる、側をねき。ときどき、テレビで見たり動画で聞いたりしただけでは身につかない、「ん?」となる言葉づかいを当たり前のようにする。でも、標準語を使うときもある。
友達で、あだ名で呼び合う間柄なのに、枕は出雲葵のことを詳しくは知らない。
生前、何をしていたのか。どうして死んだのか。茶髪は地毛なのか。変なノリの出どころも、親兄弟のことも、全く知らない。
「ねえ、前から気になってたんだけ」
「さー!今日こそ戦おうぞ!…ってごめん。なんか言った?」
「…ううん。なんでも」
(誰だってヒミツはあるよね。枕も、もっちゃんに話したくないことあるし)
彼女に限って、洗いざらい話したからお前のこと全部聞かせろ…なんてことはないと分かってはいるが。それでも、嘘一切なし、盛りも軽減も無しで家族や恋愛のことを全て話せる人なんて限られるだろう。枕も例外ではない。
「じゃー出発進行!」
「お〜!」
少し心残りはあるが、逆に少しだけ楽になった気もして、枕は出雲葵に続いた。
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「もっと鋭い感じだ!深淵すべての闇と影を集めて分割して凝縮して、無数の針を作る!そうだ!今だ!」
硬そうな的を中心に、ドーム状に大量の針を展開する。今、魔法改良の真っ最中だ。これまでに二回失敗したが、だいぶ掴めてきた。
「【闇夜雨・針地獄】!!」
鎌を振り下ろすのが合図。的に突き刺さる、幾千かもしれない針。言わば針山状態だ。今回は割と上手くいったんじゃないか?
「ふむ…お前!魔力が少ないな!」
今それ言う?!さっきから俺、才能無さすぎない?!成功したっぽいし褒めて欲しいな!
「こういうとき、魔力の多い者なら大抵、込める魔力の量を増やして純度、性能を高めるんだ。しかしお前はそうせず、魔法の操作で針を鋭くした…つまり!」
「つまり?!」
「お前が目指すタイプは、常時両刀タイプだ!」
「え?」
いや、ちょっと待ってよ。何?常時両刀タイプって。
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「視えた!」
「何が?!」
「きれいな青!!!」
「嘘でしょ?!」
「ほんとだもん!」
「絶対私の方が集中してた!」
「じゃあミライの方が才能があったってことだね!」
金切り声に近い叫び声が炎の中で熱く響く。美少女たちが汗だくで喧嘩をしているのを見て、変態たちの心の咆哮がギリギリで抑えられる。ミライの量産服の袖は、透けて肌にくっついていた。
「さ、赤暖簾のとこ行ってくるよん」
ミライはスカートをパタパタさせながら、炎を抜けて歩いて行った。
「くっそ…そもそも燃やすものによっちゃ最初から青だろ炎なんて………いや、もしかしてこれは気合いで解決できる問題だったりして…?よし!気合いだ!」
何をおいても気合いが大事と無理やり結論づけたミノはそこからは無言になった。
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「おー、おつかれさまっ!」
「どーも…?」
「ありがとうございます…?」
ぐったり顔のアスカとツヅリをケーキが迎える。何故かちょっと甘い匂いのする術をかけてもらうと、なんと体感全回復。糖分は回復に向くと言うが、流石に限度を考える二人である。
「ここでケーキクイズ!君たちは今回、どんな成長をしたでしょう?」
「「成長…?」」
理解に苦しむ。成長どころではない。今回は大失敗なのだから。
「せーかいは!すぐに戦うことを知れた、でしたー!」
「「???」」
すぐに戦うとは?哲学的思考に取り憑かれ、アスカとツヅリは顔を見合わせる。
「今までは、助けたり、下級の仲間に指示を出したり、色々考えて動いていた。それを無くすことで、突拍子も無いピンチに即興や賭けで立ち向かえるようになったんだ」
勢いで無理矢理押し通したことを良く言い換えたら、そうなるのだろうか。
あまり割り切れないままに、次の…赤暖簾焼のところに送り出されてしまった。
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「【トゥロスカロン・キャッパーフ】」
知識深淵兎人の城が、眠りにつく。
「…これで大丈夫」
「では、この紙を地界全体に」
「【ポットキュルザ・レットエクラック】」
竒の背丈をゆうに超すほど、うず高く積まれた紙の山。一瞬にして消え去る。
「数千年前の地界の、魔力に満ち溢れた言葉…ですか」
「そう。僕が研究していた古代言語が、こんなところで役立つなんてね」
スワンチェは自虐的に笑う。鍵をかけられたとはいえ、その前の記憶や感情は残っているから。元々あるか分からない誇りを更に失ったのは明らかだった。
消えていった全ての紙には、一番竒が伝えたいことを簡潔に書いたらしい。スワンチェはあまり目を通さなかった。否、目を通したくなかった。
『閻魔と神は、私たちに嘘をついている』
十中八九、そう書いてあるから。
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「もう習得したのか?!失礼だが、魔法は得意ではないし、性格もそこまで良い訳ではないのだろう?!」
「なに?ミライが性格悪いって言ってんの?!」
「い、いや、聞いただけだ!紫髮の少年から!」
「トウマか…一旦〆とこ。まーいいよ。性悪上等!それでも可愛いのがミライだからねっ♡」
バチバチにウィンクをかますミライは輝いている。焼は、己より強いかもしれない魂の煌めきに圧倒されるしかなかった。
どんな光り方か。言葉にするなら「今の自分が、環境が、もうめっちゃ好き!最高!」って感じの光り方だ。燃えていて、弾けている。
「はっきり告げる!お前には非常に青明力を使う才能がある!」
「うわぁぁ〜っ…!ミライが?!」
(更に魂の輝きが増した…嬉しいことがあるたびにこうなるのか?特異体質?それとも、もっと別の何かなのか?)
「ね、ミライに教えてよ!青明力ってやつ」
「うわっ?!」
考えているうちに至近距離にやってきたミライは、やっぱりあざとさと己の満足感で魂を太陽にしていた。
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「…【虹と成す】なんて大層なこと言ったけど、制御はしにくいものだね」
サラの据わった目は、彼の手の甲を捉えていた。虹色の引っ掻き傷は思ったよりグロテスクだった。
何もする気になれない。こんなことなら分身でも作って、竒は残しておけば良かった。そうすれば、いくらでも歌や人間のことを聞かせてくれたろうに。
心もない、声もない、体もほとんど機能しない天使と違って、竒は歌ってくれるし話してくれる。呼べば子犬のように駆け寄ってくれるし、これ以上ないきらきらした目で見てくれる。
思いの外、竒のことは大切にしていたのだ。禍煉たちと違うのは、年数か、境遇か。どちらも違う気がする。
「【変化】」
軋み音を上げ続ける硬い椅子に嫌気が差し、揺り椅子をイメージしてみる。変わったのは脚だけで、肘掛けや背の高い背もたれはできなかった。
サラは肩を落とした。
古代の言語のとこ、死ぬほどややこしかったと思います。一応、読みは下のカタカナ、意味が振り仮名の漢字です。




