シャルル
森を後にした私たちは、北の果てにあるハリス都市にあるハリスのの城を目指すことにした。
ハリスの城は、雪深く、氷に囲まれた難攻不落の城である。すぐれた氷魔法を使う戦士が数多く存在していたが、長い他国からの進撃により、疲弊していた。ハリスの城には、美しい氷の姫がいる。名前は、シャルル。美しいシルバーの髪に、細くしなやかな曲線美、その美しさゆえに、たくさんの他国の王族、貴族が、彼女を手にいれようと画策していた。シャルルは、15歳になり、女王になる道を選ぼうとしていた。
シャルルと私の出会いは、二年前に拐われたシャルルを助けたのがはじまりだった。たまたま通りかかった辺鄙な町で、シャルルは閉じ込められていた。私とサードは、シャルルを助け、ハリスの城まで送り届けたのだ。シャルルと私はどこか惹かれ合うものがあり、すぐに打ち解けた。ハリスの城までの長い道のりの中で、私たちは友情を育んでいた。
ある満月の夜、森のなかでオオカミの群れに襲われてしまった。サードも私も戦ったが、私の後ろからオオカミが飛びかかってきたことに、反応が遅れてしまい、私を守るためにとびだしてきたシャルルが、瀕死のケガをおってしまった。私は、泣きながら、聖女の力を使い、なんとかシャルルを引き戻すことに成功したのだ。しかし、その結果、シャルルの左の手首に、小さなバラのアザが浮かびあがった。
そのアザをみて、シャルルがつぶやいた。
「聖女様‥?ナナが聖女様なの?」
私は怖くて、うつむきながら、小さくうなずく。アザが出てしまった以上、隠すことはできないし、友人に嘘はつきたくなかった。
その一方で、シャルルとの関係が変わってしまうかもしれないことに、大きな不安を抱いてしまったのだ。
「ありがとう」
シャルルを見上げると、いつもの優しい笑顔で、シャルルが私を見つめていた。
「ナナ。私は貴女に約束するわ。私は、貴女のために、忠誠を捧げます。貴女が聖女様であり、私の一番のお友だちだから」
シャルルは、私をしっかりと見つめて、そう誓ってくれた。
そして、シャルルは、私が、聖女だと言うことを知る唯一の友人となった。
その後、シャルルをハリスの城に送り届けて以来、ハリスの城からは、足が遠退いたが、私とシャルルとの繋がりはずっと続いている。
聖女の力をうけ、体のどこかに、バラのアザがあり、私に忠誠を誓ったものとは、念じれば、テレパシーのように会話することができた。そのため、私とシャルルは、よくお話をしていた。そして、今回の戴冠式が開催されるときき、戴冠式への招待をうけたため、その姿を一目見るためにハリスの城へ向かうことを決めたのだ。