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死神って言ったって相性の良し悪しがないって訳じゃない。

魔法少女のセリフと説明コストが悪すぎる…でもやめられない…そんなわけで、ほぼ一日遅れの投稿となりました。ごめんなさい。

「なんで…よりによってぶどうの盛り合わせをフォークで食べなきゃいけないんだよ…」


「知らねえよ。黙って食え」


「ぶどう嫌いなんだよ。…トウマ、抹茶と交換しないか?」


「ついに気が狂ったか?そこは百歩譲っても羊羹と交換だろ」


「じゃあ羊羹と交換だ!」


「わかったようるせえな!」


「はいはーい!お菓子のシェアはいいけど、平和にねー!」


 逆にシェアという名の交換は許されるのか…そう思いながら抹茶をすすって、その味が残るままぶどうを食べると変な味がした。それ以降はぶどうを全部食べた後に抹茶を飲んだ。


「みんな食べ終わったかなー?じゃ、次は、二人一組で、自分の持つ手段を全部使って、パワーアップしたお菓子を倒してみよう!」


 パチンと指を鳴らすと、空の食器がテーブルごと消えて、もとのドデカフィールドに戻ってきてしまった。そして…


「なんでお前とペアなわけ?」


「俺が聞きてえよ…」


 イツキとペアになってしまった。お菓子の準備の間、イツキは鞄からとんでもない量の本やら杖やらよくわからんものを出し始める。そして最後に彼が出したもの。それは…


「魔法少女のやつ!」


「ああ。しかも改良済みで、手鏡じゃなくてブラシになってる。石をはめてブラシで髪をとかすと変身するんだ。とりあえずやって…はくれないだろうから、俺からいくぞ」


 イツキはもうこの変身を強化魔法か何かだと割り切ったのだろう。テンションは低いままに、さっさとブラシに石をはめた。


「ハートフルトゥインクルミラクル!ストーン・セット!キューティクルチェンジ・オータム!」


ブラシがオレンジに光ったのを確認する。


「コスモスヘアー!メイプルドレス!オパールローファー!」


髪はオレンジとピンクのグラデーション、服は茶色で葉っぱモチーフのワンピース、靴はリボンに虹色の宝石がついた厚底ローファーになった。虹色が目立つように感じるかもしれないが、髪のピンクと合わさるし、ローファー自体は茶色だから割と馴染んでいる。


「鰯雲に愛を込めて…キューティクルオータム!」


 最後の最後で鰯雲とかいう最悪のワードチョイスしてきた!儚い雲とかで良かったろ?!


「よし、次はトウマだ」


 最後の最後で大失敗しないかとても心配ではあるが、時間がないので仕方無しにブラシを握った。


「ハートフルトゥインクルミラクル!ストーン・セット!キューティクルチェンジ・ウィンター!」


ブラシが白く光ったのを確認し、ブラシを頭に持っていく。


「ローズヘアー!」


といた髪がぶわぁっと伸び、視界の隅で真っ赤に揺れた。


「スノードレス!」


地味色装束が白いフリフリのワンピースに変わる…地味色なことに変わりはないが。


「タンザナイトヒール!」


紺色のヒールを履けば、あとは問題の決め台詞だけである。


「節分豆で心の鬼を浄化!キューティクルウィンター!………節分豆ってアホじゃねえのか?!」


 テンション的に十二月だったのに二月持ってきたしよ…


「そもそも、変身して何になるんだよ」


「戦闘能力…主に敏捷性と筋力にバフがかかるイメージだ。しかも、この装備実は殺意が高くて、例えばトウマのヒールはかかと落としでも食らわせりゃ大抵の相手は瞬殺できるぞ」


「怖いわ!…じゃあ、魔法少女パワー的なのは?」


「あることにはある。技が設定されてて、ブラシに魔力を込めながらそれを叫ぶと使える。それこそ節分豆の浄化技に似せた攻撃とかな」


 なるほど、意味はあったのか。…待てよ?イツキは魔法少女になったが、俺の予想では精々遠距離攻撃をしてくれるかどうかってところだ。俺、メインウェポン化してる?


「大正解だ。俺は指示と後衛、トウマは前衛…」


「馬鹿野郎!この期に及んで肉体攻撃する気無しとか、正気か?!包丁ぐらい克服してくれよ!」


 ミノに言わせてみればどの口がという感じではあるが、前衛ということは、極力イツキを守りながら戦うということだ。流石に無理である。鎌とは言わない。包丁ぐらいいけない?


「包丁が一番無理だ。水鉄砲はミライに取られてる。残るは鎌。間違えて斬っても十…いや、十五回くらいまでは許してくれよ」


「はあ?戦闘バフついてんだから十回までだろ」


 とは言いつつも既に死んでいる身だし、何度斬られようとどうにかなるだろう。イツキが鎌を取ると選択してくれただけでもだいぶ安心する。


「猪突猛進!玉砕覚悟!魔法少女キューティクル、レッツゴー!!」


 ヤケクソ半分、やる気半分で叫びながら、目の前の巨大ワッフルを見据えた。間もなくケーキがお菓子たちを開放するだろう。正攻法でなくてもとりあえず倒そう。そう思って、久しぶりにちゃんと鎌を構えた。


ーーーーーーーーーーーーー


「【監獄の(プリズン・)銀鎖(アンゴールド)】」


 銀色の鎖が羊羹に食い込みながら巻き付く。羊羹は魚のようにビチビチと暴れた。


「めっっちゃキモいんですけど?!」


「動き止めたんだから早く!」


「うわぁぁあ!【無限(アンリミテッド)翼刃(ウィング)】!!!」


 勢いと気持ち悪さにまかせて叩きつけるように大量の攻撃を叩き込むアスカ。ツヅリは珍しく強張った表情で羊羹から目をそらした。


「クソキモだったけど、一応なんとかなったね」


「私達、相性いいかもね」


二人は拳を合わせようとしたが、お互いちょっと止まってハイタッチをした。


「おー!一番乗りだね!これはケーキからのプレゼントだよっ!」


 そう言ってケーキは青い宝石のついた鍵をアスカたちに渡す。


「ケーキの最終ステージ、【白群色(クリーム)クリーム地獄(ディストピア)】で、役に立つよ。最初と最後って大事でしょ?」


「大事…だと思います?」


よくわからんという顔で鍵を預かるツヅリ。アスカも「そうだね…?」という微妙な顔をしていた。


ーーーーーーーーーーーーー


「ミライの馬鹿ああああっ!!」


「助けてええええええっ!!」


 巨大パフェのクリームに捕まって身動きが取れなくなったミライの叫びとそのせいで計画通り動けなくなったミノの叫びが不協和音のハーモニーを奏でる。

 ミノがやろうとしていたのは、対戦相手にダメージをひたすら与え続け、弱ってきたところで二人一緒に大技を決めるというものだった。つまり、敵に味方が捕まっていれば攻撃を与えまくることもできないし協力することもできない。


「くっそ…ミライ!自分の身は自分で守れよ!」


「舐めないで!か弱き乙女じゃないから!」


「【重圧金剛突(ヘビーダイア)烈火(レッドロック)】!!!」


 ミノの拳が、燃えたぎる赤いエネルギーを纏ってパフェグラスに衝突した。グラスは一度震え、亀裂を入れたが、それだけだった。


(弱点は作った。あとはミライに…まあ、当たっても大丈夫かな)


一度深呼吸してから、キッとパフェグラスを見据える。


「【重圧金剛突(ヘビーダイア)全終虹(オールレインボー)】ッ!!!!!」


きれいな虹色とは言い難い、色のついた激しいエネルギー。しかし、パフェグラスを大破するのには役立った。


「うぇぇ…せっかく可愛い服なのに…クリームまみれ…」


 涙目になったミライに手を差し伸べると、ミライは手を掴まず一人で立ち上がった。


「【超絶上位(すーぱーみらくる)非現実(はいぱーうるとら)気合魔水(きあいうぉーたー)】!」


 バシャァっと勢いよくミライに水を被せて(結果的に)きれいにしてあげたあと、ミノは、「いい加減にしろよ貴様」と言わんばかりの顔をした。


「さ、終わり終わり。行こうぜぶりっ子馬鹿」


「そーだね。俺カッコいい系勘違いネキ」


二人は早足で歩き出した。どちらも思うことは同じである。


「「早く違う奴と組みてぇ〜」」


ーーーーーーーーーーーーー


「【絡繰鋏(からくりばさみ)一ノ栽(いちのたち)紅朱臙脂べにしゅえんじの咲乱れ】


 血染め鋏とでも呼びたくなるような真っ赤な鋏が、ジョキジョキと音を立てながら枕たちを襲う。二人はギャーギャー叫びながらもなんとかほぼ全て避けていた。


「まーちゃん!そろそろだよ!」


「わかったもっちゃん!【闇の乙女よ来たれ、月の乙女よ来たれ、汝らは夜空へ今】っっ…あぶない…」


 唱えている途中で鋏に襲われかけ、枕はあわてて躱す。そして、詠唱を再開した。


「【夜空へ今、か弱き子供の心を誘わん。暗黒の夢も純白の朝も見れぬほど深き眠りの力を今、我に授けよ!】」


 淡い紫の光が枕の手の中に集まる。ゆっくりと月と星の形を成し、そして一張の弓と一本の矢に姿を変えた。


「【星月夜の呪い】!」


その一射を、エルマは避けることも忘れて驚愕の目で見ていた。


(どうして、天界の住人が闇の力を使う?しかも、あの長い詠唱…乙女を呼び力を授かる独特の攻撃法…)


「まるで、【願う者】じゃないか…」

前の魔法少女回のチェンジミラー…くるりんミラーチェンジってありましたね。手鏡じゃないけど、鏡、ありましたよね。気付いて慌てて考えた結果、ブラシになりました。

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