少女の記録〜第1章〜
自分とは何か。なぜ産まれて来たのか。なぜ生きているのか。人生に絶望した時、人は初めて己の醜さと愚かさ、弱さに気付く。なぜ自分のような人間がこの世に産まれてきたのか、なぜ生きているのだ、と。完璧な人間などこの世に存在しないにも関わらずついつい完璧を目指し失敗してしまう。ついついさらに上へと欲張ってしまう。人は皆、自分が一番かわいく結局は自分が有利になることばかりを考える。そうでなければなぜ温暖化などという地球環境の問題が発生するのであろうか。
これは生きることに絶望したとある少女が生きる意味について考え、どん底から必死に抜け出そうとするまでの物語である。
第一章〜どん底〜
少女は自問自答していた。
あんたは何で生きてるの?
死ぬことが出来ないから生きてるだけ。
じゃぁ誰かが殺しに来たら死ぬの?
私の命は私のもの。死ぬか生きるかは私が決める。誰にも渡さないし決めさせない。でももしもそうなったらそれはそれで運命だから仕方ないのかも。
あんたがもし本当に死んだとしたらいったい何人の人が泣いてくれると思う?
ここで自問自答はいつも終わる。思考回路がシャットダウンするからだ。こんなことを考え始めるようになったのはいつ頃からだったろうか。そろそろ寝よう、明日も学校だ。少女はカバンに教科書を詰めため息混じりに床についた。
少女は思っていた。自分が幸せになる資格などない。自分を産み落とした母親に対し愛情を持つことがどうしてもできなかったからだ。昔から話しが合わず喧嘩をするたびに口汚く罵り、酷い言葉を浴びせかける母親に少女はいい加減うんざりしていた。絶対的存在である母親に存在価値を否定された子供は何を思い生きていけばよいというのだろうか、そんな母親をどうして許すことが出来ようか。少女は自分を施設に入れようかと考え悩んでいた母親を知っていた。母親にも非はあるものの、少女はそこまで母親を追い詰め傷つけてしまったという現実に涙を流した。なぜこんなふうになってしまったんだろう、自分は何て酷いやつだ、しかしやはり関係を修復させようとは思わなかった。
次の日、学校に行くと高校受験の話しで持ちきりだった。昔から面倒くさがり屋だった少女は両親が希望するレベルの高校より確実にトップな成績を収めることが確信出来る少しレベルの低めの高校を選んだ。
この選択で後に彼女の人生も考えも大きく変わることなどこの時の少女は知る由もなかった。
家に帰宅した少女は母親に自分が行くことにした高校の話しをした。母親は案の定気に入らなく、少女の高校選択により二人の関係は更に悪化した。
この時少女は悟った。
この人は自分の思い通りにならなければだだをこねるわがままな子供と一緒だ。ただの低脳なおばさんだ。
少女は高校選択と同時に母親を母親として見るのをやめた。それと同時に自分の実の母親にそんな感情しか持てないことに悲しみを抱き何回も心の中で泣き叫んだ。
なぜ私自身を見てくれないの?




