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バラの花園で  作者: 茉莉
はじまり
4/4

マーガレット

ハリスの城までは、風の精霊の力を借りれば、二日ほどでたどり着く。今は絨毯の上で風の精霊の力を借りながら、くもの近くをのんびりと過ごしている。そのため、モンスターにも合わずに過ごせる。

「ナナ、天候が崩れそうだ。今日は、この辺りで休もう」

サードの言葉にうなずくと、私たちはゆっくりと地上に降り立つ。


ハリスの城に続く山の手前にある小さな村で、一晩過ごすことにした。

村には、一軒だけあった宿屋に泊まることにする。宿の部屋に入ると、雨が振りだした。

「サードの天気を読むのは、昔からすごいね」

振りだした雨粒を見ながら、私が呟くと、サードは、少しいたずらっこのような表情をして、

「誰かさんが、雨に打たれると風邪を引くからね。その看病をしないですむようにさ」と言う。


「‥たしかに、そう‥かも‥」


水の精霊の祝福を受けているので、水のなかでも息ができるとか水魔法も使えたりするのだが、雨に打たれると必ず風邪を引いてしまい、その看病をサードが寝ずにしてくれることとなってしまうので、サードは雨に関しての天気を読む力はすごいのである。


「‥っ。」

私とサードは、扉に警戒する。

何かの気配がするが、こちらへの敵意を感じない。

サードが、剣を片手に、勢いよく扉を開けると、扉に耳を近づけていたものが、ころんと倒れこんだ。

「お前か‥」

サードが、ため息をつきながら、剣をおさめる。

「久しぶりね、マーガレット。」

私は倒れたまま、うずくまっている白い猫耳の少女に声をかける。

「やっぱり、ナナだ!」

私の声を聞き、勢いよく抱きついてくる。

彼女は、獣人のマーガレット。7歳くらいで、シャルルを城へ送る途中で出会った。


出会った時の彼女は、すべてのものを忌み嫌い、触れたものを切り刻む残酷さも持ち合わせていたが、心は孤独に蝕まれ、体からも血が溢れ、息も絶え絶えだった。

あの日も、雨が降りそうで、宿へと急いでいた。ふと、森の木の影から気配を感じ、覗き込むとマーガレットが、血を流して倒れていた。息も絶え絶えで、呼吸も浅かった。私は、聖なる力を使おうと彼女に手を伸ばした。彼女は、私の手のひらに、爪でひっかいた。

「貴様!」

サードが、凄まじい殺気を放ち、マーガレットを斬ろうと剣を構えた。

「兄さん、私は大丈夫だよ」

私がサードを、笑顔で見つめると、サードは、剣をおさめてくれた。

私は彼女をみながら、「ビックリさせてごめんなさい。私はナナ。その傷を治させてもらってもいい?」と聞くと、彼女は、私の瞳を見つめ、はぁっと、深い息をはいた。そして、彼女は、決心したようにうなずいた。


私は、彼女に聖なる力をむける。


「治れ」


私が呟くと、彼女の体が白い光に包まれ‥白い光が消えるとそこには、完全に体の傷がなおった彼女がいた。

体の傷が治ったことを、確認すると、私の体に寒気がおそう。いつの間にか雨はどしゃ降りになっており、そこで、私の意識はなくなった。


眩しい朝日で目が覚めると、柔らかいベットに寝かされていた。隣に目を向けると、シャルルが、ベットの脇で眠っていた。

「ここは‥」

部屋を見回すと、部屋の隅で彼女が、こちらを見ていた。

「体の調子はどう?」

「‥」





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