12話 白い夢
獣人の女性に案内された部屋は普通に綺麗な部屋だった。女性にお礼を言って部屋に入る。
第一印象は獣臭い匂いもしないし普通の宿だった。
今日は疲れた、早く寝よう。
ベットにぼふんと倒れ込み直ぐに私は夢の中に入った。
私は白い白い霧の中にいる。
「すみませーん、誰かいませんかぁ」
呼びかけてもなんの反応も示さない。
何度も何度も呼びかける。
やっぱりなんの反応も無い。
急に合点がいったここは夢なんだと。
頬をつねっても痛くなかったしね。夢じゃなかったらめっちゃ痛いもん、強くつねったし。
合点がいって安心安心。
でも、意味不明なんだよね。
まぁ、進んでみればいっか。
何分歩いただろうか。
これは絶対20分は歩いてるよ。
座るところはないのかな。周りを見回してみても霧!霧!霧!見通すことが出来るのはせいぜい1mどんだけ濃いんだよこの霧。
つか座るところくらい用意しといてよ、とか自分の夢に文句をつけながらも再び自分がどこにいるのかも分からない白い霧の中を歩き出す。
しばらく歩くと霧でぼやけてるけど何かが見えた。
あれは、人影だ。人が見える!
姿を確認しようと私はその人影が見える方向に走り出した。
近ずくににつれてその人が自分よりも少し大きく男性だということに気がつく。
その人から距離2mほどのところで止まると話しかけてみた。ちょうど顔も見えないしね。
そうするとその人はこちらに向いた、其の瞬間白い霧は晴れて白く広く広く永遠に続きそうな空間と振り向いた人の顔がよく見えた。