3話 そのゴブリンは
書く時間の確保って案外難しいんだなって思いました。
言い訳です。
いきなりですが、ゴブリン視点での話です。
そのゴブリンはただ一匹、空を眺めていた。
その空は雨が降る前なのか、雲が薄く濁っていた。
ゴブリンは瓦礫の山の様な場所に座っていた。
周りには他にゴブリンは居なく、それどころか生物
種と言えるものが一切存在しなかった。
理由は様々だが一番の原因と呼べる事態は“自滅”である。
その種はこのたった一匹のゴブリンを殺すことに総力を挙げていた。
その理由は、自分たちより優れた生物の存在を許すことが出来なかった傲慢な
考えであった。
このゴブリンにその種を超える知能はない。
このゴブリンにその種を超える技術はない。
この種がこのゴブリンより優れていた点を挙げればそれは切りが無いであろう
だが、唯一一点この種が・・・・この世界全ての種がこのゴブリンに及ばなかったもの
それは至極単純で明快なもの。
強さであった。
このゴブリンの強さは常軌を逸していた。
知性が無いわけではない。
故にただ暴れることもなく、自分に挑む者のみを振り払っていた。
何度も自分に挑むものが現れそのことごとくを振り払っていた。
そしてその事実は、水面に落とした雫が波紋を広げるが如くその世界へと聞き手の都合のいい解釈で広まっていった。
猛者を名乗るものが現れた時もあった。
自分を倒し更なる強さを手に入れると言い挑んできた・・・他のものと変わらなかった。
勇者を名乗るものが現れる時もあった。
曰く、自分が世界を破壊する魔王なのだと言い挑んできた・・・他のものと変わらなかった。
賢者を名乗るものが現れた時もあった。
自分の力を知りそれを理解するのだと言い挑んできた・・・他のものと変わらなかった。
他にも多くのものが自分に挑みそして散っていった。
種全てで自分に挑もうとした奴らもいたが、禁忌に手を出してしまったらしく、挑む前に勝手に滅んでいった。
この出来事はこの世界で自分のせいだということになっているらしい。
故にここには何も来ない、自分がどこかに移動すればその周りから種が離れていく、なのでもう自分は動かない。
そう思いこの場所から空を見上げて過ごす。
一体いつからそうしていたのかも、もうどうでも良くあまり思い出せない。
自分は知っている。
自分は孤独という状態なのであろう、ただ向かって来るものを払っただけであったはずだ・・・なぜ、自分は今こうしているのか。
何回目かもわからないこの自問をしているその時だった。
自分のすぐ横の空間に亀裂が入った。
何が起こったのか、何なのかもわからず思考を回そうとした瞬間、その亀裂から黒く悍ましいという表現しか出来そうもない大きな手が伸び、自分の握りしめた。
あまりにも早かった一連の流れと虚を突かれたことで、反応に一瞬…それでもこの世界の種からすれば認知できもしない隙をゴブリンは晒してしまったことに自覚した。
そして、この手のものからすればその隙も狙ったもので、反応出来るものだった。
ゴブリンはその手に捕まり、空間にできたその亀裂へと引きずり込まれた。
この日この世界から最強の一匹が姿を消した。
それをこの世界の誰かが知るのはまだ少し先の事である。
そこは純白でまるで楽園というものがあるのなら、ここのことを言うのであろうと思えるほどに、穏やかで神秘的な場所であった。
しかし、ゴブリンの目の前には黒く腕と同じ悍ましさを放つ巨大な人型をした“何か”が居た。
その世界とあまりにも不釣り合いなそれは、ゴブリンを目も鼻も口もない、生物である主張をあまりにも控えめにした顔の前に近づける。
何かは、あたかもゴブリンをまじまじと見つめるように、じっと動きを止めた。
ゴブリンはこれが何か、自分がどういう状況にあるのかと考えながらも、その何かの次の行動を待つように、じっとこちらも動かずに待った。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
いったい何人に読んでいただいているのか最近ドキドキしたりしています。
いい大人がソワソワしてるのってなんかアレですね、自分を想像してなんか何とも言えない気持ちです。
ゴブリン視点は次で終わります。
サクッと締める予定なので次の話は短いかもしれません・・・
全体のバランス考えろよって話ですよね、はい。
誤字がなくなればいいなぁ~




