プロローグ(マシェリー)
[このお話は一人称にて進みます]
「やっとここまで来られましたわ。此処が隣国アルファディアなのですね。さあ、わたくしの第二の人生始めますわよ!」
夜風でわたくしのブルーグレーの柔らかな長髪が靡きます。
山の上空をふわふわ身体を魔法で浮かし、頂上から山麓迄降りて参りましたの。
本来なら山の中に、沢山の野獣が生息しておりますの。昼間でも、それ相応の武装しております警護に護られていませんと、人は滅多に入れない場所なのです。
わたくしは、ふわふわ魔法で浮きながら、真下に見える木々と先にある街を眺めました。
「そろそろ街に近づき過ぎてしまいますわね。深夜といえども浮いている事が見つかれば、魔法が衰退したこの時代では、大変な事になるでしょう。仕方ないですが、此処からは歩きで参りましょう」
わたくしは目を閉じて、身体に纏わせていた魔法を心の中にしまい込みましたの。
ご挨拶遅れました。わたくしセイバー王国公爵令嬢マシェリー・ハインツですわ。
4歳になってすぐの、ある晴れた日のことでした。我が家の庭でのお茶会に参加していた時、頭上の鳥に大きな木の実を落とされ気を失いましたの。
1週間後
目覚めた時には、前世の記憶がありまして地球という場所に住んで生活していました事を、朧げに思い出していましたのよ……