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第7話 8周目。愚者のスキルを極めるとチートになる

すまん、色々脱がしてしまったm(__)m

〇8周目〇


-主人公ケンタロー視点-


「ふう」

『どうしたんや、ため息なんかついて?』

「ヘルプ君か。うん、ちょっとね」

『ほほう、これは恋の悩みか?』

「う、うっ、そ、そうだよ。悪いか?」

『いや、健全な男子なら当たり前や。何回も死んでいるお前さんが健全かどうかはわからんけどな』


風呂場をのぞいたり、女神の水着をはぎ取ったりしているのだから、そういった意味でも俺は健全じゃないよな。


でも、悪いのはあの女神だ。


だから、俺は女神に思い知らせてやるんだ!


『それで、どっちなんだ?大きいほうか?小さいほうか?』

「そ、そんなのどっちでもいいじゃないか」

『つまらんなー。どうせ誰にも言わんのに。まあ、ええわ。それより、これからのことや』


ヘルプ君からこれからの事を話してくれるとか、もうヘルプ機能通り越してないか?


『ええか?確かに愚者のスキルはろくなもんがない。でもな、チート能力者用のスキルリストの一つであるからには、バランスをとっている部分があるんや』

「バランス?」

『スキルレベルをマックスまで上げると、とんでもないチート能力になるのがあるんやで』

「本当?!」

『でもな、そのためにはもう2回くらいはチート能力をもらわないで経験値に変えんと…そういえば、さっきもチート能力もらってなかったよな』


そういえばそうだったな。

きっと水着を脱がされて慌てたせいだろう。

するとあと1回で愚者のスキルの1つを極められるのか。


『あと、こんなスキルもあるぞ。どや、お前向きやろ?』

「…本当だ!」

『これもや。今すぐ両方取っておいたほうがええで』

「わかった!」


俺は『飛行特典マイレージ』と『死亡遊戯布団ブルー・スリーパー』のスキルを獲得した。

効果は以下の通りだ。


飛行特典マイレージ

飛行時間が長いほど、飛行距離が遠いほどポイントが溜まる。溜まったポイントで色々なものと交換できるが、『賞味期限の切れたヒールポーション』など、ろくなものがない。特にひどいのが『ポイント分だけ空を飛ぶ』で、どれだけ飛ばす気なんや!


説明に相変わらずヘルプ君の愚痴が入ってるなあ。

でも、今の俺だとすごくポイントが溜まるだろうし、何が使えるかわからないからな。


死亡遊戯布団ブルー・スリーパー

死ぬと、とても寝心地のいい布団に包まれる。その布団は最高の眠りを誘うので大変高く売れる。遺産がない愚者のあなたにもピッタリです!って売り文句かよ!つまりだな、生き返ればその布団で空を飛んだまま寝れるってわけや。飛んでいてもめくれない布団ってすごいやろ!


うん、すごいと思う。

あと、俺にはアイテムボックスがあるらしい。

起きたら布団はそこにしまえばいいとのこと。


「あと、トイレとか何とかならない?」

『それなら、これはどうや?』


てってれてってててーてーてー


『ぽおたぶる、ぼとらああー』


「青い猫みたいに言うんじゃない!なんで効果音まで!」


官居便所瓶ポータブルボトラー

愚者らしいヒキニートのためのスキル。瓶に用を足すと勝手に処理される便利な簡易トイレのことや。スキルのくせにアイテムが出てくる特殊な奴やで。手のひらに現れた座薬より大きめの瓶を『器官』に『居させる』から『官居』なんやな。つまり、自分のお尻からアーッ!ってやるわけや。女の子が一緒じゃなくて良かったな。ちなみにお尻に入れてあるのになぜかおしっこも処理してくれるんや。不思議やな!1か月で効果が切れて消滅するから、毎月入れるんやで。


「そもそも1か月も飛んでいる気はないから!」


しかし、これがあると便利だな。

恥ずかしいけど、誰も見てないし、やるか。



-女神ジュライヌ視点-


やっと私の高貴な裸の画像や映像を全部削除して今後上がってこないようにできましたわ。

この辺りの対応はさすが神Tubeですの。


8周目はきちんと録画してアップしますわよ。


メルちゃんは…ちょ、ちょっとどこを歩いてるんですの?!


危ないわっ!

緊急発進(スクランブル)、ケンタローロボ!



私はさっそくケンタローとここの空間をつなぎますの。

さあ、メルちゃんのピンチを救うチート能力を授けないと…


「あっ」

「あっ」


いやあああああっ!


な、なんでケンタローが下半身を脱いでいるんですの?!

へ、変態ですわっ!


でも、急がないとメルちゃんが落ちてしまう!


ええいっ、こうなったらあとでモザイク処理をしておきますわ!


とにかく行けっ!ケンタローエロ!



-勇者メル視点-


「ねえ、危ないよ。帰ろうよメル」

「危なくないと、ケンタロー王子さまは来ないのよ」

「でも、こんな壊れかけの吊り橋を渡るなんて」

「そうね、壊れかけじゃなくて、壊れていないとダメね」


私は吊り橋の上でステップを踏む。


「やー!いやー!死ぬからー!やめてー!」


吊り橋につかまって叫ぶリカ。



「大丈夫よ。落ちても『結魂ソウルコネクト』で私のほうに呼ぶから」

「二人とも落ちたらどうするのよ!」

「死ぬわね」

「いやーっ!」

「大丈夫。ほら、見て」


空がキラッと光って、ケンタロー王子様が…あら?


ケンタロー王子様、ズボンが脱げてません?



-不遇な親友リカ視点-


不遇って何よ!

悪意しか感じないわね!


それより、どうしてケンタローさん、ズボンが半脱ぎなの?!

パンツ丸見えだし!


「ねえメル。本気で私をケンタローさんと一緒に飛んでいかせる気?」

「だから説明したでしょ?この前の触手キャッチはやっぱり夢がないから駄目なのよ!私の豊満な胸に飛び込んできてもらってキャッチしないと愛は芽生えないわ!でも、あの速度では私の胸でも受け止めきれないの。だから、リカがケンタロー王子様と一緒に飛んで、魔法で減速するのよ!」


その減速させる魔法と結魂コネクトソウル関係の魔法をマスターするのにすごい地獄を見せられたのに、今度はあの状態・・・・の男性と一緒に飛べとか、何の拷問なの!


「大丈夫、リカならできるわ!結魂コネクトソウルで私の使う勇者の魔法とか使えるようになったでしょ?」

結魂コネクトソウルって外せないのよね?だから、もう一生メルと一緒なんでしょ?」

「そうよ。でも大丈夫。二人ともケンタロー王子様のお嫁さんにしてもらうから」


なんでそんな考えになるのよー!


「いやなの?」

「え?いやじゃない、かな?でも、えっと、まだそこまでは」

「ふうん」


な、何?その表情?

怖い。


「吊り橋効果って、知ってるかしら?」

「吊り橋みたいな危険なところでは恋が芽生えやすいってことよね」


まさか?


「はーい、『ウィンドカッター』!」


突然の風魔法で吊り橋は真っ二つになった。


こんなの吊り橋効果じゃないいいい!


もちろん私は落ちる。


メルは笑顔で落ちる。


「いやああああああ!ケンタローさんっ!助けてーっ!」




-主人公ケンタロー視点-


ううっ、下半身を女神に見られてしまった!


『お前も女神の水着を脱がせたとき、後ろ向きとはいえ裸を見てるやろ』


まあそうだけど。


よし、パンツは上げれた。あとはズボンを…


目の前の空間が開けて、はるか前方に吊り橋が見える。

その上には女の子が二人。


おそらくリカとメルって子だな。


「どうやって助ける?『芸事張扇ツッコミハリセン』では離れた二人には届かないぞ」

「このスキル便利なんだけどな」

『『芸事張扇ツッコミハリセン』にあまり頼ると、助けてからうっかり最後の1ダメージを受けて死ぬからあかんで』

「それもそうか。じゃあどうするんだ?」

『使えそうなスキル取るしかないな。制限時間は15秒や』


時間短っ!


えーっと、えーっと、えーっと、

くそっ!ステータスパネルでスキルのタイトルリスト見ても、使えるかどうかわからん!


『急がないと、チートスキル与えられて経験値無くなるからな』


くっ!


それなら、今あるスキルをレベルアップさせれば!


『ええんとちゃうか?』


行くぞ!『釣り師』スキル!


一本釣りっ!


俺は釣り糸を伸ばしてメルって子をからめとると、そのまま安全なところに放り投げる。


『勇者やからあれで大丈夫やろ。違う問題はあるけどな』

「何?違う問題って?」

『そんなのは些細なことや。それより、ほれ、急がないとそっちが間に合わへんで』


俺は急いでリカを釣り糸でからめとると、安全なところに放り投げ…あれ?


放り投げたのに、なぜかこっちに飛んでくる?!



-勇者メル視点-


うまくいったわね。


視界内なら結魂コネクトソウルしているリカの魔法をこっちがコントロールできるのよ。


風魔法をちょいちょいっと使って、空中で方向を変えるくらい楽勝なの。


よし、ケンタロー王子様にとりついたわね。


…見間違いかしら?

またリカが裸に見えたんだけど。


ん?

何だか寒いわ。


…え?ええっ?!


私も裸になってる?!


ケンタロー王子様に助けてもらうときに脱げたってこと?!


もう、ケンタロー王子様ったらそんなに慌てなくても、出会ってからどれだけでも見せてあげるのにい。



-主人公ケンタロー視点-


どうにか助けられたな。

それにしても…またか。

リカが全裸で俺の背にしがみついている。


『今の釣り師のスキルレベルでは、服だけか中身だけしか釣れんからな』

「説明しろ!」

『時間なかったからしゃーないやろ!』

「ねえ、とりあえず、このズボンを私が上げようか?」


悟ったような声でリカが言う。


「いや、俺が何とかする」

「こうなったら1も10も変わらないわよ!また全裸だし!」


ぐいぐいっとズボンを上げてくれるリカ。


「すまん、助かった」

「いいのよ、私も助けられたし…その、ありがと」


『とりあえず、チート能力は授からなくて経験値になったから、一つ極められるで』

「じゃあ、『釣り師』で」

『なんでや?』

「今すぐ必要だからな」



-女神ジュライヌ視点-


あああ。


もう、まだ男性の下半身を見てしまったショックが抜けきりませんわ。


でも、これ以上見ないために『自動モザイク』を設定したから、ほら、ケンタローは空飛ぶモザイク状態ですわ!


でも動画ではモザイク解禁ですのよ。

私は見ないですけど。


何をしているかよくわからないですけど、メルちゃんは助かったみたいですわね。

あら?メルちゃん全裸?!


駄目ですわ!

録画でよかったわ!

こっちもモザイク…な、なんだかかえっていやらしい感じになったわ!


うすーいぼかしで、えっと、このくらいで。


あら?もう一人いたわよね?

落ちたのかしら?


とりあえず、モザイクケンタローを回収よ。



うーん、でもこのままじゃあ、ちょっとインパクトに欠けるわね。


そうだわ!

新しい動画紹介の生放送にすればいいのよ!


ラウンドガール用に買っておいた体操服とブルマで視聴者の心を鷲掴みよっ!



-不遇な親友リカ視点-


うううう。

恥ずかしいよう。


もうこれは本気でケンタローさんのお嫁さんになるしかないのかも。



「待ってろ。今服を調達するからな」

「どうやって?」

「『釣り師』のスキルを極めたから、空間を超えて物を釣れるようになったんだ。人とか抵抗されるものは無理だけどな」

「そうなの?!じゃあ、私の部屋にある服とか取れる?」

「やってみる」


器用に空を飛んだままケンタローさんは釣り糸を空中に投げる。


釣り竿いらないのね。


空中に黒い穴が開いて、そこに釣り針の付いた釣り糸が入っていく。


「えいっ!」


ひっぱりあげられて、針についていたのを見ると、見たことがない服が2つ。


『セットものなら2つでも釣れるんやな』

「そうなのか」

「あの、これ、私のじゃないです」

「え?」

『ああ、すまん。どうやら一度釣った場所にしか空間は開けられんらしい』

「は?」

「え?」

『多分、それは例の女神のやろ』

「「ええーっ!」」



-女神ジュライヌ視点-


ななななな


なんでですのーっ!


また生放送で全裸を、いいえ、座っていたから半裸ですけど、神界じゅうにさらしてしまいましたわ!


いったいどうして服が消えるんですの?!


動画を再確認よ…えっ?空中から釣り糸?

あっ!

私の服が持っていかれた!


ど、どうしてこんなことができますの?

釣りを司る神の仕業?


でも、他の神の領域には侵入できませんのよ。


前の水着を無くした時の映像も消さずに持っておくべきでしたわ。


とにかく、削除依頼、削除依頼ですの!


お読みいただきありがとうございました。


次回は12月28日土曜日18時更新です。

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