昔のシューティングからギャルゲーへ ~地味なヒロインの失敗を逆手に取って攻略する~
読むギャルゲー。
男子高校生のあなたは、校舎をつなぐ渡り廊下でゲームの話をしていた。
相手は、同じクラスの仲の良い女子だ。黒髪を後ろで一本の三つ編みにしている。クラスの中でも地味なほうの女子だが、かわいい感じには見える。
「昔のシューティングゲームって、地上の砲台がこんなふうに弾を発射するよね」
そう言って彼女は黒い膝丈スカートを両手でつかみ、一気に上げて下げるを二度繰り返した。
この動作は、砲台の弾を発射していないグラフィック1と発射しているグラフィック2を交互に表示させるのを表現したのだろう。
それは分かる。
けれど、あなたは言葉を失っていた。
「どうしたの?」
聞かれたあなたは、女子のスカートを申しわけなさそうに指差した。
女子は、まさか……という顔をして、スカートを恐る恐るめくった。先ほどと違って、かなり上まで晒すことはない。太ももの辺りまでめくればじゅうぶんだ。
「あっ……」
彼女は真っ赤になった。
そう。この女子は、普段穿いている体操着のハーフパンツを穿いていなかったのである。
「ごっ、ごめんっ! 変なの見せちゃって! あと、今見たの忘れて! ほんと見なかったことにして下さい! お願いっ!」
女子に必死で懇願された。
幸いにも、周囲には他に誰もいなかった。あなただけが、女子の白い下着を間近で見てしまったことになる。
下着は変なものではなかったが、白一色で飾り気がなく、お腹まですっぽりと包むような深ばきショーツだった。
かわいらしさの劣る下着を、彼女の恥ずかしがる様子が補った。結果的にはかわいい光景として、あなたの記憶に刻まれる……。
その翌日の放課後。
あなたは女子に渡り廊下まで連れて来られた。
「昔のシューティングゲームって、地上の砲台がこんなふうに弾を発射するよね」
女子は昨日と同じことを言い、昨日と同じ動作をした。違いはと言えば、緑色のハーフパンツを着用している点だった。
彼女は昨日との違いを強調するためか、より多く、より大胆にスカートを上下させるのを繰り返した。これはこれで恥ずかしい。
「昨日のは、もう忘れたでしょう? セーブデータみたいに、昨日の記憶を今ので上書きしてほしいんだけど……っ」
ハーフパンツを重ね履きしていても、彼女は恥ずかしそうな顔をしている。
そんな彼女に、あなたは真剣な眼差しを向けた。
「――君は、弾を発射する地上の砲台じゃない。恋愛ゲームで攻略対象になる、いや、攻略したいヒロインだ。だから、僕の彼女になってほしい」
あなたが伝えると、この女子はもっと恥ずかしそうになった。絵になる見た目だった。
彼女はこちらを気にしながらも、しばらく無言でいたが、やがて、小さく口を動かす。
「はい……謹んでお受けいたします。……私なんかを選んでくれて、ありがとう。すごく嬉しい……っ」
恋が実った。
あなたは無事、現実のヒロインを攻略した。
(グッドエンド!)
このヒロイン、実はハーパン穿き忘れてた……という、たいしたことのない短編でした。最後まで読んで下さり、ありがとうございます。
ハーパン作品は他にもあります。それらもよろしくお願いします。