死神って言ったって魂取るのだけが仕事な訳じゃない。
今回は(も)、トウマの影が薄い回ですな…
彼が主人公になれる日が来るといいですね。
今回はロリババア…じゃなくて、閻魔大王様がしっかり出てくる回です。
では、楽しんでくれると嬉しいです。
「ここの魔力伝導とここの式で流れる魔力の量を同じと仮定して、ヘピキとマニドラを三乗にしたら、威力が上がるんじゃない?」
「できないこともないが、連続使用を考えた場合は厳しくなるな。特にここの抵抗が…」
「…便秘?マンドラゴラ?三輪車?」
「ヘピキ、マニドラ、三乗ね。それにしてもすごいなぁ。僕だって理解するのが精いっぱいだよー」
珍しくアスカがツッコんでくれた。俺は理解だってできないんだから、アスカもすごいとは思うんだけどね…
「てか、その元素みたいなの、なんだよ?」
「んーとね、ヘピキは怒りのエネルギーで、マニドラは金欲のエネルギーだね。魔法は、そういうエネルギーの組み合わせから成り立ってるんだ」
「解せぬ!!!大体魔力を使うんじゃないのかよ魔法って?」
「えーと、魔力が、そういうエネルギーの微妙な組み合わせでできてて、何回も試して体で理解するのが大半なんだ。練習したらできたぞ!ってのがこれ。
そして、練習がなくても思いつきでできちゃう天才肌が一部。こんなのできるかな、こうしたらできるかな、できた!ってのがこれだね。
でも、一部と言っても三割ぐらいはこれなんだ。残りの七割ぐらいは体で理解するタイプ。つまり、式を見てなるほど、わかった!なんてのはほんとに、ほんとにちょっぴりなんだよ」
わかるようなわからないような。結局この二人が異次元なんだな。
「そーいや、ミノちゃんとトウマくんはそろそろ浄化係なんじゃない?」
「「浄化係?」」
「ふふっ、死神って言ったって魂取るのだけが仕事な訳じゃないんだよ」
いまいちわからないまま、翌日になってしまった。
「安置施設にある魂をランクで分けて、それぞれに浄化魔法をかけるか、浄化施設に持っていく。段違いにやばいのは閻魔城へ持っていく…か。閻魔大王って魂の浄化できんのか…?」
「できるよ」
答えたのは、意外も意外。ミノだった。
「メリザ様は、魂を宝珠に入れて、夢の中で瘴気を取り込む特殊な浄化をするの。それ、すごくお体に悪いんだけどね…」
「なるほどわからん…」
ーーーーーーーーーーーーー
安置施設には、無数の魂があった。定期的にやってもこんなにあるのかとショックではあるが、今やることはランク分けだ。
今の時代、感覚で分かれ!なんてことはなく、そういう道具があるのが救いだった。
「…あれ、針が振り切った。壊れたか?」
「それはレベチにやばいやつじゃない?」
なるほど、これを閻魔城に持っていけばいいのか。
それからも着々とランク分けが進み、ついに全てを分けることができた。俺は浄化をしながらミノを手伝って、ミノはもっぱら運び役だった。別に俺が働かせているわけではない。気合で浄化はできないのだ。
「よし!あと少しだ!」
「じゃあ、私は閻魔城に行ってくるよ」
よし、あともう少し、頑張るぞ〜!
「【浄化】!」
その瞬間だった。今まで大人しくしていた魂が、暴れ出したのだ。黒いオーラを纏って。
「えっ、ちょ、落ち着けって!おい!」
やばい。本当にやばい。電話!電話だ!早く応援呼ばないと!
ーーーーーーーーーーーーー
「良く来たのじゃ。ミノ」
「お久しぶりでございます。ご機嫌麗しゅう、メリザ様」
「良い良い、そんなに畏まらずとも、ここには余を含め、そなたの知っている者しかおらぬじゃろう?
ところで、何ゆえここまで来た?」
「こちらの魂を預けに参りました」
「…そうか、わかった。ありがとう」
メリザは少し辛そうな顔をしたあと、笑顔でミノを労った。
「ご無理は、なさいませぬようお願い致します」
「あぁ。ではまた会おう」
ミノが帰ったあと、メリザは隣に控えていた紅色の髪の少女に言った。
「色里、わらわはこれの浄化をするから、とりあえず着替えを手伝ってくれ。ほら、そんな顔をするでない。これは、わらわにしかできぬことなのだ」
一人称を変え、少し玉座の背にもたれかかるその姿は、少し、疲れているように見えた。
「やれやれ、揃いも揃って体に悪いなどと…
そもそも、閻魔になってから百年も経っていないし、わらわはまだ若いというのに…」
などとぼやきながら、メリザは魂を閉じ込めた宝珠を抱きしめて目を閉じた。
宝珠が黒い靄を出す。そしてそれはメリザの体の中に吸収されていった。
(今回は、そこまで痛いわけでもないのだな。これなら早く済むか?)
と、思ったそのとき。激しい胸の痛みが彼女を襲った。何度も何度も経験したものだが、慣れることはない痛み。
ぎゅっと体を丸めて、ひたすら耐える。結局そうしないと終わらないのだから。
食いしばった歯から、荒い息が漏れる。痛みは胸から全身へ広がり、体が弾けて崩壊するんじゃないかと錯覚するほど、さらに酷いものになった。
体が痛くて、熱い。酸欠の金魚のようにぱくぱくと口を動かすが、あまりの激痛に声を出すことさえできなかった。
しばらくすると痛みは少し収まり、メリザはまだ続く息苦しさと違和感を我慢して起き上がった。
来ていたネグリジェは汗で重くなり、中に履いていたレースのズボンは肌にくっついていた。メリザはため息をつき、「湯浴みをせねばならぬな。本当にこれは疲れる」と呟きながら、誰かを呼ぶためにベルに手を伸ばした。
ーーーーーーーーーーーーー
やばいぞ。電話がない。思念伝達とか?本当にどうすればいいんだよ…!アスカより、イツキに聞いたほうがいいかな?
それとも、水でもかければいいのか???
「【超絶上位非現実気合魔水】!なんつって…ってうわぁぁ?!」
ヤケクソでミノの使う気合魔法(?)を使ってみようとしたら、ほんとに水が出たから驚きだ。でもオーラは消えない。そこは消えろよ!
「【ポイズン・キュルティラー】」
一人混乱している中で、鈴の音がして、そのあと甘い声が聞こえた。どこかで聞いたような気もする。
聞き慣れない呪文だ。
俺の持っていた魂は紫の液体に包まれる。なんとなく離れたほうがいい気がしたので、そこらへんに魂を置いて二、三歩下がった。
コツコツと靴の音がして、水色の髪をポニーテールに結んだ少女が近づいてくる。見た目はなんなら俺より小さいように見えるけれど、纏うオーラというか、雰囲気というか、覇気というか…そういうのが根本的に違う。
「私は汐里。…アスカのときに会ったかな?一応、特級死神をやらせてもらっているよ。よろしくね」
ま、また強キャラが…俺の存在意義が…!
いかがでしたか?
最近、トウマの影がもっと薄くなって、一人称で書いてるはずが三人称になったりしないかな…とハラハラしながら書いてます(作者なのに!)。
感想などいただければ嬉しいです。読んでくれてありがとうございました!




