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夜10時を超えて外出すると高校生は警察に補導されます

深夜12時


銀髪を靡かせ満月を背にした美女が1人


「やはり日本に来たのは間違いないようね」


ロシア語でそう彼女は呟いた。

何の変哲もないアスファルトで舗装された道路、居るのは野良猫くらいのものだった

だが彼女には見えていた

血が腐敗したようなドス黒いモノが


「おや?」


その先に居た黒い幾千モノの骨をその身に象った存在が彼女に反応した


「探したわよ外道魔導士!」


「誰かと思えばこの身体の触媒の一つになったルーン魔術師の娘さんではありませんか」


「父の仇、今ここで果たさせてもらうわ」


「フハハハハハ、はっはっはっは……いやぁあなたも仮とはいえルーン魔術師、死した魂はエインヘリヤルとなりヴァルハラかフォールクヴァングで死後を過ごすという神話を信じないとは滑稽なものですな」


「うるさい!【野牛】」


怒りのままに彼女は空中にルーンを刻んだ


「おやおやこれは受けてあげた方が良さそうですね」


「【挑戦】【戦槍】」


三つのルーンが実を結び一つの槍へと姿を変える


「なるほど名にゆかりのあるルーンですか。しかも性別が女ということはふむふむ」


骸骨は冷静に彼女のルーンを分析していた。


彼女自身自分の攻撃が見破られていること自体理解していた。


最初と2番目の【野牛】と【挑戦】と同じ意味を持ち二つを掛け合わせることで挑戦への挑戦、即ち蛮勇を意味する。彼女は自滅特攻を仕掛けているわけではなかった。北欧神話において死とは蛮勇には入らない。なぜなら死後彼らは英雄に成れると信じられていたからだ。


ならば北欧神話における蛮勇とはなにか


「なるほど「ヴァレリア」の語源、ヴァルキュリアそして【蛮勇】のルーン、正しくブリュンヒルデの悲劇」


答えはそれは「届かぬ愛」に他ならない


「「親愛」の悲劇と「恋愛」の悲劇、私に向けたのは親への愛に答えられなかったことへの「親愛」の悲劇、発動条件としては申し分ない魔術だ」


輝きに包まれた槍が骸骨に迫る。


「だが」


「なんで……」


骸骨はそれを虫でも払うかの如く振り払った。


「その魔術は今は製法が失われた金属、ミスリルがあって初めて成立する魔術だと習わなかったかな?」


彼女は目の前の骸骨を倒すためだけにこの魔術を編み出した。だがそれをモノともしない骸骨に戦意を喪失した。


絶望の表情を浮かべ足を生まれたての小鹿のように震わせながら座り込んだ


「いいねいいね実にいいね」


顔に手を当て声高らかに笑いだす骸骨


「希望に満ちた若者が絶望に染まる色は何度も見ても飽きることが無い。なあヴァレリウスの娘よ」


骸骨は禍々しい光をその右手に宿し振り下ろさんと腕を掲げた。


「さあその絶望に染まったまま更なる絶望を味わうと良い「プルートン・クロノス」」


禍々しい光が彼女を迫り狂い彼女は死への恐怖から目を瞑った










___________________だが、それは永遠に訪れなかった









「ば,バカな!!!!!!!」


何故なら


「神の力を持った魔術を壊しただと……増してや魔法の領域に行きつつあるこの私の魔術で作られたこの体ごと斬り裂くなど神の力以外に……」


彼の身体ごと消し去っていたからだ。


「しかも、これは殺すための魔術か⁉死の神たちの力を以てしても我が魂が現世を離れたがっているだと……こんな魔術を使える者だ並大抵の術者ではあるまい」


骸骨は自分の構成する物質が跡形も無く消滅していることにただただ驚いていた。


「ふむ、まあいいとりあえずそこの小娘の魂ごと肉体を乗っ取ってしまえばまだ生きられる」


一歩崩れた身体を前にしたとき彼は一枚の硬貨を踏みつけた。そして彼は永遠に現世とさよならをした。


「え……」


彼女は目を開けた時涙と共に骸骨のいた場所に金色に輝く一枚の10円玉があった。


「わたし、助かったの?」


彼女は知らない


こんな真夜中にコンビニにエナジードリンクを買いに来て警察に補導されたクラスメイトの存在を

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