死神って言ったって改善点がうんたらかんたらとか面倒くさいことが無い訳じゃない。
もう一話投稿してあるはずなので、見逃しご注意でございます。
「乙」
「うーん、ドンマイ!」
「珍しいわね。そんなこと」
みんな塩だね。寂しい。慰めて欲しいわけでもないけど、めっちゃさっぱりしてるね。
「んで、包丁はどうだったのさ?」
「全てがダサくなる…いや、これは語弊があるか。技名ダサいのしか浮かばなかったけど、けっこういい感じかも。力もそんなにいらないからイツキとかも使えるんじゃないか?あとは、鎌と同じようにはいかないけど、魔法も使えるし、小回りが聞くと思う」
ホント、この包丁は使いやすかった。言うとするなら鎌のほうが長さや重さがあって、何かがあったときには攻撃しやすいと思うくらい。
流石に如意棒のごとく伸びて欲しいなんてことは言わないが、包丁は短いのだ。いや、当然なんだけど。
「包丁か…俺刃物怖いから無理」
「よくお前死神になろうと思ったね?!」
刃物怖いのに特大刃物ぶん回す仕事目指すとか正気かよ…
「お前不思議キャラなのかガリ勉キャラなのかハッキリしてなかったけど、バカキャラ?」
「あ?」
イツキはキレやすいので、最近はこの威圧感はむしろ和む上、きつい視線にも謎の安心感を覚えるレベルに慣れてきた。
「じゃあさ、ここは一つ、包丁の使い方についてみんなで話してみようよ!」
「え?食べ物を切るでしょ?」
「袋の封を切る…とか?」
「んーと、殺人事件で使われる」
「ゲームの雑魚キャラが使う」
これは酷い。どっかに俺のことを間接的に雑魚キャラと言ったやつがいたけど、それ以上にみんなとてもやる気がない。その前に。
「ツヅリさん?袋の封を切るってそれ包丁でやること?」
「うちのママはウインナーの袋とかは包丁で突き破ってたから…」
包丁で突き破るとかいうパワーワード!!ママ呼びしてることとか、チョイスがウインナーの袋なこととかツッコみたいところは他にも色々あるけど。普通の包丁の話じゃないんだよなぁ…
「まぁまぁ、とりま使える魔法教えてよー。トウマくんはけっこう話脱線しがちだからさ!」
誰のせいだと思いながらも四角刈切と図形刈切のことを話すと、ミノが大笑いしながら何かを言おうとしているのが目に入った。
「ふっ、ふははっ、ちょ、やばいしぬっ…あははははははっ!ふふっ、図形の方っ、応用まだいける気が…あははっ…まじやべぇ…」
「ミノちゃん、どーどー」
落ち着いてから聞いてみると、図形刈切はまだ改善点がありそうな気がすると言いたかったそうだ。
「図形がいけるなら立体もいける的な?四角を描いたら尖ったサイコロが出てくるみたいな?そういう感じ。やってみてよ」
なるほどわからんという感じだが、ものは試しだ。俺は三割ぐらいいる天才肌でも、一割以下しかいない計算で魔法ができちゃうタイプでもない。てなわけで、とにかくやる!
「【立体刈切】!」
しーん、と沈黙が流れる。ビシッと突き出した包丁は鈍く光り、俺の表情筋はドヤ顔で固定されている。つまり俺は今、とてもカッコ悪いことになっているのである。
「えっとさ、すごい申し訳ないんだけど、トウマくんのネーミングセンス微妙だねー…」
「はっ!そんなの自分でもわかってらぁ!てかいいとこだけ取ってくニキ、もといアスカ!そんなに言うならお前がやってみろ!」
八つ当たりもいいところだが、流石にアスカも一発じゃできないだろうし、笑ってやろうと思ったのだ。
「【フィギュアプリズム】!」
アスカが包丁で四角を描くと、虹色の立方体が出てきて、カツン!と音を立てて地面に落ちた。そう、彼は成功してしまっていた。
「っ…お前らも!やって!みろよ!」
その結果がこれだ。
「【超絶怒涛感嘆符】!」
ビックリマークが棒と球に分かれ、球の方はミノに打たれて消えた。こんな状況じゃなければ、ホームランとでも叫びたくなっただろう。
「【四葉蝶】」
クローバーのマークが蝶のように羽ばたいて、ものすごい勢いで飛んで行ってしまった。イツキにしては可愛い感じの魔法なのが個人的にビックリだけど。
「【真珠貝】!」
貝殻のマークが二枚貝になって、転がっていた虹色の立方体を挟んで閉じた。見た目の割に殺意が高い。というかツヅリはいつまで宝石の名前のやつで続けていくんだろう。
で、結局みんなできちゃったわけだ。俺はダサいだけ。
「誰か俺に技を伝授してください」
聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥とは言うが、こいつらは多分どこかで掘り返してくるし、死んでるから一生は終わってる。恥を忍んで聞くだけだ。
「あーごめん。教えるの苦手なんだよねー」
「魔法式無理なんだろ?じゃあ知らん」
「ぶわーって!ビックリマークな感じ!」
「そうだなあ…貝殻でぶっ潰すイメージで描けば良くなるかも?」
「もういいです…あざした…」
結局何も解決はしなかったが、気分転換をするという意味では中々良い結果だったかもしれない。




