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死神って言ったって全ての間違いに気付ける訳じゃない。

宣言を守れぬ癖がなおりません。

二話目はまだ半分ほどでございます。一日粘ったけど無理でした。そもそも粘ろうとしたのが間違いでした…

「この魔法少女コス、そろそろやめない?さっきも大して役に立たなかったじゃん」


「気付いてないかもしれないが、防御力は確実に上がってるぞ。【顔狙いダメ絶対】とかいう呪いがかけてあるからな」


 よくわからんが、名前からして顔への攻撃が無効になるのだろうか。イツキはガリ勉風おバカなので、なんとも言えない不信感がある。


「一応言っとくけど、俺は手を出してないからな。アスカとシオリさんだよ」


 なるほど。逆に不安になってきたぞ。あっちはあっちで別ベクトルの怖さがある。何をやってくるのかわからないという怖さが。


「もういい!切り替えよう!【節分豆エクスプロージョン】ッ!!」


 何がなんだかよくわからなくなってきて、気を取り直そうとそこらへんの壁に節分豆を叩きつけまくったら…

 壊れた壁から無数のチョコレートボールが出てきて、そのまま空中を漂いながら俺たちの前まで来て。

 お菓子の攻撃力が無駄に高いここじゃ、この状況で何が起きるかなんて、火を見るより明らかだった。


「逃げろおおおおおっ!」


「靴の加速機能が作動しねえ!」


「加速機能なんてあったの?!」


あああ…さっきのバリアでどうにかできないかな…今ものは試しとか言ってられないんだよな…いやでもやるしかない!


「【ペケ+十文字・バリアアンブレラ】!!イツキもなんかやれよ!!」


「【リーフレクション・モミジ】!」


 ポンポン新技出すじゃんコイツ。…あ、魔法少女のやつか。秋のモチーフだから。

 どうにかこうにか、チョコレートボールが全てバリアにぶつかって地面に落ちた。


「さー、仕切り直して迷宮攻略といこうぜ」


「めんどくさいの来たら俺は逃げるからな」


「ここまで来といて俺が逃がしてやるとでも?」


ーーーーーーーーーーーーー


「【トキメキ♡トゥインクルラブショット】…はい、あげる」


「…ありがと」


 ミノは光線で焦げまみれのビスケットをミライから受け取り、それを口に放り込んだ。本当に焼き菓子だったのか疑う硬さ、むせそうな程の焦げのにおいと格闘しながらなんとか噛み砕いて飲み込んだあと、ミノはため息をついた。


「まずい。粉っぽいし焦げっぽい」


 何をしているかと言われれば、ツヅリと同じくモンスターを喰らい回復していた。ミライは目ざとかった。


「文句言わずに食べるの。いったんここで立て直さないと。ミノちゃんには戦ってもらわないとダメなんだもん」


「…」


 逃げ場を探してあたりを見回すも、ミライにすばやく腕を掴まれた。


「じゃあ、ミライが心細いから一緒にいてよ。一人はさみしいからさ」


「ん。まだしばらくは戦えないけど、わかった」


 二人は開けた場所に出て、もう一度出口を探すために歩き出した。


ーーーーーーーーーーーーー


「あ!これってもしかして、鍵穴?!」


「ほんとだ。せっかくだし、この鍵試してみる?」


「試すしかないっ!」


 不自然に鍵穴の空いた壁を見つけ、アスカたちはノリノリでケーキからもらった鍵を挿した。

 そして、間もなく大後悔することとなる。

 スライム、溶けたチョコレート、絵の具、油…もはや半液体状なら何でも良いと言わんばかりのドロドロたちが頭上から降りそそいで来たからである。しかも、全く止まりそうな気配がない。


「どうすんのよこれ?!止める?!薄める?!逃げる?!気にしない?!」


「逃げる一択で!」


 全速力で走って逃げ出すアスカとツヅリ。この修行が始まってから初めて危機に立たされ、二人の頭の中ではぐるぐると混乱が渦巻いていた。


「えと、えっと、加速は…」


「加速なんかより力技の方が速い!」


「え、なにす」


「【珊瑚塀】、【海宝崩壊ラメルカタストロフ】!」


 赤い壁に、滝のような水流と輝く宝石たちが向かっていく。無論、防御のためではない。アスカはそこでやっとツヅリのやろうとしていることに気付いた。【珊瑚塀】に手を向け、補強のための魔力を放つ。次の瞬間には、ツヅリの魔法はバリアにぶつかっていた。

 水と宝石の勢いは壁にぶつかったくらいでは全く衰えず、激しい渦となって二人を襲う。それこそが狙いだった。最後に見えたのは、ドロドロの波に破壊された【珊瑚塀】。しかし、ドロドロに追いつかれる前に、アスカとツヅリは自分たちの魔法によってふっ飛ばされた。

 逆に言えば、逃げることができたというわけだ。


ーーーーーーーーーーーーー


『これからキミに託すのは、闇そのもの』


『今のお前にとって、全ては敵だ。しかし…』


『『萬の年を耐え抜いたとき、天国は本物の天となり、そして地となるだろう』』


「天国主様っ!」


 竒の声で、景色が戻る。懐かしい記憶。もうあれから一万と、何千、何百年が過ぎただろう。


「ごめんね、竒。少し眠たくって。何かな?」


「いえ…その、少しうなされてたので」


「そっか、ありがとう。心配させたかな?」


 ふるふると首を横に動かす少女を見て、天国主は少しだけ胸の痛みを覚えた。この感覚は、あのとき覚えたものと少しだけ似ていた。


「ねえ、竒は、私の秘密を知りたいと思う?」


「それは…その…教えてくださるのなら」


「うん。じゃあ喋らせて」


 蜂蜜色の瞳を細めて、彼はゆっくりと語り始めた。


「私はね、人形なんだよ。神と閻魔によって作り出されたね。本当は、今でも管理されてるはずなんだけれど、なにせこうやって自我を得てしまったから、放ったらかしさ」


 名前もない。家族もない。ひたすら機械的に、憎悪の念を、狂った心を、亡者から抜いて。それを見ていたら、自分も似たようなモノを持ってしまった。


「一万年、この役目をやり遂げたら、自由になれるはずだったんだ。でも、誰も来ないし枷が外される感覚もない。大方、何かしらの都合が悪くなったから、歴史の中で悪者に仕立て上げたんだろう」


「そんな…」


 それを置いてもやり過ぎな自覚も、極端なことをしている自覚もある。今こうして部下をつくり、実際に地界へ攻撃しているのが動かぬ証拠だ。最初は、竒のことも道具として見ていた。けれど、昔の記憶が、そう思い続けることを邪魔してくるのだ。

 嘘偽たちを逃したのは惜しいが、一人でも残っているだけ良いだろう。


「もう、後戻りのしようがない。さあ、竒。君にしかできない仕事だ。できるね?」


「はい!もちろん!」


 竒は頷いて、地界へと向かう。それを見送ったあと、天国主は、ピンク色と水色の光を取り出した。


「これから私の名前は、サラ。せっかく奪った名前と魔力と青明力、最後まで使わせてもらうよ」

「天国主は悪の概念が体と自我を得て〜」って設定も一応覚えてます。せめて宣言は守れるようにがんばります。そして無理のない宣言をします…

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