死神って言ったって、アツい感じの展開と非リア隊員が存在しない訳じゃない。
ちょっと遅くなりましたね。すみません。そして今回は分の量が少ないかもしれないです。重ねてすみません。最後のあたり、三人称?一人称?って感じかもしれません。重ね重ねすみません。それでも読んでくれたら嬉しいです。
「どしたのイツキ。顔怖いよ?」
「あ、いや、その…」
首をかしげるアスカと、途端に頬を赤らめるイツキ…少女漫画かよ!何見せつけてくれてんだ!リア充ファッ○ュー!!!
でも、確かにイツキの顔は険しかった。でも、何か燃えてる気がする。魔力を抑えようともせずに魔法を放っていく彼らを尻目に、俺はショボい魔法をちびちび出していく。
オールラウンダーで規格外のアスカと、魔法超特化のイツキ。この二人の近くじゃ劣等感マシマシの状況なのは当たり前なのに、ここにいる理由は一つ。
安全だから!!!!!
ちなみにミノはやる気満々で走っていき、今もたくさんの牛頭鬼を一気に相手にしている。ツヅリは先ほど思いっきり殴られたのが嘘のように一対多で戦い、どんどん彼らをなぎ倒していく。
…俺、このままじゃ、ずーっとうだつの上がらない脇役でいるのかな。周りを見ていると、自然とそういう思いが湧き上がってくる。
いやいやいや、とりま落ち着こ。
「【闇夜雨】」
この魔法は攻撃力もショボいが、魔力消費がとても少ない。まぁつまり、魔力と威力が比例しているのだ。少し強めにしても、俺でも連続で出せるというすごいやつだ。
さ、気合い入れてくか。なんて思ったその時だった。
「おい!天使が出たぞ!」
誰かの声がした。天使は、かけた術が溶けてくると出てくるものらしい。
「「かかってこいや!」」
「一旦下がれ!」
真逆の言葉が同時に聞こえた。かかってこいやがミノとツヅリで、一旦下がれがイロリだ。多分。
【死にたてでも分かる!死神による死神の死神のためのマニュアル!〜死神の天敵編〜】にはこんなことが書かれていた。
『天使の放つ光は【崇光】と呼ばれ、地界では疎まれているよ!なんでかって?地界で生きとし生けるもの全てに対し、すごく強力な毒になってしまうからだよ!まともに当たれば死神なんて即死だよ!やばいね!』
そして。それに好戦的に向かって行ったミノたち。
「危ない!!!」
俺には叫ぶことしかできない。防御魔法も、何も思い出せない。頭は真っ白だ。
「【遠隔結界】【鏡の国】!」
「【紫壁】【色は匂えど散りぬるを】!」
アスカとイツキはそれぞれ、防御魔法と跳ね返しや打ち消しの魔法を放つ。しかし、それは俺にはできっこない高度なものだった。【闇夜雨】に魔力を使い過ぎたというのもある。それでも、一つ使えそうな魔法を思い出した。
「【暮帳】」
こんなもんじゃ駄目か。二人に比べて、圧倒的に弱い。でも、もう使える魔力がほとんど無いのだ。
くるりと天使が振り向いた。しかしその顔は、可愛らしくも美しくもなかった。黒目はなく、鼻もほとんど見えない。白い肌に穴が空いているだけ。しかし、なにより恐ろしいのはその口だ。顔の三分の一以上を占める巨大なそれはぽっかりと開いていて、その中には果てしない闇と、真っ白で、刃物のように鋭い歯がある。それを剥き出しにして気味の悪い笑顔を浮かべる天使。地界の悪魔の方が千倍は可愛い。
今の天使に攻撃しても、大した結果にならないのはみんなが知っていること。だから、誰も何もしない。守りの魔法は重ねすぎたら割れやすくなるし、まだ情報が少なすぎるのだ。
ちかり、ちかりと【崇光】を纏わせながらミノたちに近づく天使。アスカやイツキの魔法はそれを跳ね返し、防いではいる。俺の魔法も、その光を飲み込み、多少は役に立っている。でも、これからなのだ。本物の【崇光】は。
天使が、その姿が見えなくなるほどに燦然と輝き始めた。
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ミノは天使を見て、しまったと後悔した。簡単に近づいてはいけないとわかっているのに、反射的にかかってこいやなんて言ってしまった。しかもその顔の恐ろしいことといったら。逃げようとしても、腰が抜けて動けない。さっきまでは大いに役に立ってくれた装甲包帯も、今は頼りなく見える。
本能的にこれはやばいとわかる。多分、元の体だったら恐ろしすぎて失禁くらいはしていたなと思った。
そして、天使が近づいてくる。アスカたちが魔法をかけてくれていたが、いつまで持つだろうか。天使の輝きが一層強くなる。気合いの術を言おうとしても、声が出ない。
ぎゅっと目を瞑ったときだった。
「【闇城壁】!」
叫ぶような詠唱。誰かに抱えられ、後ろに飛んだ。
「大丈夫?光、当たってない?」
ちょっとぶっきらぼうだけど、優しい言葉。そして、さっき聞こえたちょっと低めの声。その薄いクリーム色の髪には見覚えがあった。
(ツヅリちゃんだ…私、今、この子がいなかったら終わってた…)
ほとんど面識もないし、今はろくに動けず役に立たない。それなのに助けてくれた。お礼を言いたくて、なんとか声を出した。
「あ、あたっ…てな、い。ありが…と…」
「いいの。あたしだって一人じゃ心細いし、置いてったって後味が悪いからね。まだ動けなさそう?」
一見冷たく見える赤い目は、近くで見ると暖かかった。
「多分、大丈夫…」
そう言って立ってみようとしたはものの、そのまま崩れ落ちてしまったのを見て、ツヅリはもう一度ミノを抱え直した。
「【珊瑚塀】!【高波】!【木の壁】!えーっと…【闇城壁】、【鏡の国】、【紫壁】、【黄壁】、【紅壁】、それから…【薄紫壁】!やば、崩れる…【珊瑚塀】!」
連続で防御魔法を出し続けるツヅリ。それでも【崇光】はそれを順調に破壊していた。
全て強力で、全てが絶対的な守りの壁なのに。特に、水晶の名前が入る魔法は、よこしまなものを通さないものとして有名なのに。物理的に壁を作っているのが多いから、壊れやすくなることもないはずなのに。
「何個やっても無理じゃん…あーもう!【全防御壁展開・遮光要塞】!」
それは、規格外に囲まれ、規格外に慣れきったミノでもドン引きする量の魔力と、コントロールと、精神力を使う魔法。対【崇光】でも、他とは比べ物にならない耐久力を誇る防御魔法だ。なにしろ、己が知りうる全ての防御魔法を、一切のお得無し、節約無し、手抜き無しで展開するのだから。
流石のツヅリも息を荒くして座り込んだ。むしろ、意識を保っている時点でどこかがおかしいんじゃないかと思う。
「…ごめん。流石に、これは、調子…乗ったわ」
ミノにぐでっと寄りかかって、ツヅリはそう言った。
とんでもない。こっちこそ本当にありがとう。そう言おうとしたときだった。
バリン!と音を立てて、暗くて安全だった要塞に、光が入った。絶望と焦りで対処法を考えることを諦めたミノは、とりあえずツヅリを庇うことにした。
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(嘘、でしょ…)
今自分ができる、本当に精一杯の防御が、数分しか持たずに壊れ始めていた。
それを茫然と見つめていると、ミノが走ってきて、自分の目の前に立ちふさがった。いつから立てるようになったんだろう、なんてどうでもいい疑問がぼんやりと浮かぶ。
それが戻ったのは、誰かが倒れ込む音を聞いたときだった。そして、それがミノだと気づいて何か考えるには遅すぎた。
とにかくと彼女を引き寄せ、まだ残っている影に隠れる。でも、もう駄目だろう。そう思ったときだった。
「全く、世話の焼ける。もう大丈夫じゃ。余は天使ごときに負けるほど弱くはないからな」
怯える少女たちと、その後ろで右往左往していた死神たちの前に、グシャグシャになったツインテールを揺らすロリババアが降り立ち、桜色の結界を張ったのは。
さて…ロリババア、いいタイミングで来ましたね。ちなみに、ミノとツヅリは少年誌のようなアツい友情なのか、ミノちゃんの片想い系なのか、精神年齢的なおねロリなのかは私にもわかりません。友情系ならミノが、それ以外ならツヅリが攻めだと思います(個人の感想です)。攻めとか言ってる時点で百合って思ったら負けです。




