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なんでラノベの転校生って大抵美人なんだろう

夏休みの1週間前に差し掛かった文系高校で青春という言葉が誰よりも似つかわしくない高校2年生がいた。


「ふふふ、やっぱラノベは楽しいな」


ブックカバー?

何それ美味しいの?

という感じで包み隠さずラノベを読むオタクが教室1人いた。


「うわあまたオタクが気持ち悪い顔して独り言言ってるよ」

「あんなのにはなりたくないわ」

「うんうん、友達1人も作らずにあんなことしてるんだし可哀想に見えてくるしね」


ボロクソ言うクラスメイトの女子達

しかしそれに異を返さず。ページをどんどんめくっていくオタク


______ガラガラガラ


不意に教室の扉が開き赤ジャージ姿にポニーテールに髪をまとめた女教師がやってきた。キリリとした目つきでかっこいい美人という言葉が似合う先生だ……ちなみに巨乳だ


「おーいお前ら席に就け、今日は重要なお知らせがある。

夏休み1週間前で時期としてはおかしいが留学生が来るぞ」


「「「宇佐美先生!それは女の子ですか!!」」」


「おうおう、男子諸君そんな叫ぶ元気があるなら今日は授業中寝ることは無く宿題もちゃんと持ってこれているんだろうな。

他の教師から私に苦情が来ているんだが?あとオタク、本をしまえ」


オタクと呼ばれた先ほどまでラノベを読んでいた男子は仕方なくラノベを閉じカバンにしまい

男子たちはサッと視線を逸らした

ちなみに女子たちはゴミを見るような目で男子たちを見ていた


「ちなみに留学生は女子だぞ。入ってきなさい」


開きっぱなしの教室から入ってきたのは

まるで白磁器のような白い肌

一つ一つがダイヤモンドのような煌めきを持つスーパープラチナブロンドの髪

オーシャンブルーのように深みがありながらも透き通っている青い瞳

10頭身の美しいモデル体型

その体に成る果実は大きすぎない甘みの詰まったメロンを思わせる

そんな美しい人が現れたのだ

クラスも騒がしくなるかに思えたが……


彼女の持つ

北欧の戦乙女を思わすような優しくも強い雰囲気を思わせるその姿はクラスの空気を一瞬にして支配していた


「とりあえず自己紹介をしてくれ」


「ハジメマシテワタシハ、ヴァレリア ヴァレリウス アバーエヴァ デス。ロシアカラキマシタ。ヴァレリアトヨンデクダサイ!」


カタコトの日本語で彼女は自己紹介をした


「一通りの日本語は離せるがわからないことが多いからみんな仲良くするように」


「ウサミセンセイアリガトウゴザイマス。ホカニモエイゴトフランスゴハナセルノデキガルニコエヲカケテクダサイ」


「とりあえず、一番端の開いてる席に座ってくれ」


「ち、あのオタクのところかよ」

「まあ良いじゃねえか。あいつは2次元しか器用見ないんだし他の男子よりライバルが増えなくて済む」

「確かにそういう考えもできるな」


男子たちは好都合だと言っているがそれが女子たちへの印象を悪くしているのに気づいていない


(「コンコルドの誤り」みたいだな)


___「コンコルドの誤り」___

長谷川眞理子の随筆で現代文の教科書にも載っている比較的有名な論文


人間の恋愛についての非合理的さが書かれており、パートナー(彼女)を見つけるにあたって恋した女性を追い求めるより自分とパートナーになってくれる人間を探すことが合理的だと説いている


「ヨロシクオネガイシマス」

「よろしく」

「アノオナマエキイテモイイデスカ?」

「武田 信二」

「シンジサンデスネ、ゴメイワクオカケシマスガオネガイシマス」


それからというもの授業は順調に進んだ。

夏休みの1週間前というのもあってか基本は夏休みにやる課題の説明が大半を占めていた。

そのためかヴァレリアからの説明を求められるような事も殆ど無く無事に授業を終えたという感じだった。


「ねえヴァレリアさん、一緒に遊びに行こうよ」


放課後になり各々帰り支度を始めたころクラスの女子達がグループを作りヴァレリアさんを誘っていた。


「スミマセン、マダヒッコシタバカリデニホドキガオワッテナイノデス。オサソイハマタゴジツトイウコトデ」


「そっか、それじゃあ仕方がないよね。じゃあまた明日」


「エエ」


女子達はスッと去っていった。


「タケダサンモサヨナラデス」


「……さよなら」


オタクは放課後までずっとラノベを読んでいた。


転校生から感じる鬼気迫る殺意を受け流しながら

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