死神って言ったって正統派ヒロインがまともな訳じゃない。
場面を区切りすぎました。雑だと思われるかもしれませんが許してください。自分で書いたくせに展開が速かったんです…私にしては!
すっかり元気そうなミノ。今はアスカたちと駄弁っている。つまりアレか?俺だけ情緒不安定だったオチ?
「じゃ、僕ら帰るんで!」
「「あとはごゆっくり」」
……………は?なんでこいつら定期的にあとはごゆっくりって言って消えてくの?
「あれ?トウマ帰らないの?」
帰れるわけねえだろォォォォォオ?!あの空気で!あの言葉かけられて!無理!
『二級死神、紫野ノ目何時輝、三級死神、志賀実藤真に通達します。ただちにデスストリート西門前へ向かってください。繰り返します。紫野ノ目何時輝と志賀実藤真はただちにデスストリート西門前へと向かってください』
…帰る口実ができてしまった。ミノと話したいのは山々…って訳でもないが、ショージキだるい。今回はイツキかぁ。…アイツも俺も喋れねえよ!何?殺す気なの?死んでるけど。
「ごめん、帰るわ…」
「あいよ…」
微妙に気まずい空気で閻魔城を出て、イツキと合流するために走り出した。
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「お、あれじゃないか?」
イツキの指差す先に、小柄な人影が見えた。それを見て、陰キャ仲間がいて良かったと心の底から思った。薄ピンクのカーデガンは萌え袖。短いプリーツスカートとハイソックスにツヤツヤの編み上げブーツ。どこからどう見ても、俺にとっては非常に近づき難い女子だったのだ。
既に二人して表情筋が凍っているが、まぁなんとかなるさ。多分恐らくきっと。
「あ〜、ども、新入りの死神って君で合ってます?」
「は、はい。ミライ、です。よろしくお願いします」
女子の姿を見た瞬間青ざめたイツキには期待しない方が良いと悟った俺は勇気を出して声をかけた。我ながらえらい。
「それで、あの、あなたたちは…」
「あぁ、ごめん。俺は三級死神のトウマでこっちは二級のイツキ」
「…どうも」
声ちっさ!初っ端から陰キャでどうする!特大ブーメランだけどさ!
「トウマさんと、イツキさん、ですね!よろしくお願いします!」
…正統派ヒロインってのは、こういう人のことを言うのかもしれない。ショートボブパーマの銀髪と長いまつ毛に縁取られた穏やかな灰色の瞳は彼女の纏うパステルカラーの服によく似合っていて、とてもじゃないが地獄行きになった悪人とは思えない。
元気いっぱい(全力オブラート)のミノと俺達なんかより格段にモテそうなツヅリ、キチガイ段違い桁違いの特級姉妹にロリババアの閻魔大王なんていう癖がなきゃただのやべぇ女子たちしか周りにいなかったんだ。正統派来たら喜ぶだろ。喋る自信はないけど。
…いや待てよ?!これはもしや乙女ゲーム的な感じで、コイツが悪役だったり……?
「…トウマ、俺、帰っていい…?ここは俺に相応しくない場所だと思うんだ。ヒロイン攻略だっけ、頑張れよ…」
「帰るんじゃねェェェェェ!!!」
叫ぶも、助けてもらえず。そのときだった。
「あの、トウマさん。他にも、死神の先輩方っていらっしゃいますよね?今日は仕事じゃないので、よかったら…」
よくぞ言ってくれた。アスカかミノに会わせれば俺はほとんど喋らなくて済む!レッツ念話!
(アスカー今暇?)
(ごめーん、今日はタピるから無理ー)
タピる?!もう古くないか?!
(ミノー今暇?)
(折角寝てたのに邪魔すんじゃねぇ!)
(すいませんでした!)
万事休…してないや。ツヅリならまだ望みはある。さあレッツ念話!
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「アンタねぇ、今どき正統派ヒロインでその喋り方でやってたら浮くわよ」
「えぇ〜?ツヅリさんこそ、そのイケメン(笑)の痛いキャラでやっていけるんですかぁ〜?」
非常に救援を呼びたい。なんならイツキでもいい。
「ざっけんじゃないよ!そろそろ黙りな!」
「痛たたたたーっ!誰か絆創膏をーっ!」
なんて言えばいいんだ?黙っているのが一番いけないのはわかってはいるが、下手に口を挟むのが一番駄目だ。悪化するから。だがしかし、これを対立百合と捉えることのできる猛者にとっては……どーでもいいや。
「まあまあ二人とも、リラックスしていただいて…」
「「できるかアホ!」」
何故俺に攻撃が来るのか。
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数日過ぎたが、状況は悪化している。ミライは、イツキを殴り合いでボコし、ミノを騙してお菓子やジュースを奪い(それが一番効く)、ツヅリとは相変わらず冷ややかな笑みを浮かべて『お喋り』していた。
あとは俺とアスカ。何が待っているのか、一周回って楽しみになってきた。
「トウマくん、僕らでミライちゃん捕まえない?」
ゑ。
「無理無理無理無理無理無理」
「できるできるできるできるできるできる」
無理だってそんなの。多分返り討ちにされて終わり。アスカに手伝ってもらえばできないこともないか?でもこいつ一人でやりそうなんだよな。
「何かあったら俺が止めてやるよ」
「いきなりどしたの………?」
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「ハーイ!ミライちゃん!」
「あ、ちっす。アスカさんトウマさん」
塩!対!応!なんか辛いよ…
(効いてるのを悟られたらピンチだよ!)
あ、そうだった。
「それにしても最初のときと全然違うな。あれは猫被ってたってことか」
何気ない一言だった。強いて言えば、少し煽ったり気を引いたりするくらいの目的しかなかった。なのだが。
「……は?バカにすんのもいい加減にしろよ」
さっきまでの彼女とは全く違う、ドスの利いた、いや、利きすぎた声。
「この姿になるまで…この声と、話し方と、見た目と、それ以外にもたくさん、手に入れるまで、どれだけかかったと思ってるんだ!」
いや知らねえよ!
「でもそれは別にいい。お前、さっき言ったのは『女らしくない』ってことか?」
「なんとも答えづらい!でも、言ってるか言ってないかだったら言ってるかもしれない」
「それが一番嫌なんだよ!『俺』はこうでもしなきゃやってられないんだから!それをお前は否定した!『俺』はお前を許さない、絶対に!!」
見た目は変わらないが、怒りに顔を歪め、男の声で怒鳴ってくるミライ。何かに取り憑かれているのか、あれが素なのか。
「ミライちゃん、一旦ストップ!」
俺が戸惑っている間にアスカが動き出した。ミライの足を払い、体勢が崩れたところで即座に押し倒す。無論いかがわしい意味ではなく、その後は体を縄で縛って(これも文字通りの意味)、そこらへんに座らせた。
相変わらずのいいとこ取り野郎だが、今はそんなこと言っていられない。
「君、話を聞く限り死神になるときに相当見た目を変えたみたいだけど…本当の姿、見せてくれない?」
「………嫌だ」
アスカも想定内だったのだろう。彼は紙に魔力を込めたものを差し出した。…俺に。
「ほら、トウマくんも魔力。二人して疑われちゃう」
仕方無しに魔力を込めると、アスカはそれをミライに渡した。
「これで秘密にできるよ!ね?お願い!」
ミライは渋々それを受け取ると、姿を変えた。
そこには…太っていて目つきの悪い、高校生くらいの男子がいた。
新キャラミライちゃんは男の娘2ndなのか……?
次回もお楽しみに!




