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死神って言ったって必ず悪役って訳じゃない。

もうすぐ夏休みですね。

まだ12話目なのにけっこうキャラ出てきたな…とか思いながら書いてます。

楽しく読んでくれると嬉しいです!

「あの…」


「何?」


「シオリ殿は、浄化係なんですか?」


「ふふっ…あははははっ!やめてよ殿なんて!はははっ、そういうガラじゃないでしょうよ〜」


彼女はひとしきり笑ったあと、俺の質問に答えた。


「私は特級死神として、総監督っていうか…

まぁ、言っちゃえば通りすがりだよ。いや〜、今のはまぁまぁ危なかったね!居合わせることができて本当に良かった」


陽気に笑うシオリ…さん?なんて呼べばいいんだホントに。しばらくはこの人を主語にするのを避けて話そう。


「あの、それで、さっきの魔法ってなんですか?ポイズン…きゅーてぃくる?」


「ポイズン・キュルティラーね。麻痺毒の膜で相手を大人しくさせるの。私、状態異常ってやつにロマンを感じるんだ!ちなみに双子のイロリは、爆発系しか使いたくないんだって」


何かの転移モノ異世界ラノベと似たものを感じながらも、持ち前の(?)スルースキルでそれを消し去った。いや、大丈夫。爆発「系」だもんな!


「ソーナンデスネ…えっと…じゃ、俺はそんな感じで…あざした!」


とにかく、この人…じゃなくて死神はやばい。そう思って俺は魂を持って一目散に奥へ走…ろうとした。


「それ、死神でも触れたら溶けるからね〜」


聞き捨てならない言葉に足を止めてしまったのだ。…いや、しょうがないでしょ。命に関わるかもしれないんだから!

必死に頭の中で言い訳しながら、俺は速足で進みだした。


ーーーーーーーーーーーーー


「あ〜、閻魔城地味に遠いなぁ…なんだろ。歩きで都会の三駅分くらいの気分。人酔い以上おつかれ以下ってところかなぁ…」


迷言をたれ流しながらミノは歩く。人酔いのランクがそんなに下ということは、彼女は陽キャと呼ばれる部類なのかもしれない。

と、ここで彼女は見覚えのある死神を見つけた。


「シオちゃん…!」


「お、みーちゃんだ。久しぶりだねぇ」


満面の笑顔を浮かべたミノに気づくと、シオリはふわっと微笑んだ。


「聞いたよ。三級昇格とバディ決定、おめでとう」


「へへ、お褒めに預かり光栄です!」


「も〜、何それ。上下関係の前に友達、でしょ?」


旧友と二人、笑顔を咲かせる。ミノは幸せでいっぱいだった。と、ここでシオリは慌たようにミノに「今、何時くらいだろう?」と聞いた。


「夕方四時を過ぎたところだねぇ。どしたの?」


「やば!四時半から天界に行かなきゃなの!私、帰るね!」


「あ、うん。気をつけて…」


いきなりのことであっけにとられるミノの肩に、シオリは優しく手を置いた。


「みーちゃん、頑張って」


「……」


黙ってこくり、と頷くミノを満足げに見たあと、シオリは走っていった。


ーーーーーーーーーーーーー


「はぁ…暇になっちまったぜ…☆」


火不壊惡零(カフェオレ)を飲みながら、ため息をつく。こんな時間を大切にするべきかもしれないのだが、職業病だろうか。何か仕事はないかとそわそわしてしまうのだ。


「トウマ〜、苦裏夢疎堕(クリームソーダ)、奢ってよ〜」


「無理!なんならお前が奢れ!」


「絶対嫌〜」


コイツ、この前財布忘れて金返してないの忘れてんのかな?

と、誰かが自販機で何かを買った音がした。


「や、お二人さん。今、暇かな?」


この声は…


「「アスカ!!」」


「ねーねー、トウマくんってさ、僕に助けを求めに来たとき、一日あげるって言ってくれたよね?」


…なんだそれ。いや、言ったけど、そんなにもったいぶらなくても…


「それが、今日です!ミノちゃんも、どう?」


「え、あ、いや…私、ちょっと忙しいかな…」


ここでアスカが取り出したのは、苦裏夢疎堕(クリームソーダ)である。こいつ、盗み聞きしてたな。


「いらないの?」


アスカはミノに苦裏夢疎堕(クリームソーダ)を見せつける。


「…変なことしたらラリアットと後ろ回し蹴りと往復ビンタと卍固めと小手返しと…くらいはさせてもうけど、いい?」


「変なことしなきゃ良いんでしょ」


アスカもなんとなくミノにちょっかいをかけるのはダメだと分かっているらしい。ワンチャン、今はイツキの反応を楽しんでいるから…とかかもしれないが。


ーーーーーーーーーーーーー


「………は?」


アスカの家らしきものに通された俺は、ほとんど声も出せなかった。おどろおどろしい拷問器具から、かわいいリボンまで、様々な物が散乱していたのだ。


「実は、道具を自作してみようかなって考えてて。イツキみたく、鎌を使うのが苦手な死神もいるんだしね。そもそも鎌が苦手なのに、それで功績を…なんてのも、無理あるだろうし。閻魔様に許可取ってないけど、特級死神のしおりんから許可取ったからいいかなーって」


「「しおりん?それってもしかして…」」


(いや、もしかしなくても、絶対そんな名前のやつであの閻魔大王の忠臣とかキチガイ段違い桁違いだろ!てかさっきのシオリさんとそのお姉さんのイロリさんとしおりんだろ?どんだけいるんだよ特級なのに!!)


(シオちゃんのこと?そんなきゃわたんなあだ名があったのに教えてくれないなんて…)


「「はぁ〜…」」


ミノも同じようなこと考えてたのかな?


「まぁ、そんな訳でさー。頼むよ。実験台♡」


「「嫌ァァァァァァァ!!!」」


濃厚な仕事終わりになりそうだ。


そう思った直後のことだった。



『緊急。緊急。突如牛頭鬼たちによる大規模反乱が発生しました。規模の大きさと相手側の武力を鑑み、見習い含む全死神の召喚を行います。十分後に、召喚が行われます。それまでに戦闘準備をしてください』


な…嘘だろ!?反乱なんて起きるのかよ!?あの閻魔大王に……?牛頭鬼って、一般市民的な地位だよな?確か。なにがあったんだ!しかもいきなりって。


「トウマくん、ミノちゃん」


「どしたの?アスカ。それ、包帯と包丁?」


「うん。試作品だけど、効果はあるはず」


アスカは包帯をミノに、包丁を俺に渡すと、小さなボディバッグに物を詰め込みながら説明を初めた。


「その包帯は、装甲包帯。思いっきり殴っても手を痛めないし、硬くなるから防御力も攻撃力も上がる。手袋よりは蒸れないし、楽だと思うよ。そんでもって、包丁は…包丁だね。うん。鎌より小回りが効くし、何より殺傷力が『高すぎない』ってのがいい。今回の騒動にもピッタリだよ」


かっこいい名前がついていないのが悲しい。

アスカは巨大な花火玉のような爆弾をボディバッグに入れていた。全く膨らんでいないそれを見るに、何かしら魔法がかかっているのだろう。


十分はあっという間。ミノがなんとか包帯を巻き終わった頃、俺たちの足元には魔法陣があった。


着いた場所は閻魔城の真ん前。そこでは数人の死神が防御結界を作っていた。そしてその外には…目が真っ赤の牛の化け物…もとい牛頭鬼がいた。何百人いるんだろう。千人以上いるかもしれない。なにより、本当の彼らの瞳は穏やかな黒なのに、文字通り血眼じゃないか。


「みーちゃん!あす!トウマ!」


シオリさんが走ってきた。


「あっ、しおりん!どうなってんのさこれ?」


あっ、シオリさんとしおりん、同一人物なのか。


「シオちゃん…大丈夫なの?これ…」


シオリさんが叫んだ。


「大丈夫じゃない!仕掛けてきたのは天国の奴らだ!!」

さて…戦いの予感ですね!(歓喜)

この騒動、イツキやツヅリも何やら思うところがある様子…次回をお楽しみに!

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