23話 バリー
いやほんと・・・すんません
ガチーン・・・
バリーは自分の拳と拳をぶつけ、目の前の光景に眉をひそめていた。
「ガレス・・・なんだその姿は」
「いいでしょ?この姿」
そこには黒い装甲の様なもで体を覆われ
両手に槍を持ち、薄い4枚の羽を羽ばたかせ宙を滑るように移動し
下半身は膨れ上がり、その先には両手に持つ槍とは違う形の槍が生えていた
その姿は【蜂】を連想さえる。
「・・・お前のジョブは槍操士とコンダクターだったはずだが?」
「これですか?魔人化って言うんですよ、使用者の精神が幼かったり、不安定だったりするとベースになった魔物に飲まれてしまいますがね」
「そうじゃね!なんでジョブに関係ない行動が出来る!」
「クククッ・・・ジョブなんですよ、これもね!」
4枚の羽を羽ばたかせ素早い動きでバリーに接近し、手に持った槍を突き出す
「くっ!なんで3つジョブがあるんだ!」
何とか攻撃を避けるバリーを不敵に笑うガレス
「言うわけないでしょ!馬関ですかね~!」
右、左と交互に槍を突き出す
「貴方のジョブは【蓄者】力を溜めれば溜めるほど次に出す攻撃の威力が上がるもの、溜める隙などあたえませんよ!」
「クソ!」
2本の槍を捌くので精一杯なバリー、しかし第三の槍が腹部を貫いた
「グフッ・・・」
貫かれた勢いで後方の瓦礫へと叩きつけられたバリー
「・・・惨めですね~あんなに強かった貴方とここまで力の差が付くなんて・・・昔の自分にもっと早くこの力を得るべきだったと伝えたかったですね~」
呆れたようにガレスはつぶやく
瓦礫にもたれたバリーはガレスを睨みつけるように言った
「へっ!自分の力を過信し依頼で多くの人を傷つけ続けて来たから、お前は追放になったんだよ・・・力なんか関係なかったのさ!がぁ!!」
バリーの肩を槍が貫いた
「依頼のためであれば多少の犠牲は付き物でしょ?なのにあいつ等ときたら・・・難しい依頼であればそれが多いのも必然です」
「なら!お前にぶつかった子どもを殺したのはどう説明する!」
「自分は冒険者ですよ?気分が乗らなければ依頼は達成でいません、なのにあの子供は自分のやる気を削いできたんですよ~?・・・なら殺してもいいでしょ?」
「このクズ野郎がぁ!!!!」
もう片方の拳で殴りかかろうとし、その肩を槍で貫かれる。
「残念ですよバリーさん・・・自分は貴方の強さは認めていたのに・・・もうその力も無い」
「く、そが・・・」
「貴方がこの程度だ、ギルドマスターも大したことは無いでしょう、なんだかつまらないですね~」
少しがっかりした様子のガレスに
「ふっ・・・おめでたいな、お前は」
バリーは笑った
「・・・・なにが可笑しいんです?」
「たかがそんな力を得たぐらいで、あの人に勝てるだぁ?んなわけねぇよ、返り討ちが関の山さ・・・」
「それによ・・・・」
バリーは力なく不敵に笑う
「俺に勝てないようじゃ、あの人に挑むなんかただの自殺だぜ?」
「そうですか・・・・なら――――」
ガレスの蜂の針の様な槍がバリーの頭を貫いた
「あっ・・・」
槍を抜くと力なく崩れ落ちるバリー
それを虫でも見るかのように見下ろすガレス
「ならこれでいいですよね?最後は無様でしたよ・・・・バリーさん」
力なく横たわるバリーをその場に残しギルド方面へ向おうとするガレスに
「お?人形遊びは終わったのか?ガレス」
不敵な声がその場に響いた
この声一体誰でしょうね~(すっとぼけ)




