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死神って言ったって無茶苦茶なこと言われても困惑しない訳じゃない。

ちょっと遅れました!ごめんなさい!

「そんなこんなで、今から閻魔城に行きます!」


「わー!」


「…えっ?」


「…」


 まばらな拍手と白けた空気。とても気まずい。…ハッ!こんなときに行動しなきゃなのかな?!


「レッツ閻魔城!ぽまえら!準備はいいか?!」



…おっと。さっきより静かだね。


ーーーーーーーーーーーーー


「こんっっっっのバカ共がああああああああああああ!!!!!」


 閻魔大王の拳が正座している俺たちの頭に一発ずつヒットした。かなり怒ってるっぽいが、一応力加減はしてくれたらしい。首は折れず、頭もついている。


「まずバカ堕天使共!特に禍煉!!」


「ひゃいっ?!」


「堕天使には、ここにいるバカ死神共と一緒に行動し、何かあったらすぐこちらに逃げるよう伝えたはずじゃ。そして禍煉、貴様には堕天使のまとめ役をするように、皆が迷ったら貴様が導くようにと言った!何がどうして真逆の状態になったのじゃ?!」


「ごめんなさい…」


 あー…禍煉はそんなリーダーポジションを任されちゃってたのか…お疲れ様…


「そして他人事のような顔をしてるバカ死神共!特にアスカ!」


「えっ、僕?!」


「なぜ戦おうという結論に落ち着いたのじゃ?!天使だということはすぐわかったはずじゃ。そして、アスカは二級死神で、あそこにいた中で一番地界にいた時間が長い。その貴様が積極的に攻撃しては後輩に示しがつかないと思わないのじゃ?!」


「うっ…それは否めない…イツキは二級だけど僕より後に来たしね…」


「さよう。よって弓はしばらく没収じゃ。相棒も出来たことだし良い機会じゃろう」


「良くないよーーっ!」


「ならさっさと一級になって取り返しに来るのじゃ」


 この閻魔大王、中々鬼畜である。…言うほどそうでもないか?


「と、ここからが本題なのじゃ」


 ああ、そうだった。ミノは訓練だか修行だかで俺達をここへ連れてきたんだった。怒られるのが本題じゃなかった。


「これから、天界と地界で互いの幹部を交換し、互いの配下を鍛えさせるという試みが始まる。その名も、【げきやばお得キャンペーン!どうやらこうやら昇級できちゃう?!〜天変地異レベルの刺激とコミュ障殺しの技術をあなたに〜】じゃ」


 相変わらずうるさいネーミングセンスをしている。大事なことが一、二個ぐらいしか入ってないし…


「で、それに行ってもらおうと思うのじゃ。そんで…えっと…えーっと…イロリ!頼む!」


 一歩前に出てきたのは、閻魔大王の隣に控えていた赤い髪のメイド。良く見たら、特級爆発魔法ネキのイロリさんである。


「ではここからは私が説明を。このプロジェクトでは、死神はもちろん、ゴブリンや牛頭鬼など、地界のあらゆる種族が訓練を受けられるようになっています。あなたたちを鍛えてくださるのは、天神ラズリ様の腹心である【海瑠璃】の方々八…いや、七人です」


ん?今八人って言いかけた?


「これは死神の場合ですが、順番に【海瑠璃】の方々の試練を突破し、四人目まで来たら四級は三級になることができます。また、三級以上の者には実績として記録に残り、後の昇級に有利となります。そして、七人目まで突破すると、何級でも必ず一つ級が上がります」


 なるほど…そんなに七人目はやばいのか。でも、これができるとしたら大チャンスである。なんとかしてミノより早く、とりあえず四人目まで行けばなんとかなる気もする。できれば、七人目まで行きたいところだけど。


「そして、これに参加すると、リタイアまでの任務が免除されます」


 えっ?ミノと言ってること違う?!


「ごめん、うろおぼえで間違えたかも」


ミノ本人から真相を聞けたのはいいことなんだけど…まじかよ。


「では、最後に注意事項を。一つ目に、四人目を突破する前にリタイアすると、実績には入りません。二つ目に、揉め事や差別などが三回認められると、関係者は降格、実績の取り消し、参加権利の剥奪などの措置が取られます。三つ目に…今回、あなたたちは、閻魔大王からの推薦という形で、諸々の手続きや参加のための試験を免除されています。その期待の重さを自覚してくださいね…つまり」


『つまり?』


「最低でも、七人突破しなさい!」


「はああああああ?!」


 言ってたこととか条件とか全て無に帰してる!最低って、それ最高レベルなのよ!しかも閻魔大王もびっくりしてるし、絶対それアンタが思ってることだろ!!


「まあ、そんな感じで早速行って来いなのじゃ!」


「え」


「は」


「ちょ」


「一旦!」


「待てよおおおおおお!」


 下からいきなり光が出て来て、変なとこにぶっ飛ばされる感覚が俺たちを襲った。


ーーーーーーーーーーーーー


「お?めっちゃいるじゃん」


「わーほんとだぁ!圧巻!」


「なにこれこっから最終選別とかやんないよね?」


「それはないんじゃ…」


 と、奥に誰かがいるのを見つけた。雰囲気的には人だけど、地味服ばっかりの死神の中で一際目立つピンクのアイドルのような衣装を着ているし、なんか違う気がする。あれ?ピンクばっかりなのにリボンについてる飾りが青い…ということは、【海瑠璃】とやらのメンバーか?


「みんなーーー!聞こえてるかなーーっ?」


 うお、思ったよりクソデカボイスで来たな。あ、マイク持ってるのか。


「サイコーのアイドルにしてみんなの第一関門!甘宮蛍希あまみやけいきでーす!ケーキちゃんって呼んでほしいなーーっ!」


 でっかい緑色のツインテールがブンブン揺れ、大きな水色の瞳がパアッと輝く。すっげえアイドル感だ。魔法少女の女装をしてゲラゲラ笑っていた俺たちとは大違い…って当たり前か。


「でもね、みんなケーキのことを、お菓子みたいに甘くて柔らかくて、すぐ倒せちゃうって思ってる。ケーキは、それがすごく悲しいの…」


 さっきまで笑っていたと思ったら涙目になってそんなことを訴える。表情筋がすごい。


「ぜったいぜったいぜーーったい、すぐには通さないんだから!覚悟してよねっ!まずは、ケーキが作るお菓子を一人十個、倒してみせてっ!」


 ツンデレからのアイドルに戻るその切り替えの早さ。恐ろしい。


「【みんなでつくろう美味しいお菓子♪でも隠し味が足りないね♪そうだ!強くしちゃうのはどうだろう♪ケーキがつくるケーキは甘くないよ♪とっても強くてとっても辛い!けれど倒したあなたには♪ほんとにあま~いお菓子をプレゼント♪】」


 ケーキが歌い始めると、ぽん、ぽんとお菓子が出現した。でも、明らかに普通じゃない。激しい魔力…に、近いものでできている。見た感じ、一体倒すのもめちゃくちゃ大変そう。


「【さあ甘くないおやつの時間だよ♪お菓子たちよ暴れちゃえ♪】!」


 ケーキが歌い終わったとき、お菓子は魂が宿ったようにいっそう輝きを増した。

 そして、縦横無尽に暴れ、屈強な牛頭鬼や大人の死神をいとも簡単になぎ倒し、それでもまだ足りないとばかりにこちらへも迫ってきた。

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