ユスリカ
さざめく過去の頭虫
それを愛してしまった時
銃声も痣も心臓の音も
僕を飲み込んで沈むんだ
無常の意識の海を
写真に収めたとき
浮かぶ木屑に縋る
海だと信じてたんだ
砂丘にひとりぽつねんと立ち
呼吸はその日から
自殺ばかりしていた
ずっと渇いてた
あの晦渋を
哀しい東京を
不確かな辻褄を
見つけられる
あの日までは
ずっと重ねてた
あの才媛の頬
絶やせないような騒動
古臭い電波塔
これら全て
投げてくれた
絵空事描いては僕は瞬きをした
絵空事描いては僕は瞬きをした
絵空事描いては僕は瞬きをした
絵空事描いては僕は瞬きをした
絵空事描いては僕は逆立ちをした
絵空事描いては僕は逆立ちをした
絵空事描いては僕は逆立ちをした
絵空事描いては僕は逆立ちをした
あと少しで死ぬ頭虫
木漏れ日を見つけたとき
義足を壊せたら
僥倖といえるかな
ずっと躱してた
あの三日月も
肥大する数字も
見開いた目も
現実である
ことを知った
ずっと探してた
この多重露光
絵空事ばかり
描いてる
描いてる
描いてる
強欲な僕だ