15話 あれから結構経ちまして・・・
こんなバカみたいなタイトルですが、新章スタートってやつです
オージャーが王都にやってきて1年が経とうとしていた。
今日も1人と1匹はゴツイ受付へ依頼の報告をするのであった・・・
「はい♪スライムの核5つ確認できました、依頼達成おめでとう♪」
ニコッと笑いかけてくれるゴライアスさん
これが今の俺の日常である。
人とは環境に馴染んでしまうと、その中での異常性が見えてこなくなるものらしい
現に俺はもうゴライアスさんが全く気になあらない、この人は駆け出しだった俺を支えてくれたいい人だ。
「ありがとうございます、また何か依頼見繕ってくださいね」
「もう!元気があるのは良いけど、ちょっとは休むことも考えてね!オージャー君働きすぎよ!私、心配しちゃうんだから・・・良かったら休日に私と食事にでも行って休みましょ♪」
嘘です、ごめんなさい、まだ時々この人が怖いです。
俺が返答できずブルっていると横でこちらを見ていたゴブがゴライアスさんと俺の間に割り込んだ。
「ごぶ!」
何を伝えたいのかわからんが、ゴライアスさんへと声をはった。
「あら?ご主人様を取られると思っちゃった?健気~♪大丈夫♪ゴブちゃんとオージャー君の中は引き裂かないわよ♪」
ニコッと笑いかけるゴライアスさんにゴブも満足したのか
「ゴブ」
っと返事をした。
俺モテモテだね~・・・女性以外にだけど・・・
俺がそんなこと思い立ち尽くしていると
「おぉ!この子か~ゴライアスお気に入りの冒険者いうんわ」
癖の強い喋り方でカウンターの奥から出てきた長身の男
髪は短く整えられており、体もかなりがっしりしている。
やや着崩した服がだらしなさを感じさせるが、それより気になったのは腰に差した一振りの細長い剣(?)の様な物だった。
「ちょ、ちょっと!マスター!本人を前に言わないでよ!・・・恥ずかしいじゃない///」
やめろやめろ、赤くなるな・・・
そんな事よりマスター?
俺が不思議そうにしていると、それに気が付いたのかその男がこちらに話し始めた。
「はじめまして、俺はここのギルドマスターしてるカムイいいます、自分アレやろ?登録してすぐ大金持ったっていう!ええなぁ~うらやましいわ~!」
ギルドマスター!初めて会った!ってか何この話し方・・・あと、いきなりお金って・・・
「は、はじめまして!オージャーって言います」
いろいろ思うことはあるが、俺はとりあえず挨拶をした。
「元気やね~、んで・・・こっちが例のテイムされたゴブリンか~・・・ふ~ん・・・」
ゴブをじっと見つめるカムイにオージャーもゴブも固まる
「なるほど・・・凄いな、これは・・・」
口元は笑っているが目は全く笑っていない・・・これにはゴブも少し委縮しているようだ
「ん!ごめんな~じろじろと」
顔を上げたギルマスに俺とゴブも少しホッとする。
「ちょっとマスタ~?あんまりこの子にちょっかい掛けないでよね~!」
「わかったわかった、何もせんわ」
呆れたように、立ち去ろうとするギルマスに俺は気になっていたことをつい聞いてしまった
「あ、あのギルドマスター!その腰の剣は・・・」
「なんや?これか?ってかギルドマスターって堅いな~カムイさんでええよ!」
ニコッとわらうカムイさんは腰の剣を鞘から抜いてくれた
細身でやや湾曲している、刃が片方にしか付いていないが見ただけで鋭さがわかる
「かっこええやろ~?これ俺の生まれ故郷の武器でな“刀”いうねん、切れ味も凄いで!また機会あったら見せたるわ~」
カウンターの奥へと消えていったカムイさんを見送った俺に、ゴライアスさんは「そうだ!」といい話し始めた。
「オージャー君!もうそろそろ王都で建国祭があるの!オージャー君が王都に来たのって去年の建国祭の後直ぐだったでしょ?楽しいわよ~♪5日間国中でお祭り騒ぎなの!初日は国王が国中を巡られ、挨拶をされるわ♪」
国王!そういえば俺、国王様知らない!
「国王様ってどんな方ですか?」
「国王様わね~豪傑で知性もあられる素晴らしい方よ!」
「おぉ~!」
凄い人なんだろう・・・そりゃ一国の王だ当たり前か、建国際・・・楽しみだな~
俺のにやけ顔を見てゴブもまた、嬉しそうに笑うのであった。
皆が楽しみに準備を進める建国祭・・・しかしそんな日に別の思いを持った者たちも準備を着実に、祭に浮かれ幸せな雰囲気の中を悪しき影は、まるでその準備を手伝うかのように、自然に、優雅に、罪悪感も無く、己が欲望のために破滅の準備を進めていた。
結構駆け足になってると自分でも思います・・・
お読みいただきありがとうございます。