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死神って言ったって追加メンバーが嬉しくない訳じゃない。

「レッツゴーですわ!」


「うう…地界ってやっぱり怖いよぉ…ふええ…」


「ねー、行こうよ以不輝」


「気まずい気まずい気まずい気まずい」


 賑やかな四人組が帰ってきた。考えてみたら天使って幹部五人でやってんのか。忙しそうだな。


「改めて、天使の嘘偽うに嘘違うい禍煉かれん以不輝いぶきですわ!よろしくお願いいたしますわ!」


「おう!よろしくな!」


 閻魔大王はいないので、陽キャ代表ミノが返事をしてくれる。そういえば、あのキショいイケメン女とミライはいつ帰ってくるんだろう。


「ねえ夜宵ちゃん。しっかり歩いてよぉ」


「ん…」


 アフヌンにしては早いが、どうも様子がおかしい。夜宵がぐったりしている。熱?天使に風邪なんて概念あるのか?


「ちょっとミライ!何やってんの!なんで誰も呼ばなかったの?!もー、ほら、夜宵にこれ着せて」


 ミライたちに駆け寄ってカーディガンを差し出したツヅリ。彼女がお姉さんからオカンに昇格した瞬間だった。


「カップル割ある変なところに行ったらこうなっちゃった…」


 後ろめたそうにミライはそう言った。カップル割でなんで風邪を…もしや。


「ロシアンチョコのハズレ、お酒入りだったらしい…私は当たらなかったし、説明長くて聞いてなかったの…」


 ロシアンチョコ?!そんなん絶対アフタヌーンティーにある言葉じゃないだろ!怪しさ満載だよ…絶対マトモなアフタヌーンティーじゃない…


「アンタは食べなかったのね。命拾いしたかもよ」


「えっ?」


「ロシアンチョコのハズレ、二つあったらしい。んで、片方がハズレ中のハズレ。お酒に強くても泥酔するレベルの強いやつが入っていたんだって」


 祟不裂執タブレットでミライが行った店を調べていたツヅリの一言で、騒がしかった皆が静かになってしまった。


「ミライさん、大変ご迷惑をおかけしました。他の皆さんも、色々被害受けましたよね。ごめんなさい」


 緑色の髪をお団子にした着物の女の人が深く頭を下げた。この人が禍煉って人だと思う。


「しばらく、お世話になると思うから…よろしくね」


 禍煉は常識人枠&リーダー枠なのだろう。誰も止めたりはしなかった。でも、こんなに早く簡単に全幹部が集まったってことは…


「天国主、信頼無さすぎやしない?幹部全員ここにいる…」


「実はもう一人いるのですけれど、彼女が一番天国主に心酔していて、説得の意味がなさそうだったので…」


 そのパターン、そいつが一番強いじゃん。残った一人は強い法則じゃん。


「今後の予定としては、堕天使になって、とりあえずは何か動きがあるまで待機。何かあったら即応戦で、それまでが長そうなら地獄めぐりして地界で仕事を探すってところかな」


「そんなに時間ないでしょ…」


「予定だからいいの」


 禍煉と以不輝はそれなりに仲が良いっぽいな。推しカプになるか要チェックである。

ーーーーーーーーーーーーー


「…幻覚か。流石にやるね、禍煉。目を取り外して義眼に変えていたことにも気が付かなかった。でも、これで裏切り者は五人。どうしようかなぁ」


「あの、他のみんなが裏切ったって…」


「本当だよ。あとは君だけ」


「そん、な…」


 天国主の前にいた少女は崩れ落ちた。はらはらと涙を零し、体を震わせるその姿は、単純に、本当に悲しんでいるように見えた。実際、その少女は本当に悲しんでいた。

 少女の名はアヤ。六人の中でただ一人、善人でありながら天国に居続け、天国主を心から慕い、そして名を書き換えられなかった天使である。


「私なんか、みんながいなきゃ、天国主様を守ることも出来やしない…」


「そんなことはないさ。これまでも、これからも、竒は私のそばにいてくれればいい。それに、竒は自分が思っている以上に強いし、私も自分のことは自分で守る。何も心配いらないよ」


 天国主は立ち上がって、竒の長い前髪をかき分ける。彼の肉食動物のような目が温かい光を持って微笑んだ。竒は少し頬を赤らめて笑った。


(竒は使いやすいな。肯定すればするほど、面白いほどに私のことを信じてくれる。これなら、命を捨てるも同然の仕事も、喜んで引き受けてくれるだろう)


 天国主は優しい笑顔の奥で、また違う微笑みを浮かべていた。


「竒、どうだろう。ここは、君が裏切り者をやっつけてくれないかな?」


「…はい!天国主様がそう望むなら!」


竒は満面の笑みを浮かべて頷いた。彼女にとって、天国主は善であっても、悪であっても関係ない。

 ただ、敬愛する彼に、大好きな主に従うだけなのだ。それは、神を信仰する姿によく似ていた。

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