0-2 天国?
「う...... あれ?ここは?」
目を開けると真っ白い空間。
何か人影が見えるような気もするが、視界がぼやけてよく見えない。
あれ?俺何してたっけ·······
確か塾に行く途中で····車とゴッツンか。
てことは········俺死んだ?
死んだのか······まあ特に思い残すこともない。
どうせ糞みたいな人生だ。
自分のことしか考えてない糞みてーな母親。
女には金使うのに俺には暴力を使う糞みてーな父親。
あの地獄から出してくれたあのトラックには感謝するぜ。
それにしてもこの視界の白さ·······
昇天する感じか?
色々とぼやいていると、俺の昇天説を覆すように視界がだんだんはっきりしてきた。
しばらくして目を開けると····
目の前に立っていたのは······エロいコスプレしたお姉さんだった。
「どちらさん?」
「こ、こんにちは!」
身に付けている衣装に反してキョドキョドした様子た。
紫の髪と目で、少し幼さを残した顔立ちの美人女子高生といった印象だ。
丁寧に挨拶してくる。
「お、おう」
「わ、わたしはアリアリードレスフィアの管理者の一人、女神エレスであるー」
すごい棒読みだ。
今女神とか言っていた気がしたが気のせいだろう。
きっとハードなコスプレイヤーだ。
天国でコスプレイヤーに会うとは思ってもいなかったな。
「此度は我の呼び掛けに応じてもらいー、感謝するぞー」
わたしとか我とか、一人称は統一して欲しいものだ。
そんなことより、呼び掛けとはどういうことだろうか。
コスプレパーティーに招待された記憶はないぞ?
いや!一人でパーティーはおかしいか。
いやいやコスプレイヤーボッチ説も捨てきれないぞ。
「呼び掛けられた記憶はないし、応じた記憶もないぞ?」
思ったよりも低く落ち着いた声で返したことに自分でもびっくりしたが、相手がなんなのかもわからないこの状況では効果的かもしれない。
紫のコスプレイヤーは数秒間固まった後·····
「ビクッ!ご、ごめんなさいぃぃぃ········」
すごいスピードで走っていってしまった。
少しめんどくさい相手のようだ。
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白い空間のなかには先程と違って和気藹々とした雰囲気が漂っている。(走っていった彼女を説得するのに、持っていた一発ギャグを5つほど消費したぞ)
「どんな事情があれ、俺は気にしねーし素のままでいいぞ(面倒くさいから早く展開進めろな?)」
「そうですよねー、私も女神の尊厳だした方がいいかなーと思って頑張って練習したんですがね·····まさかこんなに気さくな方だとは」
「ところでさっきの呼び掛けとか応じるとか、どういう意味だ?」
「そのままですよ?私が地球の神に頼んで呼び掛けてもらって、それに貴方が応じたんですよ」
さも当然という具合で首を傾けながら諭すように説明してくれるが、俺としてはさっぱりだ。
ここでひとつの予感が頭に浮かんだ。
「もしかして、俺死んだから応じたことになってるのか?」
「そうですけど?」
エレスは、今さらなに言ってんねんと言わんばかりに肯定する。
「······まあいいや。俺がここにいる理由はだいたい分かったけど、結局のところ俺はどうしたらいいんだ?」
「説明します!」
そう言って待ってましたとカンニングペーパーを取り出す辺り、逆に尊敬する。
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「何故私があなたをお呼びしたのかですが、それを説明するにはまずはこの世界と私についてお話ししなくてはなりません。」
なんだか長くなりそうだ。
決してコスプレイヤーの方々をバカにしているわけでは御座いません。決して