6話 ラシェの街
ヴェールの手の甲から綺麗なオーロラみたいな丸いものが出てきた。マジックみたい!
「これを土においてと」
多分それが種?だろう、それを土に置くと指で文字を描き始めた。オカルトオタクの友達が言っていた、ルーン文字?みたいな。
「何書いてるの?」
「リガル文字だよ。魔法とか使う時に魔力を消費して書くんだ。僕はリヒトフラワーの妖精だからリヒトフラワーだけ咲かせるだけなら魔力は消費しない」
なんか凄いわ。
ヴェールが書いた文字が光りだし、種が発芽し、あっという間に花が咲いた。まるで白百合みたいな綺麗な花。
見とれてぼーっとしてたら、ヴェールに急かされた。
「花の下らへんから摘んだらいいよ」
両手でリヒトフラワーを摘み取ると、とてもいい匂いがした。花の香りは白百合ではなく菫のような優しい香りだった。
わいわいがやがや
ヴェールの案内で街に着いた。
街はラシェと言うらしい。
ちなみに国という概念はなくて、大陸自体に名前がついているらしい。この大陸はリドルッタなのだそう。
街を見回すと獣人や巨人、エルフというような人外が沢山いた。すごい流石異世界!
心のなかでこの世界─リアンというそう─に拍手を送った。
それで五分ほど歩くと、本屋らしきところにたどり着いた。その本屋にはリェル書店という看板がかかっていた。