死神って言ったって蛙化が好きな訳じゃない。
大変遅れて申し訳ない。その一言に尽きます。ほんとごめんなさい。
「しかも俺たちは、何か恨みがあったわけじゃないんだ。衝動的なイラつきで三人も殺した。アホすぎるよな」
「それはもうアホだよ…けっこう駄目じゃん」
「ここで被害者ヅラって本当に良くないけどさ、そのときに包丁を使ったせいで、だいたいの刃物は持つだけで怖いし手が震えるんだ」
「んー、まあ、そんなことしたらねえ。あ、それで鎌とか苦手なのか」
イツキのシリアスな過去の話とアスカのマジレスがひたすらに聞こえる。そんな中俺は口を挟んで良いのかわからずに審判ポジションで固まっていた。
「てゆーか、結局以不輝くんのこと、どう思ってんのさ。前は負けたくないとか嫌いとか人でなしとか色々言ってたけど」
「どっちかって言うと、俺はイブキが嫌いなんじゃなくて、怖いんだよ。何考えてるか分かんないし。…でも、イブキが底の底から悪い奴じゃないってのは知ってるから、説得ぐらいならするつもり」
イツキ、けっこう濁すなあ。結論から言うと和解するつもりは多少あるらしいけど、そんな謝罪会見みたいに言わなくても俺ら友達だろ?!…友達だろって言ったら友達じゃないんだっけ?
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「堕天使とは言うが、多分お前たちが思っているのとはだいぶ違うのじゃ。それでもなお堕天使になることを望むのか?」
「はい。確実に庇護下に入るには種族ごと変える方が良いですし、それなりに覚悟はしています」
「結構。では、いくのじゃ!」
メリザはバットを杖に変えると、まるでステッキのようにそれを振って天に向けた。
ピンク色の光がものすごい勢いで降り注ぎ、嘘違と嘘偽はそれをもろに浴びる。そして…
「なんで天パがひどくなってるの〜?!あり得ないよ〜!ふえ〜ん!」
「な…嘘ですわ?!前髪がなくなってしまうなんて、冗談じゃないですわ!」
冷静でカタイ印象を崩すことがなかった嘘違は、もしゃもしゃの天パとアニメのような話し方に。
ギャル語で前髪とゆるふわパーマが特徴だった嘘偽は、センター分けの前髪にストレートの二つ結び、そしてお嬢様口調に変わってしまったのだ。
「それは堕天使になるための【縛り】じゃ。そなたらの裏切りを防ぐためと、地界の魔力に体を馴染ませるためのな。まあ、そのうち消えるからそれまで頑張るのじゃ」
「お姉さま!流石にそれは酷ですわ!……え?私、今なんて…?」
「ふふん。地界ではロリババアか主の扱いしかされないから、お姉さまと言われてみたかったのじゃ」
このロリババアは欲望に忠実である。トッピングか何かのように、重い縛りに自分の望みを入れてしまうくらいには。
つまり、中身はまだ、わがままロリなロリババアである。見た目は子供、頭脳も子供、生きた年齢だけは大人な彼女は、それでも力だけは強かった。
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「うらぎりものが、ひとーつ、ふたーつ。おまえさまのあるくみち、かみもほとけもおりませぬ。あるのはひたすら、むのきょーち…」
ぼんやりと歌を口ずさむのは、白い髪に蜂蜜色の目をした、中性的な美少年だった。否、正確には、美少年らしきナニカだった。
「ねー以不輝。以不輝は裏切らないよね?」
「……裏切るなんて、そんなわけ」
少し間を開けてからそう言ったイブキを彼はじっと見つめ、そのあとにふわりと微笑んだ。
「そうだね。疑うなんて、私もひどいやつだ。だいたい、以不輝には目玉を入れてるんだし、そんなことしたらわかるに決まってる」
「…」
以不輝は無言でお辞儀をし、彼の前を去った。その表情は凍り付き、手は震えていた。
(絶対目をつけられた…これからどう動く?)
無邪気で残酷な笑みを浮かべる美少年は、天国主。天国の支配者であり、メリザたちの名前を奪った張本人であり、そして、『悪の概念がヒトの形になったもの』である。
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「ミノ、あれって闇落ちってやつ?」
「あ〜、まあ、そんなとこかな。蛙化した?」
「してねーよ。それ以前にカップルでもねえし」
蛙化ってそんなに流行ってるの?もう流行り終わってるだろ感覚的に。死者で情報の信憑性がないとかは置いといて、そっち系の言葉って半年くらいで記憶から飛ぶよね?
「あ、あのっ!ええと、ミノさんにっ、今から説得、お願い、できないかなあって…はわわ…」
「えっと、あのさ…シンプルにどうしろと?私、多分天国行ったら消滅するんですけど…」
「私たちがこちらに無理やりにでも連れてきますわ!ご安心なさいませ!」
嘘違たちが来て話がややこしくなっていく。毎度のことながら俺の存在意義よ…何か質問しなければ。
「そういえば三人って言ったけど、禍煉って人と、以不輝と、もう一人は?」
「もう一人は、夜宵って言って、ものすごいプライドが高いやつですわ!自分の容姿に自信ありすぎなうざい女ですの!」
予想の斜め上な感じに厄介そうである。上手く対応できそうなのはアスカか?いや、むしろミライとかの方がそのへんわかってたり?あ、ロリババア…閻魔大王様かな?
「ええと、それじゃあ、三人、つれてきますねっ!」
嘘違たちはそう言って消えていった。が、次の瞬間だった。
「ねえ、そこのお嬢さん、ボクとお茶でもどうかな?」
と、誰かがミノの肩を叩いたのは。
次の投稿はいつもどおりの時間にできるように頑張ります!今週の土曜日と日曜日の間の0時目指します!




