5歳のわたくし(マシェリー)
わたくしが頭を打ってから1年が過ぎました。
5歳になって、プニプニのほっぺが多少スッキリなるぐらいの成長をしましたのよ。公爵家にも変化がありましたの、御屋敷が全体的に明るくなりましたわ。わたくしは、お父様とお母様への笑顔での挨拶、自然と流れる親しみのあるあたたかな、日々を過ごしています。
公爵家の管理と、お父様の給仕を担う年齢不詳の執事アーネスト。規則正しいメイド頭のエーベル等、メイドさん達も皆様プロフェショナルな方々揃いですの、わたくしも自然と感謝を言葉でも、態度でも表して過ごす様になりました。
お父様も出来るだけ、わたくし達と過ごす時間を作る様にしてくれております。お母様も以前は笑顔に仮面の様な冷たさが垣間見えておりましたが。最近では、暖かな笑顔に変化していっている様に、思います。
以前は、わたくしも精神が幼く、余り周りの事を気にする性格でも無かったので、把握できていない事ばかりです。これからの成長に、期待大ですわね。
でも、先週辺りから何かしらお母様のご様子が、おかしいのです。塞ぎ込んでいる事が多くて、無理してお話ししているみたいなのです。
とても心配です…………
お父様に、相談してみようと思っております。ホウレンソウ大事ですわ!
あっ丁度部屋の窓から、外を眺めていたわたくしに、お父様の馬車が入って来るのが見えましたわ、お出迎え致しましょう。急いで、階下に降りていると、お父様が皆様に出迎えられ、玄関を通り過ぎている所でした。
わたくしは近づいて。
「おとうさま、おかえりなさいませ、すこしおじかんありますでしょうか?」
お父様は、笑顔でわたくしをフワリと抱き上げて、ホッペにキスをしてくれましたの。
「ただいまマシェリー、今日の我が子も最高に天使だねっ。天使の頼みなら何時間でも大丈夫だよ。丁度王都で評判のお菓子をお土産で持って帰ったんだ、一緒に食べようか!ステファニーも、庭で薔薇を鑑賞していた様だから、呼んでもらおうねっ!」
「おとうさま、おかあさまをよぶのはもうすこしおまちください。わたくし、おかあさまのことが、しんぱいなのです、なんだかきになりますの」
心配を訴えるわたくしに、お父様は優しい笑顔で。
「マシェリー私の書斎に行こうか」
そのまま抱っこされて、お父様の書斎に連れて行かれ、椅子にお父様が座るとわたくしも自然とお膝に座る事になりまして…わたくしとても恥ずかしいですわ…
お父様は、目線を合わせ真剣な表情をして、わたくしにゆっくり話してくれました。
「君のお母様には、ダニエラという3歳下の妹が居るんだよ。私とステファニーは、幼馴染で次期公爵の私と、辺境伯令嬢であったステファニーとは、自然と思い合い婚約者となったのだが。ダニエラも私の事を思ってくれていた様でね。 それ以来ステファニーに、何かと辛く当たってくるんだよ。私も話し合ってハッキリ無理だと宣言もしたんだけど、解ってくれなくてね………
辺境伯様達、マシェリーのお祖父様お祖母様も、ダニエラの性格上和解は無理だという事で、できるだけ距離を置く事にしたんだよ。
ダニエラも、4年前キンダム伯爵家に嫁入りして、3歳になるニコラスという男の子もいるんだよ。
私達は、お互いの結婚式以来会ってはいないんだ。
だが今だに、贈り物や手紙等を使って、ステファニーに何かと嫌がらせをしてくるんだよ。私も色々手を使って止めてはいるのだけど、ステファニーは精神的にも追い詰められていてね………後キンダム伯爵家にも気になる事があるんだが……」
なんだか?お父様は考えている様で、ブツブツ言いながら、わたくしの髪の毛をまぜまぜしていました。
せっかくメイドのメアリーが、可愛くツインテールしてくれたのに。少し悲しくなってしまいました。
「マシェリーも、ステファニーの事気になるとは思うが、君達は私が命に代えても守るからね、笑顔でいてくれると嬉しいよ」
「はい、おとうさま、おかあさまのこと、おしえてくださりありがとうございました。おかあさまをよんで、おかしをいただきたいです!」
「そうだね、そうしようか!」
お父様が目線を動かすと、メイドさん達が音も立てず、お茶の準備をしてくれました。お母様も直ぐに来てくれて、一緒に、楽しいお茶の時間を過ごせましたわ。
後、メアリーが、可愛くツインテールのセットを、し直してくれましたわ!